ブルーベリーとプルーンのハッロングロットル【魔】
「……なんでお前たちがいるんだ?」
「あら。珍しい組み合わせね」
「そうね」
真っ暗な夜の中、明かりのない中で三人は顔を合わせた。ただ何もないと思われる広場に集まったのは全てを見通すと言われている艶やかな紫色の魔眼を持つ少年─カミュは不服そうに頬を膨らませた。そしてそんなカミュの心情を全く気にしていない様子の赤の魔女─ルキアと、一切表情を崩さない冥府の案内人─アゲハ。
「ぼくの質問に答えろ。なんでお前たちがここにいるんだ?」
「あら、それはわたしも同じよ。何か共通点があるのかもしれないわね」
「そうね」
カミュとルキアは記憶の糸を手繰っていくと、見知らぬ人物から白い何かを受け取ったことを思い出した。そしてその白い何かを必死に思い出していると、アゲハが袖の下から何かを取り出した。
「これ……かしら」
真っ白な封筒に真っ赤なバラが描かれたシーリングスタンプが押された封筒。それを見た瞬間、カミュとルキアは同時に「それだ」と声を挙げた。中身を確認すると、とてもとても短い文章でこう書かれていた。
─同封されている場所にきたまえ。そこで各自の力を発揮し、協力したまえ。
「協力? 一体なんのことかしら?」
「なんで僕がお前たちと協力しないといけないのさ」
「……」
一体何が催されるのかも知らされていない三人はただ戸惑うばかりだった。やがて三人のいる場所がぼんやりと明るくなると、目の前にはノイズだらけの画面が不気味に浮かび上がった。ざーざーと耳障りな音の中、微かに聞こえる機会音声に耳を傾けると何かを言っているようにも聞こえた。
「……てば……からを解放……勝て……ちか……解放……する」
「かて……ば……ちからを……かいほう? 何のことかしら」
「ってことは、戦うってこと? ぼく戦うの嫌なんだけど……」
「……」
勝てば力を解放。そう聞こえた三人は、これから始まる戦いに半ば強制的に参加させられたということ。全く先の読めない展開にカミュは苦虫を潰したかのような顔をしながら地団駄を踏んだ。
「なんだよ。なんでこいつらと……」
「とにかく、ここで三人が一緒になったということは、きっと何かの巡り合わせだと思いましょ。それに……面白そうな研究結果が手に入りそうね」
「……」
普段あまり顔を合わせない珍しい組み合わせに、ルキアはどこか乗り気だった。一方、アゲハは肯定とも否定ともとれるようなスタンスを貫いていた。ただ、協力はしない素振りは見せていないので、ひとまずは安心してもよさそうだと判断したカミュは両手で頭をわしわししながら声を挙げた。
「あー! この企画を考えた奴、後悔させてやる!」
まるで子供のように何度も地団駄を踏みながらずんずんと一人先へと進んでいく。残されたルキアとアゲハも彼の後についていくと、突然カミュはくるりと振り返り二人に指さした。
「いいな。これからは僕が指揮を執る! 勝手な行動は慎むように!」
「……いいわ。この研究が終わるまでの間ならね」
「……」
こうして三人は各々の力を交換しながら、作戦を立てていく。作戦は相手を惑わせることに特化したものだった。お世辞にも相手にとどめをさせる力を有していない三人は、とにかく相手を惑わし反撃をするものとした。それができれば御の字とばかりに三人は力強く頷き、重厚な扉を協力して開けた。
「さ、始めましょう。わたしたちの研究を」
「絶対に……負けるものか!」
「そうね」
実力で勝てなくても頭脳で勝てればそれでいい。そう決めた三人の目はいつも以上に輝きを増しているように見えた。
アゲハの肩にとまっていた蝶が静かに羽ばたいた。




