ACT5 家の周囲での怪異
霊能者の斑目桂に霊視してもらい、少しホッとした水月蒼太であったが、最近は「お前のせいで人がいっぱい死んだんだ」という罵りの声に加えて、夜中になると時折、蒼太の家の周辺で、ピシャピシャと水に濡れた足が歩く怪しい音が響き渡るようになったことに新たに悩まされ始めた。
夜中は恐くてカーテンを開けられず、明け方に恐る恐る見てみたが、それらしい人間はいなかった。
一度勇気を持って、水に濡れた足音が響いている時にカーテンを開けてみたが、人間はいなかった……。
ヌメヌメとした光った路面があるだけであった。
(雨でもないのに何でピシャピシャ水音が……)
登校時に自宅の周りだけヌメヌメ濡れていて、鱗のような奇妙な物が落ちているのが気になるが……。
(嫌がらせにしても何処からこんな鱗を……?)
リビングでご飯を食べている時に両親に、
「最近、夜中にウチの家の周りでピシャピシャと水を含んだ足音のような変な音が聞こえるんだけど。父さんや母さんは聞いてない?」
と尋ねてみた。
「寝ぼけてたんじない?」
親の答えが重なる。
「でも何回もなんだけど……」
「何回も寝ぼけてたんじない」
(不審者?を心配してる息子の質問に、なん何でこんなにニヤニヤしてるの……? ウチの親、最近変なんだが……)
アルカイックスマイルを浮かべる両親に、不気味な不安に捕らわれる蒼太であった。
更に奇妙な事が続いた。
通学の際にすれ違う人の中に、衣服に覆われていないで目視できる顔や腕などの箇所に、銀黒色の鱗のような物を付けた人々が見受けられるようになった。学校内の生徒や教職員にも鱗のような物を生やした人が見られるのだが、友人達に、
「あの鱗のようなの付けて何だろね?あいつ」
と聞いてみたら、友人達がアルカイックな笑顔を浮かべながら、
「鱗? 何言ってんの」
「見えないよな」
「因縁付けてイジメか? 止めとけよ」
と取り合ってもらえないのだ。
(彼らには鱗が見えていないのか……?)
一人だけ疎外されたような、奇妙な恐怖が水月蒼太を襲っていた。




