セプテントリオ国へのプロローグ(表)
お久しぶりです。うふふ。お待たせしています。
「それでは私はこの辺で失礼いたします。何か御用があればいつでもお呼びください」
バレリアは必要事項だけ言うと私の列車の個室から出ていった。
「バレリアさん、なんだかよそよそしいですね?さっ、姫、冷えてくるのでこのひざ掛けと後、温かい飲み物を用意しますね」
いつも通りのハルトは私を甲斐甲斐しくお世話しようとしていた。
「ハルト・・・。いえ、エーベハルト王子このような事は不必要なのでどうかご自分の車両にお戻りください」
私は目の前でお茶を沸かそうとしている王子様に丁寧に断りを入れた。
「姫!そんなことを言わないでくださいよ!」
エーベハルト王子は悲しそうにこちらを見ていたが
「そう言われましても、エーベハルト王子の従者が困っていますよ」
そう、オッキデンス王国からセプテントリオ王国へいつものように特別列車で移動しようと乗り込んだ時セプテントリオ王国の使いの人がエーベハルト王子を一目見ると駆け寄ってきた。
「エーベハルト王子、よくぞご無事にここまで大きくなられまして!コンラート王太子様も大変心配しておられます。さあさあ、こちらに王子専用の車両を用意しておりますのでお乗りください」
私たちはその列車を見るとそれはまぁ~豪華な車両でした。
確かに私達に割り当ててもらった車両も王族が乗るには問題ない豪華なものだったが、とりあえずエーベハルト王子がセプテントリオ国に大切に扱われているのが十分理解できるものだった。
しかし、エーベハルト王子は首を横に振り
「いいえ、私はアンニーナ姫と同じ車両に乗ります。どうかせっかく今回お披露目した私の専用車両ですのであなた達がお乗りください」
とはっきり断っていた。えっ?私はいいからそっちに乗りなよ!巻き込まないでぇ~。
エーベハルト王子の側近?達は私達をチラリと確認したあと、でもでもだってとごねていたがエーベハルト王子の表情が曇るとすぐに「分かりました」と言ってその車両に乗り込んだ。
「お騒がせしてすみません。さて、姫列車に乗りましょう」
「ハイ、ワカリマシタ」
私はエーベハルト王子にエスコートされながらあてがわれた車両に乗り込んだ。
っていうのがさっきまでのお話。
そして仕事のできる使用人ほど相手がどれだけ大切にされているかを目の当たりにしてそれを逆算しながら対応をしてくれる。きっとさっきの丁寧な対応はバレリアなりの考えだったんだと思う。
今までは、三人であ~でもない、こ~でもないと次の国に対して特に内容のない会話をしながら楽しんでいたけど、そうはいかなくなっちゃったな。
そして、今回はあのユーリアの交代劇もあった。別にオッキデンス国での対応が悪かったとかじゃなくってあの国で仲良くなったメイリンともう少し一緒に過ごしたいという事で休暇を兼ねての交代になったらしい。どうやら、メイリンの事が好きな貴族子息がいてどうしようか悩んでいるという恋の相談もいつも間にか受けていたんだって。ちょっと私もユーリアに相談すればよかった・・・。
エーベハルト王子は結局私と自分の二人分のお茶を入れると
「本当ならバレリアさんがきっと持ち込んでいただろう『おもろい世界のステップの仕方』を元に私が補足説明をしようと意気込んでいたのですが・・・。私が説明することにしますね」
エーベハルト王子は車窓に視線を移し目を細めながら景色を見ていた。
「姫の今の状態でご理解していただけると思いますが、セプテントリオは一年中寒い地域になります。一番温かい日でも多分姫は寒いと感じるでしょう。そんな国です。農作物はあまり育ちませんが、魔物が多いので国民の魔力も周辺国に比べると平均的に高いです。それを利用して魔道具の製品を特産品としてますね」
確かに、私はエーベハルト王子にひざ掛けをかけてもらって足元が落ち着いたような気がした。
でも、魔道具が特産品って言うのは初めて聞くかも・・・ん?学んでたかな・・・。
「あと・・・。」
「あと?」
エーベハルト王子は少し恥ずかしそうに私を見ながら
「星が・・・。夜空に輝く星がとっても綺麗なんですよ」
「へぇ~。」
「セプテントリオにいる間に一緒に見に行きましょうね!僕のおすすめの場所があるんです!」
「うっうん」
最後は、いつものハルトのような口調だったので私も以前の雰囲気で答えた。
はぁ~。私はこの王子とこれからどうなるんだろ。
私の重い気持ちとセプテントリオ王国の空模様が重なるような曇り空で向かい入れられようとしていた。
最後までお読みいただきありがとうございました。




