冬麗の陽気とうらはらにガチギレ王族の父現る
「アンニーナ様、クスクス・・・」
ちょっと!バレリアさん?今クスクスって笑いましたよね?
私地獄耳ですからっ!ちゃんと聞こえましたよ!
「書類・・・減らないデスッ」
確かに必要な資料と共に書類をまとめてくれてるけど久しぶりの書類作成は肩が凝りますね。
私は自分の肩をトントンと叩きながらストレッチのつもりで肩を上げたり下げたりしていた。
「アンニーナ様、あまりそのような事は・・・」
行儀悪いの分かるけど・・・誰も見てないじゃん!いいじゃん!
王女にも自由を~!おぉ~!とバレリアに小さく抗議をしていると。
トントントン
ほとんど人が来ないこの部屋にノックが響いた。
「誰かしら?マリウス君かな?」
そういえば最後に会った時、マリウス君顔色悪かったよね。大丈夫なのかな?まあ、王族っぽいし大丈夫だろう。
「失礼するよ?」
開錠音と共にドアが開くとそこには少しお年を取った男性が入ってきた。
私は無意識に立ち上がりその男性の方を見た。
「どなた様?ですか?」
私は確認すると、ニコリと微笑みながらの男性がソファーに腰掛けた。
バレリアは無意識にお茶の準備をし始める。
「えっと、マー君・・・マリウス様の部下って感じ?」
この国は上司をニックネームで呼ぶ文化なの?フレンドリーだなっ。
と思いつつオホホと愛想笑いをしているとバレリアがお茶の準備をしてくれた。
「ありがと。では早速いただくね」
その男性は優雅にティーカップに口を付けると
「うん。とっても美味しいね」
「ありがとうございます。」と言った後、バレリアは即座にその場を離れた。
私もつられて一口飲む。うん、美味しいね!
すると、その男性はティーカップを机に置くと
「私の事はラルと呼んでくれたら嬉しいな。プロヴァンツァーレ国のアンニーナちゃん」
「あっはい。私の事はどうかアンニーナとお呼びください」
私は思わずそう告げると
「そんな呼び捨てにすると怒られちゃうよ。アンちゃんとでも呼ばせてもらおうかな」
「はい。分かりました」
しばらく無言だったがラルさんが話始めた。
「いや~、マリウス様から話を聞いた時は驚いてね・・・。冗談だと思ってこちらに来てみたら本当にここにいるんだもん」
いやいや、それ私が一番思っている事ですから。
「はぁ~」
「どう?理不尽な事になっているとは思うんだけど不自由はない?」
「はい。今の所事足りています・・・かね?」 衣食住に関しては・・・だけど。
「会いたい人とか・・・いない?」
ラルさんが唐突にこんな質問をぶつけてきたので私は驚いた。
しかし
「そうですね。公人としては私の為に付いてきてくれた人たちに会いたいですね。彼らこそ不自由な思いはしていないかとても気になります。」
「ははは。そうだよね。王族だもんね。君は自国民を大切に思っているんだね」
「それは、どこの国の王族も同じではないでしょうか?」
私は何言ってんだコイツ?と思いながらラルさんに返答した。
「では、私人として会いたい人はいないの?」
ラルさんは再び私に質問をしてきた。それも今一番聞かれたくないやつ。
私は、彼に会いたいのだろうか・・・。
どうやら私は相当困った表情をしていたらしい。ラルさんはフフフと笑うと
「どうもいじわるな質問をしてしまったようだね。ごめんね」
と謝ってきた。
「いじわるだなんて・・・。そんな事ないんです。私は判断するのは早い方だと自負していたのですが情けないですね。すぐには答えられませんでした」
「それは会いたくないから?」
「前の国で色々な事があって自分の感情が見えなくなっているからだと思っています。だから、正直この状態に少しだけ感謝しているんです。自分を見つめなおす時間が欲しかったので」
「そうか・・・」
私の言葉を聞き終えたラルさんは静かに立ち上がった。
私も一緒に立ち上がると、二人でドア付近まで移動した。
「でも・・・。」
ドアを開き体を半分外に出した状態のラルさんに向かって
「どうして会いに来てくれないんでしょうね?」
私は首を傾げながらラルさんに質問した。
ラルさんが驚きを隠せなかったのか目を見開き何か話そうとした時に、看守によってドアを閉められた。
その後の施錠の音がいつもより響いた気がした。
ジラルド・ヒエムス・セプテントリオ エーベハルト達のお父さん、つまり現国王
まだ、アンニーナは知らないので秘密にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。




