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ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!  作者: グミ食べたい
第17章 真インフェルノ編

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第324話 標的

 アシュラは最後の最後までアタッカーだった。

 1ミリでいいから敵の体力を削る――その意志は、彼のログから痛いほど伝わってくる。

 その生き様が、頭から離れない。


 だが――

 また一人、大切な仲間を失った。

 しかも、インフェルノブレスは奴自身を巻き込んだにもかかわらず、ダメージになっていない。

 着弾の瞬間、纏う紅い光が強く輝いた。あれがブレスを相殺しているのだろう。


「……くそっ。奴が標的を探すたびに、ロシアンルーレットをさせられてる気分だ」


 思わず、舌打ち混じりに呟く。


「ロシアンルーレットならまだマシだ。これは――外れのない死のルーレットだ」


 俺の言葉を冷静に訂正したのはソルジャーだった。

 間違いを指摘されたこともだが、自分のところのギルドメンバーを二人も失っておきながら、感情を乱していないことに、少し腹が立つ。

 上に立つ者としては正しいと、わかっていても。


「さすが『異世界血盟軍』のギルマス。HNM相手に仲間が死ぬことなんて慣れっこってわけか」


 俺も心が狭い。

 返す言葉がつい嫌味っぽくなってしまう。


「慣れっこか……そうなれればいいんだがな」


 ソルジャーのその物言いに違和感を覚え、彼へと視線を向ける。

 その肩は震えていた。

 湧き上がってくる感情を必死に抑え込むかのように。


 俺は自分の過ちに気づく。

 それがゲームだとしても、仲間の死を平然と受け入れるような奴が、慕われるわけがない。

 ソルジャーは違う。

 すべてを胸に刻み込んで、それでも前に立つ男だった。


「……すまない」

「なにがだ? それより、こうなると、こっちが奴を削り切るのが先か、それとも全員がブレスに焼かれるが先かの勝負だ。手を緩めるなよ」


 意味が伝わっていないのか、それとも流してくれたのか。

 どちらでもいい。

 張りつめていたものが、少しだけ緩んだ。


「わかってる。死んだ仲間の分も、俺がダメージを取る!」


 メイメッサーを握る手に力を込める。

 ここまででアタッカー三人を失った。

 誰が欠けても終わりに近づく――それだけは間違いない。


【真インフェルノは標的を探している】


 ――またかよ!

 思わず唇を噛む。

 クールタイムの長い必殺の技かと思いきや、短い時間で再使用してきやがる。


 首を振り、ターゲットを探す真インフェルノと再び目が合う。

 今度こそ狙われると毎回ドキリとするが、視線は外れ――


【真インフェルノはエイルに狙いを定めた】


 次の標的が示された。

 まさに死の宣告だ。


 エイルは、ほかのヒーラー達から離れつつ、SPを気にせず、ヒールやバフを撒きまくる。

 残された時間で、自分にできる最大限を尽くそうとしている。

 ――アシュラと同じだ。

 俺も手を止めない。

 インフェルノブレスに対してバフやアイテムは無意味。エイルにしてやれることは何もない。

 だからこそ、奴を削る。それが今の俺にできるすべてだ。


【真インフェルノはエイルにインフェルノブレス ダメージ1908】

【エイルは死亡した】


 包丁を握る指がやけに痛い。

 戦場に立つ仲間がまた一人消えた。

 ログだけが黙々と流れる。

 誰も声を発しなかった。

 だけど――

 ここでみんなの気持ちを沈ませるわけにはいかない。


「それにしても、真インフェルノが標的を探すたびに、目が合うのがドキッとして嫌だよな」


 少しでも空気を緩めようと、そんな言葉を口にした。


「目が合う? 狙われたわけでもないのに、そんなことがあるのか?」

「え……?」


 予想外のソルジャーの返しに、包丁を振るう手が思わず止まりそうになる。

 てっきりみんなも同じように感じていると思っていた。

 ……そうじゃないのか?


「真インフェルノの首、見てないのか?」

「見てるが……目なんて合ったことないぞ」


 ん……? てっきり全員の目を順番に見てるのかと思っていたが……ソルジャーが気づいていないだけか?


「シアさんはどう? 真インフェルノと目が合うよね?」

「いえ……。自分のほうに顔が向くことはありますが、目が合うと感じたことは……」


 シアさんも覚えがないのか……。

 もしかして、俺がビクビクしすぎて、自意識過剰になりすぎているだけか?


「自意識過剰なんじゃないか?」


 くっ。

 ソルジャーの奴め。

 自分で思うのはいいけど、人に言われるとちょっと腹が立つ。


「別に俺の気のせいなら、それでいいんだよ! 実際に狙われたわけじゃないし」


 スキルを叩き込み、ムカつきを真インフェルノへの攻撃で少し晴らす。

 だけど、こんな軽口でみんなの表情に柔らかさが戻ったみたいで、わずかに肩の力が抜けた。

 誰かが小さく息を吐いたのが聞こえた気がした。

 ただ怯えながら戦うなんて、きっとつまらない。

 そう思った瞬間、奴の翼の輝きが増した。


【真インフェルノは紅蓮災雨の豪翼撃を使った】


 炎の雨が吹き荒れ、全員のダメージログが流れる。

 ヒーラーを潰してからの全体攻撃で、ヒーラーのSPを削りにきやがった。

 タンクパーティは三人のヒーラーでやりくりが難しくなったところだというのに……本当に嫌らしい。

 しかも――


【真インフェルノは標的を探している】


 また来やがった。

 これ以上アタッカーを削られれば火力ダウンが痛い。

 ヒーラーなら継戦能力がますます削られる。

 タンクなら下手すりゃ致命傷になりかねない。


 ――くそっ! 次は誰を殺したいんだよ!


【真インフェルノはショウに狙いを定めた】


 その瞬間、時間が止まったように感じた。

 目が合うとか合わないとか――そんなレベルじゃない。

 奴の赤い瞳が、俺を捉えて離さない。


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― 新着の感想 ―
ここの運営(?)はゲームとしての公平性はしっかりしてるはずだから 単純な最強出し得技はないと信じたい… ショウは乗り越えられるのか、続きが気になります!
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