再び呪いを掛けた王子様 前編
エーベハルト(ハルト)視点です
父上と母上が珍しくこちらに戻って来ているのでラート兄上に会う前に挨拶に行きなさいとの伝言を受け僕は両親がいる部屋へ向かった。
部屋の中には両親しかいなかった。相変わらず仲のいい二人で少し羨ましかった。僕も今頃アンニーナとこんな感じで仲睦まじく生活していると思っていたのに。
そして、両親の周囲を確認すると誰もいないので不思議だった。ラート兄上以外の兄上はこちらに来ていると思っていたからだった。
「エーベ久しいな」
父上が母上との会話をやめて正面に座ってお茶を飲んで待機していた僕にようやく視線がくる。
この両親は会話し始めたらとまるまで待たないと父上の機嫌が悪くなるというのは周知の事実だった。
「父上も母上もご無沙汰しております。」
僕は持ていたティーカップを机に置くと改めて挨拶をした。
二人とも僕と別れた時よりは少し老いているようにみえた。
「本当にね・・・。エーベもすっかり大人になって」
母上は感慨深いのか少し涙目になりながら僕を見つめた。
僕は母国を離れて10年くらいたっていた。
何処の国でも似ていると思うけど長男以外は意外と自由な行動ができる。
さすがに8歳ぐらいで母国を離れ好きになった子の国で過ごしたいと両親に訴えた時は驚いていた。
そして、そのような原因を作ったラート兄上にすごくお説教をしていた。
僕的には運命の人に出会えたのでラート兄上には感謝しかないんだけどな。
「そうだね。手紙だけではどれだけ成長したか想像がつかないからね」
父上は母上の背中をそっと撫でながら慰めていた。
「ところでラートはプロヴァンツァーレ国の王女と会っていると聞いているが他の者たちはどうしたんだい?」
僕が聞きたかった内容を先に父上が確認してきた。
「それは僕も思いました。他の兄上たちはこちらにいらっしゃると思ったのですが・・・」
僕と父上の目が会った後、父上は空を睨にながら「アイツまたつまらぬことを考えているな」
と呟いていた。
「もしかするとアンニーナに何か危害を加えるつもりなのでしょうか?」
僕は焦って立ち上がろうとすると
「ん・・・。それは大丈夫だろう。彼女も中々強いと聞いているが」
「確かに・・・そうかもしれません」
「でも、私がアンニーナさんだったら義理の兄になるかもしれない人を戦わないわよ。大人しく囚われるわ」
「!!そうでしょうか?」
母上の斬新な意見に僕は驚いた。義理の兄・・・そうか、僕の妻になるという事はそうなるのか
「おい、エーベお前表情が崩れてるぞ。とりあえず、今プロヴァンツァーレ国の王女がどうなっているか確認しないといけないな」
父上は側近を呼び謁見内容を確認すると、時々僕の方をみながら頷いていた。
そして側近の人が部屋を出ると
「エーベ、すまないがプロヴァンツァーレ国の王女はラートによって貴族牢にいれられたようだ」
「貴族牢だって!」
貴族という名前が付いていても牢は牢だ。僕はすぐにアンニーナがいるところに向かおうとした。
「残念ながら、エーベは入ることはできないよ」
「父上どうしてですか!」
「ああ、ラートの奴塔の方に収容したみたいだ」
「塔ってあの?」
「ああ、王族の寵愛を逃れようとした者が入れられるところだよ」
僕達セプテントリオ王族は他国の王族よりも執着の度合いが強いと言われている。もちろん全員が相思相愛になるということは無い。そんなときに昔のセプテントリオ王族が執着した相手を愛でる為に建てられた棟があった。
さすがにその塔の最上階は入れた王族の王妃か側妃だと塔の関係者に認知されてしまうので一つ下の階に入れられたらしい。僕もラート兄上とやりあうのは本意ではないので良かった。
まあ、それだとアンニーナが僕の知らない間に他の異性と出会う事もないし勝手に出ていくこともないだろうから安心ということか・・・などと考えてしまうのはやはりこの王族の血を受け継いでいるからなのだろうか。
「その塔に入ってもアンニーナが不自由になることはないんですね?」
僕の真剣な表情に父上は何かを察知したのか慎重に頷き
「ああ、専属の侍女をひとり付けたらしいし衣食住はこちらの王族レベルに管理されている。まあ国賓扱いよりも身内に近い感じになるのは性質上仕方がないけどね」
「だったら当分様子を見る事にします」
「ああ、そうしてくれ。まったくラートも何を考えているのだか」
父上が珍しくラート兄上に呆れていた。
「エーベ、私からもきちんと監視の目を入れるので安心しなさい。アンニーナちゃんは決して不自由にしないわ!」
「母上ありがとうございます」
こうして、僕の久しぶりの両親との会話は終了した。
【注意と補足】
その1 基本的にアンニーナさん、軟禁状態ですからね。安心しちゃダメですよ。
その2 コンラート王太子は奥様大好きマンなのでアンニーナちゃんの事をどうにかする気はありません。変に第三者と知り合う機会を防ぐためにその塔に入れるのが一番だと考えただけです。自国の王族の執着具合を一番理解しているんでしょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました。




