↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/106

59話 最強関西人、S級ゴーレムと戦う①

「ギガント・ゴーレム⋯⋯!?」

「そんな⋯⋯!」


 女性探索者が息を呑んだ。


「S級モンスターですよ!」

「え、S級⋯⋯!」


 これまで日本で10件しか見られなかったS級モンスター。だというのに、こんなに早く11例目が出てくるとは⋯⋯!まだベヒーモスが出てから1週間くらいだぞ!


 俺の身体にも自然と力が入った。


 ギガント・ゴーレムが太い腕を持ち上げる。その動作だけで空気が押され、巨大な拳がこちらへ振り下ろされた。


「散れ!」


 獅子堂さんの声で全員が動いた。

 俺も横へ跳ぶ。


 直後、拳が床へ叩きつけられた。


 石造りの床が大きく砕け、破片が周囲へ飛び散る。


「うわっ!」


 腕で顔を守りながら距離を取った。


 洒落にならない。

 まともに食らえば、A級探索者でも一発で終わるんじゃないか。


「社長!」

「お前ら、おっちゃん連れて下がっとけ!」


 獅子堂さんが一人で前へ出る。


「いや、社長!相手S級ですよ!」

「分かっとる!」

「援護します!」

「いらん!巻き込まれる方が面倒や!」


 獅子堂さんはそう言って、首を左右へ傾けた。


 その口元には笑みが浮かんでいる。


 ————嫌な予感がする。


「獅子堂さん」

「なんや?」

「楽しそうですね⋯⋯」

「そらそうやろ」


 獅子堂さんが拳を握った。


「S級モンスターやで?こんなん滅多に殴れへんやん!」

「やっぱりこの人おかしいですよ!」

「知ってます!」


 部下から即答された。


 ギガント・ゴーレムが再び動き出す。


 巨大な腕が横薙ぎに振るわれた。

 獅子堂さんは真正面から飛び込み、拳が届く直前で地面を強く蹴ると、腕の上へ飛び乗った。そのまま岩の表面を駆け上がり、肩を経由して頭部へ迫る。


「いきなり本気(マジ)や、木偶の坊。『倍々』——三重(トリプル)!」


 次の瞬間、ギガント・ゴーレムの頭部が大きく弾けた。


 獅子堂さんの拳が岩石を粉砕し、砕けた破片が周囲へ降り注ぐ。


「すっご⋯⋯」


 昨日まで何度も見たはずなのに、改めて驚いてしまう。


 俺と戦った時は速すぎて、何をされているのか分からない場面も多かった。今回は離れた場所から見ているが、それでも目で追うのが難しい。


 ギガント・ゴーレムが獅子堂さんを振り落とそうと暴れるが、その手が届く頃には別の場所へ移動している。


 肩から背中へ回り込み、首の付け根へ蹴りを叩き込む。岩が大きく抉れ、そこへ続けて拳を打ち込むと、残っていた頭部まで吹き飛んだ。


「やった!?」


 思わず声が出る。


 頭が完全に無くなった。

 普通の生物なら、どう考えても終わりだ。


 だが——。


「いや、まだです!」


 A級探索者の一人が叫んだ。


 頭部を失ったギガント・ゴーレムの腕が動く。


「うおっ!?」


 獅子堂さんが飛び退いた直後、巨大な手が自分の肩を叩き潰すように振り下ろされた。


 さらに、砕け落ちたはずの岩が動き始める。


 床に散らばっていた岩石だけではない。壁の一部まで剥がれ、ギガント・ゴーレムの身体へ吸い寄せられていく。


「⋯⋯何だ、あれ」


 吹き飛ばされた首の上に岩が積み重なり、再び頭部を形作っていく。


「ダンジョンの床や壁を取り込んで再生してます!」

「そんなのアリかよ⋯⋯!?」


 あの巨体と馬鹿みたいな頑丈さだけでも十分厄介なのに、壊しても周囲の岩を使って直るらしい。


 ギガント・ゴーレムの頭部が元の形へ戻る。


「はっ!ええやん!」


 それを見て、獅子堂さんはむしろ嬉しそうだった。


「壊しても直るんやったら、何回でも壊せるな!」

「そういう問題ですか!?」


 再び獅子堂さんが踏み込む。


 今度は胸部へ拳を叩き込み、分厚い岩石を一気に粉砕した。人間なら心臓がある辺りに大穴が開く。


 しかし、やはり止まらない。

 黒い魔素が岩の隙間を走り、壁から新たな岩石が剥がれて胸部へ集まっていく。


「頭でも胸でもない⋯⋯?」


 俺が呟いた時、後ろにいた男性探索者が声を上げた。


「社長!そいつ、体内に超高濃度魔素反応があります!」

「あ?」

「かなり高密度です!多分、魔核がある!」


 魔核。確か、ゴーレム系のモンスターが持つ動力源のようなもので、そこに魔素を溜め込むことで非生物であるゴーレムは動くことができるとかなんとか。言うなればバッテリーのようなものだ。


 だが、男性探索者の表情は険しかった。


「位置が⋯⋯移動してます!さっきまで胸にあったのに、今は右の脇腹です!」

「魔核が動くんですか!?」

「みたいです!」


 そんな話聞いたことがない。⋯⋯いや、S級なら有り得るのか?


 獅子堂さんが即座に右脇腹へ回り込み、拳を叩き込む。

 巨体の側面が大きく抉れた。


「逃げた!今度は左肩!」

「ちょこまかと!」


 獅子堂さんが地面を蹴る。


 左肩へ拳が届く直前、高密度の魔素反応が今度は腹部へ移った。


 攻撃を受ける直前に、魔核そのものを体内で逃がしている。

 しかも、獅子堂さんに一方的に殴られているだけではなかった。


 ギガント・ゴーレムが両腕を大きく持ち上げる。


「社長!離れて!」


 両拳が床へ叩きつけられた。


 凄まじい衝撃で階層全体が揺れたかと思うと、獅子堂さんの足元から巨大な岩柱が突き出した。


「うおっ!」


 獅子堂さんが身体を捻って避ける。


 さらに二本、三本と岩柱が床を突き破り、逃げる獅子堂さんを追うように連続して隆起していった。


「地面まで操れるのか⋯⋯!」


 ギガント・ゴーレムがこちらへ顔を向ける。


 嫌な予感がした。

 巨腕が壁へ突き刺さり、大量の岩を抉り取る。


「全員下がって!」


 部下の声と同時に、岩塊がこちらへ飛んできた。


「うわっ!」


 俺達は慌てて散る。


 俺のすぐ横を、人間の身体より大きな岩が通過した。背後の壁へ激突して粉々になる。


 あんなもの、まともに食らったら洒落にならない。


「おっちゃん狙うなや!」


 獅子堂さんが一気に距離を詰め、ギガント・ゴーレムの横顔へ蹴りを叩き込む。


 頭部の半分近くが吹き飛んだ。

 それでも、ギガント・ゴーレムは残った腕を獅子堂さんへ振るう。


 獅子堂さんは避けたが、その直後に床から岩柱が突き出した。


「っ!」


 完全には避け切れなかった。


 岩柱が脇腹を掠め、獅子堂さんの身体が空中へ跳ね上げられる。


 そこへ巨大な拳が迫った。

 獅子堂さんは両腕を交差させて受け止めたものの、凄まじい勢いで吹き飛ばされ、壁へ激突する。


「社長ぉぉぉ!!」

評価、ブックマーク、感想など励みになります。

モチベーションになりますので、よろしくお願いします。


また、作者Xにて更新通知を行っております。

新作の通知なども行いますので、ぜひフォローお願いします。

@MokaSufure

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。