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幕間 獣耳族VS鳥族

 ガルディウス視点です。お気を付け下さい。

「待ちなさいっ!!」


 サーラスティが、そう叫んだ。


 オレとサーラスティは、鳥族の集団を追いかけている。

 鳥族の集団は止まることなく、オレ達が先ほど通ってきた山の方へと逃げていく。


 何のつもりだ?

 オレ達と戦うために、サイを囲んだんじゃないのか?

 なぜ、逃げる……?


「もうっ!!」


 サーラスティが苛ついているのが分かる……。

 このままだと面倒だ……。

 八つ当たりをし出す可能性がある……。


「サーラスティ、落ち着け」

「はあ!? 落ち着いていられる訳がないでしょ!! 急に襲われたのに、黙ってるなんて出来ないわよ!!」


 やはり無駄か……。


「敵の様子がおかしい」

「そんなの分かってるわよ!! 大切な時間を奪ったアイツらを懲らしめてやるんだから!!」


 大切な時間……?

 ああ……、パントロと、しばらく会えなくなるからか……。

 ふっ。パントロは愛されているな。


「ん!?」


 唐突に炎の玉が飛んできた。

 オレ達は炎の玉を避け、更に鳥族の集団を追う。


 四人か……。

 全員似たような鳥族だな……。

 どいつが魔法を使えるのか、いまいち判断が出来んな……。


「それにしても、鳥族って、似たような奴らばっかりね!」

「ふっ……、パントロが聞いたら悲しむぞ?」

「あら? パントロは違うわよ? あんなにカッコイイのに分からないはずがないもの!」

「ふっ。そうか……。ん? またかっ!!」


 どうでも良さそうな会話をしていると、またも炎の玉が飛んできた。

 オレ達は炎の玉を避け、走り続ける。


「さっきから、魔法ばっかりね……」


 サーラスティが、そう呟いた。


「ああ……、まるで、オレ達の注意を引きつけるような動きだ……」


 ん? それが狙いか……?

 だとしたら、何故だ……?

 オレ達以外に……。

 そうか……、なるほどな……。


「狙いはパントロか……」

「ええ……、そうでしょうね……」


 オレの呟きに、サーラスティが反応した。


 おそらく、敵の狙いはパントロだ。

 オレ達を引き離し、魔王になったパントロを倒すつもりなのだろう。


「どうする? 戻るか?」

「パントロなら大丈夫よ。ガルディウスだって、あの戦いを見てたでしょ? 」

「ああ……」


 魔王決定戦での、パントロの強さは常軌を逸していた。

 パントロが高速移動と呼んでいる技、アレはとてつもない技だ。

 師匠の弟子であるオレ達の誰もが、パントロの位置を何度も見失った。

 観客席で、俯瞰で見ていたのに見失ったのだ。

 しかも、パントロは鳥族の身体で、硬質化を使いこなしている。

 転生して分かったが、スライム族以外の身体で硬質化をするには、魔力操作が飛び抜けて上手くなくてはならん。

 今のオレには不可能だし、魔力操作が上手いゼウス様でも無理のようだ……。

 さすが神官の息子だな……、魔力操作の上手さも親譲りと言ったところか……。

 パントロは魔法が使えないだけで、魔力操作だけならユカリスにも負けてないかも知れん……。

 やはり、皆が言うように天才なのだろう……。


 パントロは、師匠を超えるほどに強くなっているかも知れん……。

 そう考えれば、パントロを心配する必要なんて無いか……。


「さっさとアイツらを倒して、パントロの所に戻るわよ!」

「ふっ。そうだな!」


 オレとサーラスティは、鳥族の集団を追い、山道を走り続けた。




――


 山道を走り続けていると、急に鳥族の集団が動きを止めた。


「やっと観念したみたいね」

「だといいがな……」


 オレとサーラスティは、警戒しながら鳥族の集団へと近づいていく。


「クッケッケッケッ! 誰がトドメを刺すか、賭けるか?」

「ケッケッ! じゃあ、トドメを刺したヤツには、俺様が飯を作ってやろう」

「クックックッ! 誰があんな不味い飯を食うってんだよ?」

「クケッケッケッ!! 確かに!」


 オレ達が鳥族の集団に近づくと、奴らはどうでもいい馬鹿話をしていた。


「ちょっと!! あたし達に勝てるつもりでいるのかしら!?」


 サーラスティの声が、かなり苛ついている。


「クケッケッケッ! 当たり前だろ! お前らはここで死ぬんだよ!」


 鳥族の一人がそう言った。


「サーラスティ、さっさとやるぞ……」


 オレは両手でしっかりと大剣を握り、腰を落として構える。


「そうね。作戦はいつも通りでいいわね?」

「ああ……」


 いつも通り。

 オレが前衛、サーラスティが中衛と後衛だ。

 これはオレ達二人だけの話ではない。

 仲間内での決まり事だ。

 オレ、パントロ、ボルド、この三人が前衛。

 リンジー、ユカリスが後衛。

 そして、サーラスティが、全体を見渡せる位置で指示を飛ばす。

 これがオレ達のいつも通り。

 そして、師匠から勝利をもぎ取った、最強の布陣だ。


「行くぞっ!!」


 オレは大剣を構えたまま、鳥族の集団へと突っ込んでいく。


 鳥族の集団は、二人が空へ飛び、残りの二人は地上で構えている。


「おらっ!!」


 オレは、地上の二人をまとめて斬るつもりで、大剣を横薙ぎに振るう。


「クケっ!?」


 一人は後ろへ飛び退き、もう一人は空へ飛び上がった。


『フレイムアロー!!』


 後方から、サーラスティの魔法を唱える声が聞こえてきた。

 オレは大剣を振るったまま回転し、一瞬だけ後方を確認する。

 サーラスティの放った魔法が、空に向かって飛んでいくのが見えた。


 よし。

 魔法はこっちには来ないな。


 そう判断し、オレは回転した勢いのまま、大剣を上段に構え、地面を蹴飛ばす。


「ケッ!?」


 先ほど後ろへ飛び退いた鳥族に向かって……。


「おらああああああああああ!!」


 大剣を振り下ろした。

 鳥族は更に後ろへ飛び退いたのだが……。


「ギャアアアッ!?」


 鳥族の片腕にオレの大剣が届いた。

 斬り落とすことは出来なかったが、大きな隙を作ることに成功した。


「おらあああああああああああああああああああ!!」


 オレは間髪入れず、地面を蹴飛ばして鳥族に近づく。

 そのまま大剣を構え直し、今度は横薙ぎに大剣を振るう。


「っ!?」


 鳥族は反応が出来なかったようで、オレの大剣は鳥族の身体に直撃。

 オレは、そのまま勢いよく大剣を振り抜く。

 鳥族の身体は上半身と下半身に別れた。


 オレは大剣を振り抜いた勢いのまま、もう一度上段に構え直す。

 空中に浮いている、上半身に向かって、


「おらあああああああああああああああああああああああああああ!!」


 大剣を振り下ろした。


 鳥族の上半身は脳天から真っ二つに斬れ、辺りに内蔵や血がまき散らされた。


 おっしゃ! まずは一人!

 次は……。


 オレはすぐに他の鳥族を捜す。


「ぐぎゃぎゃぎゃあああああああああ」


 ん……?


 叫び声のする方を見ると、サーラスティの放った大量の炎の矢が、一人の鳥族の全身に命中していた。

 そいつは地面に落下し、地面を転げ回りだした。


「クッ! クケェェエエエエエエエ!」


 空を飛んでいた一人の鳥族が、サーラスティに向かって突っ込んでいくのが見える。


「させるか!!」


 オレは前衛。

 後衛に敵を近づけさせない事も、オレの役目だ。


「いっけええええええええええええええええ!!」


 オレは、空に向かって大剣を全力で振るった。

 突風のような風が生まれ、空にいる鳥族を襲う。


「クケケっ!?」


 鳥族は、急に吹いてきた突風に驚き、動きを止めた。


『アイスランス!!』


 サーラスティの声が聞こえてきた。

 すぐにサーラスティの方を見ると、オレに向けて魔法が放たれていた……。


 なっ!?


 氷で創られた大きな槍状の魔法が、もの凄い速度でオレに向ってくる。

 オレは咄嗟に魔法を避けるために飛び上がった。

 オレの真下を氷の大槍が通過していく。


「何の――」


 オレが文句を言おうと思った瞬間。


「ギャッ!?」


 オレの後方から、一瞬だけ声が聞こえてきた。

 飛び上がりながら後ろを振り返ると、氷の大槍が鳥族の身体を貫きながら飛んでいくのが見えた。


「ガル! ボサっとしてないで次!!」


 サーラスティは、空の敵を見据えながらそう言った。

 どうやら先ほどの魔法は、オレの背後に迫っていた鳥族を狙っていたようだ。


「ふっ! わかってる!」


 オレは地面に着地し、辺りを瞬時に見渡す。


 一人は、オレが真っ二つに斬った。

 一人は、炎の矢が命中し、未だに地面を転げ回っている。

 一人は、氷の大槍が命中し、どこかへ飛んでいった。おそらく死んでいるだろう。

 無傷なのは、空を飛んでるアイツだけか……。


 オレは空を飛んでいる鳥族を睨み付ける。


「クケッ!? ど、どうなっていやがる!? 何が起きた!?」


 空を飛んでいる鳥族が、驚いたような表情をしながらそう言った。


 戦闘が始まったと思ったら、あっという間に仲間の二人が死亡し、一人は戦闘不能状態にされたんだ。

 そりゃあ、驚くだろう。

 だが、オレ達の強さを甘く見ていた貴様らが悪い。


「どうした? 逃げるか?」


 オレは敢えて鳥族を挑発する。

 空を飛んでいるので、挑発して降りてきてもらうつもりだ。


「ガル! アイツは良いから、トドメを刺してきて」


 サーラスティに、そう言われてしまった。


 未だに地面を転げ回っているヤツに、トドメを刺して来いという事だろう。


「アイツは……?」

「ふふん! あたしがやるわよ!」

「ふっ。そうか」


 オレはサーラスティの言葉を聞き、転げ回っているヤツへと近づく。


「クッケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


 後方から鳥族の声が聞こえてきた。

 チラリと確認したが、サーラスティに向かって鳥族が突っ込んでいくのが見えた。


「遅いわね!!」


 サーラスティの声も聞こえてきた。


 確認する必要もないな。

 戦って分かったが、コイツらは弱い。

 いや、オレ達の方が、圧倒的に強い。


 オレは地面を転げ回っているヤツの近くまで行き……。


「おらああああああああああああああああああああああああ!!」


 そいつに向かって大剣を振り下ろした。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 転げ回っていたヤツの、叫び声が響き渡る。


 オレの大剣によって、鳥族の両足が切断された。

 転げ回っていたので、微妙に狙いが外れてしまったのだ。


「動くな……。トドメを刺してやる……」


 オレはそう言い、再度、大剣を振りかぶる。


「アアアアアアアアアアアアアアア!!」


 オレの声が聞こえていないのか、鳥族は叫び声をあげ続けている。


「おらあっ!!」


 鳥族の首を狙って、オレは大剣を振り下ろした。

 そのまま首を切断し、鳥族は動かなくなった。


 おし……。

 後一人だな。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 後方から、鳥族の叫び声が聞こえてきた。

 後ろを振り向くと、サーラスティと鳥族がピッタリと密着している状態だった。

 サーラスティのナイフが、鳥族の腹に突き刺さっている。


『フレイムボール!!』


 サーラスティは、ナイフを突き刺した状態のまま、魔法を唱えた。

 だが、サーラスティの頭上に魔法は創られていない……。


 何だ……?

 魔法の失敗か……?


 オレがそう思った瞬間。


「グギャ!? ギャ!? ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 鳥族が喚きだした。

 サーラスティはナイフを引き抜き、そのまま鳥族から距離を取るように離れていく。


 ん……?

 どういう事だ……?


 そう思いつつ、サーラスティの方へと向かっていくと……。


『バースト!!』


 サーラスティは、またも魔法を唱えた。

 次の瞬間、鳥族の身体が爆発するように破裂した。

 辺り一帯に、粉々になった鳥族の肉片が飛び散る。


「なっ!?」


 驚きすぎて、声を上げてしまった。

 一体何が起きたのか、サッパリ分からん。


「ふふん! これで終わりね!」


 オレがサーラスティの近くまで行くと、自信満々にそう言われた。


「サーラスティ、何をした?」

「え? 何が?」

「さっきのだ。鳥族の身体が内部から破裂したぞ?」

「ふふん! ナイフを通して、アイツの体内に炎の玉を創ってやっただけよ!」


 ナイフを通して……?

 よく分からんな。

 魔法はそんな使い方が出来るのか?


「まあ、今度ゆっくり説明してあげるわよ!」

「あ、ああ……、そうだな。さっさと戻って、パントロと合流するか」

「ええ!」


 オレ達は湿地帯に向かって、山道を走り出した。




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