エーヴィーの(アンニーナがいない)日常
アンニーナの従姉のエーヴィーさんの視点です。
代理って大変
「兄弟って必要だと思う」
誰もいない執務室に一人でペンを走らせていた。
確かに、確かにアンニーナがお外に行っている間は私が穴埋めするって言ったけど、アンニーナが呪いにかかった原因の一旦は自分にあるかもって思ったけど
「信じられないくらい仕事の量が多いんですけどぉ~」
私の父は王弟なので本来私はそれほど書類仕事とかお外回りとかはない。
だからちょっと興味本位でアンニーナの仕事をお手伝いしてみたいなぁ~なんて出来心でいったのがダメでした。大好きな魔術のお勉強もできないし、師匠の魔女・ダーラも『本業を大切にしな』って言って課題をだしてくれないし・・・。これ本業じゃないですからね!あくまでもお手伝いなんです!
イヤでもこれ、アンニーナが女王様になったら本格的に魔術師になる修行とかしようと思っていたけどお手伝いしないといけないレベルかもしれない。
今の仕事もアンニーナの分を家族で(両親と私の三人で!)回しているんだからね。
さすがにお母様は予算案とかはできないから主に社交で頑張ってもらっているけど。
お父様もあまり国の根幹にかかわりすぎると・・・ね。余計な事を囁きだす貴族もいるから自ら距離を置いている感じかも。
だったら誰がメインで仕事をするの?ってなったら私になっちゃうのよね。
まあ、普通だったら似たような環境の二人だからいつも周囲は私達を比べて・・・アンニーナとは仲が悪いみたいな感じになると思うでしょ?
そこはどこの国でも同じだと思うんだけど直系血族が優遇されるのよね。
アンニーナしか習っていない座学もあるしね。
アンニーナに限って不慮の事故とかありえないしね。あの魔力量オバケは少しぐらいのことなら魔力でどうにでもしてそう・・・。こわっ。
でも、魔術にはあまり興味がないのが不思議なんだよね。
私が嬉しくて丁寧に説明しても「ふぇ~ん」とか「ほぉ~ん」みたいな感じで聞き流しているし。
だからといって魔物討伐は生き生きしながら屠っていくんだよね。不思議な人です。
アンニーナの事を思い出していたら会いたくなっちゃったな。
この前聞いた時は最後の国に滞在してるって報告を受けたんだよね。
そう、アンニーナに祝福という名前の束縛を与えたハルト君の国
実は、アンニーナが表敬訪問に行ってしばらくした後、魔女・ダーラに呼び出されて教えてもらったんだよね。まあ、お勉強になるって言うか研究材料になるっていうか。
師匠がアンニーナに許可をとって魔法陣を複製させてもらったんだって。
もちろん師匠の方が魔力が強いからその魔法陣を壊すことはできたみたいなんだけどまあ、自分たちでなんとかできるでしょうって思ったみたい。
自分の想いを胸に秘めながらひたすら傍にいるってハルト君どんな気持ちだったんだろうな~。
まあ、アンニーナが他の人を好きにならないように牽制してたりしてたのかな?
時々、私にも痛い視線を投げかけていたから男女問わず牽制してたんだろうな。
っていうか私は身内なのに、どれだけ嫉妬深いのよ!!
「まあ、私もそんな風に誰かに必要とされてみたいよね」
女性なら誰しも憧れるかも。あっ、ハルト君ほど執着されるのはちょっと無理だけどね。
「あんたは、いつまでトロトロと仕事をしてるつもりなんだい?」
その言葉と共に頭にゴチンという音と鈍い痛みが走った。
私は頭を抑えながら振り向くと
「しっ師匠!どうしたんですか?」
魔女・ダーラが杖を持って後ろに立っていた。
「あんたに用があるから待っていたけど全然現れやしないから来てやったんだよ」
私はまだ痛む頭をさすりながら
「すみません。もう少しで終わりそうなんですけど・・・」
「その残りは本人にやらせればいいんだよ」
「あれ、もう城に到着したんでしたっけ?」
「そうだね。謁見も終えて今は家族団らん中だよ」
その言葉を聞いて私は、未決済の書類をまとめた。
「では、アンニーナにお仕事を返してきます!」
私は立がると
「ちょいとお待ち。あんた、この前の話本当にいいんだね?」
師匠が難しい顔で私を見た。
「はい。もう両親にも話しました。さすがに少し泣かれましたがこれもプロヴァンツァーレ国の為だと思ってくださいって伝えると渋々ですが納得してくれました。」
「・・・そうかい。じゃあ、決意が揺るがないうちに魔法陣を入れてもいいかい?」
「はい、お願いします。」
師匠は一つ頷くと先ほど私の頭を叩いた杖の先を私の心臓の上に突きつける」
先が少しだけ鋭利なので気持ち痛いような気がした。
『Da mihi parum』
師匠がそう言うと胸の辺りが焼けるようにジワリと熱を持った。
すっごく長く感じたけれど多分数秒ぐらいだったと思う。
「気分は悪くないかい?」
「はい。大丈夫です。」
師匠は「あたしの魔法だからね」と自慢げに言った後
「これで少しずつアンニーナから魔力を貰う事になる。彼女達が神の下に旅立たれたらお前が次期プロヴァンツァーレ国の魔女・ダーラとなるのさ。」
「・・・はい。分かりました。師匠」
「分かっていると思うけどこの話をするのは何十年もあとの事だからね。まあ、あたしの体調が悪くなるころぐらいで大丈夫だろ」
「師匠~。」
師匠の言葉に悲しくなって思わず抱き着くと珍しく抱きしめ返してくれた。
「馬鹿者、それが何十年後の話だといってるだろうが。まあ、寂しく思ってくれるのはうれしいけどね。」
「そろそろ、アンニーナに会いに行っておやり」
師匠はその言葉を言うとそっと私を引き離した。
「はい!アンニーナに押し付けてきます!」
私は意気揚々と自分の執務室を出た。
そして、外で待ち構えていた文官に捕まった・・・。
最後までお読みいただきありがとうございました。




