ほぼ双子王子の後悔の始まり
ミンユ視点です。
「フォンユ、姫たちは次の国へ向かったらしいよ」
僕はわざとらしく明るい声でフォンユに声を掛けた。
フォンユは必要な荷物の最終確認をレイと一緒に行っていた。
レイ、そうアンニーナ姫の前で使っていたフォンユの偽名だ。
この事件が発覚した後、二人でレイに謝りにいった。
「大丈夫ですよ。僕はただ名前を使われただけなので・・・。お話を聞いた時はさすがに驚きましたけどね!」
と軽口をたたきながら許してくれた。
※※※
表向きにはプロヴェンツァーレとの合同の魔物討伐と発表された。意外と魔物に対して恐怖心を抱いていた国民は多かったらしく大変喜んでくれた。
実際は、アンニーナ姫一人で片づけたようなものだったんだけどね。
結局アンニーナ姫は討伐の報奨金を辞退した。そしてセプテントリオ国の王子がそのお金を元に多くの魔物が発生した原因を追究して欲しいと提案してきたのでそれに乗る事になった。
「ミンユ、フォンユ、お前たちにその魔物の発生した原因の追究を命じる。何人か手を貸してくれる貴族の子息がいるそうだからその者たちと共に行くように」
「「かしこまりました。お父様」」 僕とフォンユは同時に返事をした。
お父様は声を潜めながら
「今回の件で、こちらとプロヴェンツァーレの国力の差が明るみに出てしまった。アンニーナ姫は自国には報告する気はないようだが、誰かがあちらの国王に耳打ちする可能性がある」
と言いながら溜息をつき
「私が其方たちを城に囲いすぎたのかもしれんな。」
確かに僕たちは実戦経験が圧倒的に少ないという事はアンニーナ姫の戦った魔物の数を見て思った。
でも、僕達も経験を積めばそれなりに強くなれるとは思っている。
そして、僕達の魔物討伐の出発日はアンニーナ姫がこの国を出る日に決まった。
僕達とアンニーナ姫を会わさないようにするためだろう。
※※※
実を言うと、僕とフォンユの関係に少し変化があった。
いつもなら二人で一人なんじゃないかと使用人たちにもからかわれるほど一緒にいたがこの頃は別々で行動することの方が多い。
別々で行動というよりは・・・。
「フォンユ・・・。」
僕がフォンユを呼んでもなかなか気づいてくれない。そして彼は窓辺に座っていつも同じ方向を見ていた。僕がフォンユの肩にそっと手を乗せると、ビクリと驚きようやくこちらを見る。
「ああ、ミンユ。ごめんね。何か討伐の準備に不備があるのかな?」
今回の討伐の準備はほぼフォンユが中心になって行われていた。
僕も手伝っているが、なんというかフォンユの本気度がすごかった。
まるで何かを忘れようとする為に必死になってもがいているみたいだった。
僕は、フォンユに微笑みかけながら首を横にふった。
「フォンユが完璧な準備をしてくれているから僕は何もしてないよ。あんまりフォンユばかり頑張ると僕が何もできない王子になっちゃいそうだ」
と冗談交じりでフォンユをからかうと
「あ・・・ごめんね。僕・・・周囲の事を何も考えずに行動しちゃったかな?」
フォンユは立ち上がりながら僕に謝る。
「いや、大丈夫なんだ。すごく頼りになってるよ。それでね・・・」
僕が話の続きをしようとするとフォンユは再び同じ方向を眺めはじめた。
僕は苦しくなって後ろからフォンユを抱きしめた。
「もう・・・。いないんだよ。アンニーナ姫はさっき出立したって言ったじゃないか」
すると、フォンユは僕の腕をそっと握り
「うん。分かってるよミンユ。でも、でもね。もしかしたら〝レイ!〟って僕を呼びながら僕の元に帰ってきてくれるかもしれないでしょ?」
フォンユは僕の方を振り返った。その瞳は僕を映してはいない。
「フォンユ・・・。ごっごめん。僕・・・。僕が代わりに・・・。」
君の想い人になれたらいいのに・・・。
もう、僕がいた場所には姫が微笑んで座ってしまっているんだね。
かわいそうな、フォンユ
残酷な、現実
それでも、がむしゃらに魔物を狩り続ければこの後悔もフォンユの想いもいつかは消えるかな?
「「無理だろうな・・・」」
僕とフォンユは言葉を重ねる事はできても、心を重ねる事はできなくなった。
最後までお読みいただきありがとうございました。




