完全に呪いの解けた王子様 後編
ハルト視点です。
僕はしばらくその魔法陣を眺めていると、光り方に違和感を感じた。
確かに鮮やかに輝いていたけどこの光り方は何だ?ここまで光ると服を着ていても光が漏れてしまう。
どうしようか悩んでいると
「えっ、魔法陣が・・・」
魔法陣が一瞬フラッシュのように光ると中心からひびが入る。そのひびは一気に広がり光の粒になって消えてしまった。
「魔法陣が消えた・・・。」
その瞬間に僕は本来の姿に戻った。
久しぶりに見る長い黒髪、ハルトとは違う整った顔をそっと手で確認した。
そしてそのまま魔法陣があった場所を触るとそこには何も残ってなかった。
もしかすると姫に何かあったのかもしれないと思い、僕は本来の自分の服を着て部屋を出た。
長い髪が邪魔だったので部屋にあった適当な紐で一つにまとめながらとりあえずバレリアさんに今までの事を説明し一度城を出る相談をしようと廊下を歩いていると
「フォンユ!どうしたんだい?まだ城に戻る時じゃなかったっけ?」
僕は、一瞬使用人として挨拶しようとしていたが止めてミンユ王子の話を聞こうと思った。
「アンニーナ姫をきちんと別荘に連れていったんだろ?今日は二人で別荘の周囲を散歩するはずじゃなかったかな?」
ミンユ王子はなぜか僕をフォンユ王子と呼びながら今姫がおかれている状況を説明しだした。
姫を城の外に出したのはコイツらだったのか。僕は一気に苛立ち始める。
でも、ミンユ王子はそんな僕の様子を気にすることもなく
「アンニーナ姫には早くこの国を出ていってもらわないといけないから早く実行しないといけないよ」
僕はその言葉に嫌な予感をした。
「大丈夫だよ。彼女だって王族なんだから魔物が突然襲ってきてもただやられてしまうわけではないだろう」
ミンユ王子は楽しいいたずらをこっそり話すように僕に伝えた。
「さすがに怖い目にあったら彼女もこの国をイヤになると思うしね・・・?フォンユどうしたんだい?」
さすがに何も話をしない僕に違和感を感じたのか目を細めながら聞いてきた。
僕はニコリと笑うとミンユの周囲にいた使用人たちを視線で下がらせた。
フォンユもよく使うのだろう使用人たちは頭を下げてその場を立ち去った。
そして、僕は誰もいない部屋にミンユ王子を連れ込んだ。
「フォンユ、どうしたんだ?今日はいつもと雰囲気が・・・」
「その件ですが、もう少し詳しく教えてもらえますかね?ミンユ王子様?」
僕の声を聴いたミンユ王子は顔色を変えた。
「おっお前は誰だ!」
ミンユ王子はすぐに人を呼ぼうとしたが僕はそれを許さなかった。
ミンユ王子を壁際に押し付け喉元に自分の膝を押さえつけながらミンユ王子のリクエストに応えてやった。
「これは、これは、名乗りが遅くなって申し訳ございませんね。私は、セプテントリオ国第四王子のエーベハルト・ヒエムス・セプテントリオと申します。以後よろしくお願いしますね」
ミンユ王子は息ができないらしく僕の腕を何度も叩いた。
「では、次に私の質問に答えてもらえますか?姫、私のアンニーナ姫は一体どこにいるのでしょうか?」
僕はミンユ王子の耳元できちんと質問が聞こえるように話した。
「とっとりあえず、これを放して・・・放してほしい」
「逃げたり人を呼んでもいいけどその時は、武力行使で訴えますからね?」
「分かった!分かったから!」
ミンユ王子の言葉を信じ彼から少し距離をとった。ミンユ王子は咳こみながらズルズルと身をかがめて気道を確保していた。
「で、ちゃんと説明してもらおうか?」
僕はミンユ王子に微笑みながら同じ質問をした。
ミンユ王子は、アンニーナがこの国に来て自分がフォンユと婚姻関係になるのが怖かったのでアンニーナがこの国から早く出ていってもらうという話になったらしい。
しかし、自分の母親たちがアンニーナを気に入ってしまいあからさまな行動ができない
だから
「相手の想い人に変身できる能力?」
フォンユ王子だけが持っている能力を使ってアンニーナをおびき寄せて少し怖い思いをしてもらおうという内容に変更したらしい。
「その相手が・・・私か・・・」
ミンユは申し訳なさそうな表情をしながら頷いた。
「見た目は君だったよ。僕はてっきりフォンユが城に戻ってきたと思って自ら本人にネタ晴らしをしてしまったという事さ」
ミンユ王子はまぬけだなと自虐的に呟いていた。
僕は、何も言わなかった。
「ミンユ王子、とりあえずアンニーナ姫の元に連れていってくれるよな?」
僕の言葉にミンユ王子は頷くしかなかった。
最後までお読みいただきありがとうございました。




