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ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!  作者: グミ食べたい
第15章 タッグイベント編

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第263話 組み合わせ

「さてと……」


 俺は一つ息を吐いて、気合いを入れ直した。

 初めてのイベントだし、とりあえずは楽しむつもりでいた。

 だが、この参加メンバーを見ては、そんな悠長なことは言っていられない。

 なにしろ相手は、三大HNMギルドのトッププレイヤー達。……マテンロー達もいるけど。

 HNM狩りには参加していなくても、優れたプレイヤーはいるんだというところを見せてやりたい。もちろん、その優れたプレイヤーというのは、クマサン、ミコトさん、メイも含めての話だ。


 とはいえ、二人一組で戦うとなると、誰と組むかが非常に重要になってくる。

 俺がアタッカー特化であることを考えれば、タンクのクマサンとは相性はバッチリだろう。気心も知れているし、ゴールデンコンビと言っても過言ではない。

 だけど、相棒としてはヒーラーのミコトさんも魅力的な選択肢だ。盾役は不在だが、強力な回復力がある分、長期戦ではクマサンとのコンビよりも強力かもしれない。

 メイはメイで、サブ職業を回復職にしてもらえばサポーターとしては十分に機能してくれる。何より彼女はゲームというものをよく知っている。生き残りのサバイバルゲームではなく、ポイント稼ぎの勝負となれば、単純な戦力よりも立ち回りが重要になるはず。そうなれば、メイの視野の広さや読みの鋭さは、その力を大いに発揮するだろう。

 正直、この三人なら誰と組んでも、フィジェット(ねーさん)やソルジャーが相手でも十二分にやり合える気がする。


 ――だけど、俺のことだけを考えちゃいけない。

 俺が誰かと組めば、残った二人がペアになる。勝負が始まれば敵同士になるとわかっていても、ギルドマスターとしては、そっちのバランスも考えなければならない。

 たとえば、クマサンとミコトさんの組み合わせになれば、タンクとヒーラーのコンビになり、生存能力は高いが、完全に火力不足だ。敵を倒せないということは、相手のポイントを奪えないということで、戦略に大きな縛りを受ける。どれだけスターが街に散らばっているのかわからないが、「スターを集めてとにかく生き残る」なんて戦術しかとりようがないだろう。

 かといって、クマサンとメイ、ミコトさんとメイといった組み合わせも、火力に関しては心もとないし……。

 さて、どうしたものか……。


「みんな、タッグの組み合わせだけど……どうする? まずは希望を言い合ってみる?」


 一旦、みんなの希望を聞いてみることにした。被らないようなら、組みたい者同士が一番だ。

 けど、もし三人ともが俺と組みたいなんて言い出したら……嬉しいけど、それはそれで困ってしまうな。

 そのときは心を鬼にして誰かを選ぶしかない。

 いや、ホント、求められる男ってのは辛いけど、しょうがない。

 などと内心で少しニヤけかけていた、そのとき――


「希望ですか? でも、組み合わせはランダムで決まりますよね?」

「……え? ランダム?」


 ミコトさんが小首をかしげながら、さらっと言い放った。

 その瞬間、俺の思考が一瞬止まる。


「ルール説明に書いてありましたよ? 組み合わせはランダムに決定されるって。好きな人と組めたら良かったんですけどね」


 ……マジか。

 慌ててクマサンとメイを見ると、二人とも当然のようにうなずいている。

 どうやら俺だけ、最後までルール説明を読めていなかったらしい。あるいは、途中で見落としをしていたのか……。

 とにかく、ギルドメンバー同士で組むという目論見は、もろくも崩れ去った。


「だが、これでもしタッグを組んだら――運命だな」


 落ち込みかけていた俺の耳に、クマサンの静かな声が届く。

 その言葉に、思わず息を呑んだ。

 そうだ。ランダムといっても、俺がこの三人の誰かと組めないと決まったわけじゃない。

 ランダムという理不尽を超えて繋がる絆――俺達にはそれがあるんじゃないだろうか。

 もしかしたら、今回のことは、俺が誰と一番強い繋がりを持っているのか、それを知るチャンスなのかもしれない。


「運命、ね。……確かにそうかも」


 メイが腕を組み、口元に笑みを浮かべる。

 その隣で、ミコトさんが小さくため息をついた。


「もう……そんなこと言われたら、誰と組むのか余計気になってくるじゃないですか」


 二人の視線が同時に俺へと向かう。

 いや、俺だって、めちゃくちゃ気になってるんだよ……。

 でも、もし組む相手を選べるのなら――


【タッグの組み合わせが決まりました】

【各タッグをそれぞれのスタート地点に転送します】


 自分の希望を考え始めた瞬間、システムメッセージが現れた。

 そしてすぐに、視界を光が包み込む。


 ――光が消えると、周りの景色が変わっていた。

 ついさっきまで街の入口にいたはずなのに、今は巨大な大聖堂のすぐ脇に立っている。

 ここはベルンの街の中央からやや北寄り――どうやら、これが俺のスタート地点らしい。


「……さて、俺の運命の相手は、一体誰なんだろうな」


 俺の視界にはまだ誰の姿もない。転送にタイムラグがあるのかもしれない。

 現れるのは――クマサンか、ミコトさん、メイか。

 あるいは、シア、ねーさん、ミネコさんの可能性だってある。

 胸の鼓動が、少しずつ速くなる。


「運命の相手? 何をおかしなことを言っている」


 声はすぐ後ろからした。

 慌てて振り返る。


「げっ!?」

「なんだ、その不満そうな顔は! それはこっちの反応だぞ!」


 俺の後ろに立っていたのは、緑のローブを纏った、長い金色の髪、切れ長の青い目、そして何より特徴的な尖がった長い耳をしたエルフの男――「片翼の天使」のギルドマスター・ルシフェルだった。


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