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パティシエ シュクレのスイーツコレクション  作者: 冬厳@主夫ロニア
おすすめセット4 お気軽スイーツ☆詰め合わせ(3千文字以下のサクサクストーリー)
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カラフルフラワーポップキャンディ【魔】

 その男は広大な敷地の中にある庭園にて、苗を植えていた。何千何万もの種類のある花々から、この庭にぴったりな花を選び、一つ一つ丁寧に苗を植えていく。一つ植え終わる度に、その花を優しく撫でるように手を添え元気に育つようにと小さく祈りを込めていた。

 男の名前はソムニフェルム。魔界に住む庭師なのだが、今日は訳あってここ、神の世界へと移動し庭を整えていた。皮のカウンチング帽から突き出た角、ピーチピンク色に染まった腰まである長い髪、真っ赤なスカーフを首に巻き、腰にはカウンチング帽と同じ素材で出来たシザーバッグを提げていた。ソムニフェルムはシザーバッグから使い慣れたハサミを取り出し、植木の剪定を行った。きれいに均一に整うよう切りすぎないよう気を付けながらハサミを動かしていくと、きれいさっぱりと整った植木を見てソムニフェルムは満足そうに頷いた。

 ソムニフェルムを呼んだのは、この庭の持ち主であるフローラだった。フローラは動物や植物、小動物を愛し皆が元気になれるような癒しの魔法を使うことができる。特に植物たちとの相性はばつぐんで、フローラが魔力を杖込めると、植物たちはまるで意思を持っているからのように動き、侵入者や怪しい人物を排除しようとする。これは皆を傷つけないためだとフローラは言っており、もしそのような事態が起こっても決して相手を傷つけず、平和的に解決しようと考えに考えた末の結果だった。それにはソムニフェルムも賛成で、ソムニフェルム自身も戦うことは嫌いである。いつか誰しもが戦わずに済むことを願いながら、今日も苗を植え、庭を整えここを訪れた皆に笑顔が咲くようにと作業を進めた。


 あらかた作業も落ち着き、適当に休憩をとっていると心地よい春の匂いのする風がひゅうと吹いた。魔界にはこういった季節という概念がないため、ここへ来るたびに感じられる季節というものがソムニフェルムは大好きだ。温かくちょっとくすぐったい風の誘惑にいてもたってもいられなくなったソムニフェルムは休憩を少し早めに切り上げ、作業へと取り掛かった。花が持つ特性や色、香りなどを考慮しながら植えていくと、どこからか歓喜色の声が聞こえた。

「ソムニフェルム! あぁ、会いたかったわ!」

 声の主はフローラだった。フローラはまるで太陽のような笑顔でソムニフェルムを優しく包むとまた一段と眩しい笑顔を向けた。

「突然のお願いなのに……来てくれてありがとう!」

「いえ。お気になさらず」

「ここ一面をきれいなお花畑にしたくて……本当にぼんやりしたもので申し訳ないわ」

「なんとなくフローラ様の言いたいことはわかります。なので、それに合うものを見繕ってみました」

「まぁ……嬉しいわ」

 苗を植えてから少し時間はかかってしまうが、今植えているものはタイミングがあれば一斉に咲くように調整がされていた。あっちが咲いて、こっちが咲いていないということを防ぐためソムニフェルムが取り入れた工夫の一つでもある。そのアイデアに更にフローラは歓喜し、ぴょんぴょんとその場で跳ねて喜んだ。それから簡単にやり取りをしてから、フローラは森の見回りをしてくるといい、ソムニフェルムと別れた。ソムニフェルムも会釈をしフローラを見送ると、作業へと戻った。


 誰かの笑顔のためなら、このくらい大したことじゃない。


 ソムニフェルムは小さく呟きながら、庭の手入れを進めていった。顔見知りの人はもちろん、ここへ初めて訪れた人が喜んでくれるような庭になるよう、ソムニフェルムは心を、祈りを込めた。もし仮に、戦意ある者が来てもその戦意を削ぐことができるほどの庭にできるよう……。ソムニフェルムは額から流れる大粒の汗を垂らしながら黙々と作業を続けた。

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