リトルスウィートメガロリポップ【神】
ガラガラと大きな音をたてながら動く移動型店舗。引いているのは小柄なアルパカ、そして隣にいるのは店主である獣人のピッパ。移動型店舗にはカラフルなキャンディが所狭しと並んでいて、見た目だけではなく味も最高だと常連は言う。見た目は可愛らしいロリポップや小粒のキャンディが詰まった瓶、アイスクリーム型のキャンディと非常にバラエティ豊かに揃えている。これは、買ってくれるお客さんのニーズに応えた結果である。
ピッパの作るキャンディには不思議な力が宿っており、特に戦闘職のお客さんには大好評である。採集職のお客さんのニーズにも応えようと、最近は奮起しており、新作キャンディの開発に余念がないと本人は言っていた。
「あ、ピッパちゃん! こんにちは」
「あ、こんにちは」
街道を歩いていると、ピッパのことを知っているお客さんが声をかけた。いずれも背中に大きな武器を背負った戦闘職のお客さんで、知っているものは手慣れた様子でキャンディを選び会計を済ませる。それ以外のものは物珍しそうに並んでいるキャンディに興味津々だった。
「これ……飴?」
「はい! 舐めると効果を発揮するマジカルキャンディです!」
「舐めると……? ふむ」
普段であれば魔法の効果が付与された液体を用いるのだが、ここの店主は飴ときた。それも舐めると効果を発揮するという。しばらく悩んだ結果、弓使いの者は艶やかな青色をしたキャンディに手を伸ばした。
「これってどんな効果があるの?」
「あ、お客さん。ナイスチョイスです。それは一時的に視野を広げる効果があります」
「……なるほど。ひとつ試させてもらおう」
「ありがとうございます♪」
「おれは……この赤いキャンディを貰おう」
「じゃあ……あたしは……」
魔法使いの職の者は柄のついたキャンディを見て一瞬躊躇した。それもそのはずで、舐めていないと効果がないというのであれば、柄のついたキャンディは魔法詠唱に支障が出てしまう。となると、もっと手軽に効果を発揮できる方がいいと考えた。
「お客さんには……こちらがおすすめです」
悩んでいる魔法使い職の者にピッパが差し出したのは、小粒のキャンディが詰まった瓶だった。
「小粒なので戦闘に支障はないかと。あと、沢山入っているのでおすすめですよ」
「おお……それは助かる」
どうやらこの小粒のキャンディには魔法使い職には嬉しい追加効果が盛りだくさんだった。一つは、魔力の継続回復。二つ目は魔法の威力を高める効果。三つめは詠唱時間を短縮する効果もついていた。味もひとつではなく、複数あるのも嬉しいところだ。ピッパから説明を聞き終える頃には、魔法使い職の者の手には既に瓶が二つ握られていた。
「お買い上げありがとうございます♪」
こうして買い物を終えた者たちはピッパに別れを告げ、冒険を再開させた。その背中をピッパは見えなくなるまで見送ると、自分も再び歩き始めた。
「さぁ、次はどんなキャンディを作ろうか。楽しみだね」
お供のアルパカの頭を撫でながらピッパは新作キャンディのアイデアを練っていた。その時のピッパの顔は百点満点の笑顔だった。




