10|まほうがなくても
クロの、ねがいごとをかなえる力は、もう、のこっていません。
でも、あおいとヌールとクロは、あいかわらず、いっしょにあそんでいました。
「ねえ、すなで作ったおしろ、おぼえてる?」
あおいが言うと、ヌールがにっこりしました。
「うん。こんどは、ほんものの、おしろを、たんけんしようよ」
三人は、おしろの中を、走り回りました。
長いろうかも、たくさんのおへやも、すなのおしろよりずっと広くて、ずっと大きいけれど。
つぎに三人は、おしろの大きな池に、とびこみました。
魚さんみたいには、およげません。
でも、水はつめたくて、気もちよくて、三人は何ども、池にとびこみました。
おにわを歩いていると、アヒルが一羽、よちよちと歩いていました。
「がーがーがー!」
こんどは、なんて言っているか、さっぱり分かりません。
「なんだっけ、これ」
「分かんなくなっちゃったね」
あおいとヌールは、顔を見合わせて、大わらいしました。
夜になると、三人は、おしろのバルコニーから、空を見上げました。
「お星さまに、のったね」
あおいがつぶやくと、ヌールが、何か思いついたように言いました。
「あれ、見て」
おしろのたからものべやには、星みたいにきらきら光る、たくさんのほうせきがならんでいました。
「わあ、お星さまみたい」
三人は、ほうせきの光をながめながら、ならんですわりました。
「まほうがなくても、楽しいね」
あおいが言うと、ヌールもクロも、うなずきました。
「きっとヌールは、やさしい王さまになるね。だって、わたしにやさしくしてくれたもの」
あおいが、ぽつりと言いました。クロも、うんうんと、うなずきました。
「きっとゆうかんな王さまにもなるよ。だって、ぼくのこともこわがらなかったよ」
ヌールはわらって、言いました。
「ぼく、あおいやクロや、みんなが、ずっと楽しくくらせる国に、したいな」
「うん。ぜったい、そうなるよ」
三人はいっしょに、たくさんあそびました。




