冬麗の陽気とうらはらに仕事ってどこでもできるんデスネ
「アンニーナ様、おかわいそうに・・・」
バレリアが書類の山に埋もれている私を見つけようと隙間から顔をチラッチラッと覗かせている。
えっ?うん。気が散るから止めて。
普通さ、よく考えてみて?
自国の王女貴族牢に軟禁される。
私の使用人達とかが自国に慌てて報告する。
お父さんご立腹する!
私を取り戻しにちょっと兵とか出しちゃう。
私「喧嘩はだめです!さっ、みんなお家に帰りましょう!」
で、帰国する!
この流れじゃない?そして、自分のお城に戻ればお母様とか従姉のエーヴィーとかがきつく抱きしめながら「怖かったでしょ?」「ううん。みんなの顔を見たら安心しちゃった」といいながら目元をそっと拭く!そして、めでたしめでたしって感じになるんじゃないの?ねぇ!そうでしょ!!
でもね、現実は厳しいものよ。
監視役のマリウスさんが突撃して二日目に大きなトランクケースを使用人に持たせて部屋にやってきたの。そして、ものすごく申し訳なさそうな表情で
「あの~。これ・・・。プロヴァンツァーレ国から届きました。中身の確認は上層部が検品したそうで・・・。僕は確認していませんが返却されるときに『がんばってくださいって伝えてください』との伝言をもらいました。なかなか仕事のできる文官が言ってたので・・・。がんばっ」
前回会った時よりも少し顔色の悪いマリウスさんはそれだけ言うとすぐに部屋を出ていってしまった。そんなにやばいブツが入っているのかな?もう届かなかったみたいな感じで開けるの止めるのとかできるかな?
「アンニーナ様、早くお開けになってくださいもしかすると国王様からの直筆の手紙とかあるかもしれませんよ?」
バレリアの言葉にあっと思いながらイヤイヤそのトランクを開けた。
「ナニコレ・・・」
中にはいっぱいの書類が入っていた。提案書とか予算表とか。そしてその書類の一番上に寄せ書きの様に皆から一言メッセージが入っていた。
「精進せよ」
「あら?大変ね。睡眠はきちんととるのよ?」
「ちょっと!苦手な予算表をこっそり忍ばせるの止めれ!私は外回りの公務が忙しいからおすそ分けしてあげる♩」
私は読めば読むほど味が出る・・・。ではなく書いている本人が浮かび上がってくるのをがんばって蹴散らせた。
「まあまあ、皆さまアンニーナ様を不安にさせないようにと普段道理にしようとしてらっしゃって・・・」
バレリアさん?よく見てみ?これ普通のお手紙以下の内容だよね?「どうした?」とか「すぐそちらに使いの者をよこす」とか「我慢してね」とか書いているんじゃないの・・・。えっ?私が悪いの?
私は持っていた手紙を思わずグチャっと丸めると最上階ではない棟からレーザービームのような剛速球で外に投げ放った。
が、窓が完全に締まっているのを忘れて「カサッ」と壁に当たった紙の音だけが虚しく響いた。
「むっ、無念!」
私は思わず膝を床に付き騎士が試合で負けた時のような気分で呟いた。
「はいはい。アンニーナ様騎士道ごっこは終わりにしてさっそくこのお仕事を始めましょうね」
女子って切り替え早いよね~。
私は口を尖らせながら渋々書類の整理から始めた。
あっ、これこっそりエーヴィーの方に回していた書類がきっちりと返ってきてる。
あ~、この予算案の季節かぁ~。あの担当文官細かいんだよね・・・。
私が担当の色々な種類の書類が入っていたが確かにこれだった他国の人に見られても問題のない内容ばかりだった。全ての内容を把握できるほど検閲に時間をかけることもできなかったと思うしね。
その日は書類の整理だけで一日終了した。
「まあ、お仕事はしんどけどいい暇つぶしにはなるかもね~」
私はお風呂から出ると冷たい飲み物をくちに含めながらぼやいていた。
「確かにそうですが、一体いつまでこの生活が続くのでしょうね?」
バレリアは私の寝具を整えながら言っていた。
「なんか、バレリアまで巻き込んでごめんね」
私は急に申し訳なってバレリアに謝ると、バレリアは首を横に振った後
「私は全然苦労なんてしていませんよ。アンニーナ様と別々に収容されるようがもっと気が滅入っていたと思います」
それはとてもバレリアらしい発想だなと思いながら「ありがと」と感謝を述べた。
「さて、王妃様もおっしゃっていたのでそろそろお休みください」
「は~い。じゃあまた明日ね」
バレリアは私がベッドに入るのを確認すると部屋の照明を落とし隣の使用人の部屋に戻っていた。
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