↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒いあおいと、まほうの歌  作者: あみーら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/12

5|クロ

どしん、どしん。


大きな足音のぬしが、木々のあいだからすがたを見せました。

大きなくまのような体に、からすのような黒い羽。


「きゃっ」


あおいは、思わず声を上げて、ヌールの後ろにかくれました。

でもヌールは、あおいの手をぎゅっとにぎると、まっすぐその生きものを見つめました。


「きみは、だあれ?」


生きものは、うれしそうに目を細めました。


「ぼくはクロ。黒いからクロ。あおいのことを、さがしていたんだ」


あおいは、こわごわとヌールの後ろから、顔をのぞかせました。


「わたしを? どうして?」

「ぼくたち、自分と同じ色の子どものねがいごとをたくさんかなえて、大人になるんだ」

「同じ色?」


クロはこくんとうなずきました。


「そうさ。ぼくのなかまは、みーんな、ずうっと前に大人になったよ。でもぼくは、何百年も、子どものまんま」


あおいは、目を丸くしました。


「何百年も?」

「だって、このせかいに、黒い子が、一人もいなかったんだもの」


あおいは、町で見た、いろいろな色のかみや目を思い出しました。

黒いかみと目は、あおいのほかに一人もいませんでした。


クロは、うれしそうにあおいを見つめました。


「やっと会えた。あおいのねがいごとを、なんでもかなえるよ」


あおいは、目をかがやかせました。

そして、ヌールと顔を見合わせます。


「ねえヌール、何をおねがいしよう」

「そうだなあ……」


二人はしばらく考えて、それから声をそろえて言いました。


「すなのおしろの中に、入ってみたい!」


クロは、にっこりわらいました。


「じゃあ、まほうのことばを言って」


「まほうのことば?」


あおいには、何のことか分かりません。

すると、クロが言いました。


「水たまりのむこうで、あおいが歌っていたじゃない」


あおいは、あっと思い出しました。

そして、いつもの歌を口ずさみます。


「くーろ、くーろ、かなえてちょうだい♪ すなのおしろに、入れるようにしてちょうだい♪」


「ヤッラー!」


クロのかけ声と同時に、すなのおしろが、むくむくと大きくなっていきました。

まども、とうも、あおいたちよりずっと大きくなって――


気がつくと、三人は、本当のおしろの中に立っていました。


「わあ、本当におしろだ!」


すなのつぶでできた、かべも、ゆかも、ちょっとざらざらしています。


「ぼくたちが作ったおしろだね」


ヌールが、うれしそうに、かべをなでました。


「うん! わたしたちのおしろ!」


三人は、自分たちで作ったおしろの中を、たんけんするように、かけ回りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。