↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第五章:ヘタレのジル、自分の過去を知る。
91/122

神の襲撃

僕とシルヴィ、ゼアスさん、そしてエリシアとランディットさんは、ギルドの建物の中に駆け込んだ。


ギルドの中は静まり返っていて、その中央に白髪の男が立っていた。


その男を取り囲むようにギルドのS級冒険者たちが武器を構えて立っている。

マスターまでもが、珍しく杖を構えていた。


その取り囲まれた男が振り返って僕の姿を見つけると、楽しそうに笑った。


「やぁ、ジル=オルドランド。お前にはとても会いたかったよ」


そう言いながら、冒険者たちの包囲が見えていないかのようにこちらに歩いてきた。


…夢の中に出てきた男だ…。

この人が神…。

でも、背丈はほとんど僕と変わらず、見た目も普通の青年だ。

本当に、この人が…?


神が一歩を踏み出した瞬間、ギルドの冒険者たちは魔法や斬撃を放つ。

大量の攻撃が重なり煙をあげるが、その煙の中から男は何事も無かったかのように歩いて出てきた。

いや、何事もなくはない。

神の体は傷になったが、表情は全く変わらない。

足取りも、しっかりとしたまま歩き続け、僕の前で止まった。


「お前は力を手に入れたね。僕よりも強い力を」

「…これは…元々僕のものだよ」


僕は神の目をじっと見る。

そう、これは僕の力。

僕はこの力を取り戻した。

神に負ける訳にはいかない。


「へぇ…随分強気なんだね。ナメクジ野郎の分際で」

「…!」


僕のあだ名を知ってるのか…。

そう呼ばれるのは、そう罵られるのは久しぶりだ…。

いい気分は全くしないけど、少し懐かしい。


そんなふうに思っていた僕の両脇に、ゼアスさんとシルヴィが立ち、シルヴィは杖を、ゼアスさんは魔力を込めた手を神に向けた。


「これはこれは、リーダーを務めたパーティをほぼ全滅させたゼアス=ジェリアと、先代竜王の目が潰される原因になったシルヴィ=ケルディアじゃないか」

「…!!」


神の言葉に、ゼアスさんとシルヴィは目を見開いた。

そして一瞬二人がたじろいだのを見て、神はゼアスさんを蹴り飛ばし、シルヴィの首を片手で掴んでもちあげた。


「まずはこっちからやろうか」


そんな神の言葉と行動に、僕の中でなにか今までに無い感情が燃え上がる。

僕は一瞬で氷の剣を作り出すと、神の首に突きつけた。


「シルヴィを離してよ」

「へぇ、止めてくれるの? 優しいんだね…いや、ぬるいだけか。ダメだよそんなんじゃ…」


そんな風に神がいい、口角を釣り上げた瞬間、僕の背中に悪寒が走った。

バッと振り返ると、僕の真後ろで白い外套を纏ったバケモノが僕に牙を向いていた。


「…っ…!」


こいつどこから…!!


僕が氷で壁を作ろうとしたその時、そのバケモノの体が吹き飛んだ。


「…今度は、邪魔させないよ。死人は死人らしく、お墓で眠っててもらわないと…ねぇ、母さん」


そんなヴィッタさんの声が、僕のすぐ側で聞こえる。


…母さん…。

あのバケモノが、ヴィッタさんのお母さんなのか…。

ヴィッタさんの声色には怒りと、そして多少の寂しさが滲んでいた。


バケモノは壁に打ち付けられ、ありえない体制から起き上がる。


「ジルくん。こいつは私に任せてよ。親子同士蹴りをつけたいんだ」


僕はそんなヴィッタさんに頷くと、氷の剣を握り直して神に向かって振りかざした。

すると、神はシルヴィをゴミのように投げ捨て、蹴り飛ばすと、僕の氷の剣を柄の部分を掴んで止めた。

僕はそんなに神の手を振り払うと、慌ててシルヴィに駆け寄った。


「シルヴィ…!!」


シルヴィは咳き込みながら地面に倒れている。

それを、僕は必死で抱き起こした。

すると、シルヴィは困ったように笑う。


「ご…ごめんね、ジル…私、足でまといにならないって約束したばかり…なのに…」


そう言いながら起き上がろうとするシルヴィの腕は、床に打ち付けたのか少し赤くなって晴れてしまっている。

シルヴィが起き上がるのを僕は少し助けると、


「少しだけ待ってて」


とだけ、小さな声で言って立ち上がった。


…そこからはもう、僕はほとんど何も考えていなかった。

気がついたら神に冷気をまとって飛びかかり、次々に作り出した氷の武器を使って神を追い詰めていく。

表情は変えない…というか変わらなかった。

憎しみにも、怒りにも、体を任せずにただ無心で、神に向かっていく。


神は後ろに下がりながら、僕の攻撃の全てをかわしていく。

その間、不敵な笑みを浮かべることも忘れていないようだ。

神の余裕そうな笑みにも、僕は心を乱さなかった。


そんな時、僕の横合いからゼアスさんの魔法がすごい勢いで飛んできて神に直撃した。

そして、未だ煙があがるその場所に、レインさんが大剣を叩きつける。

流石は兄弟で、息はぴったりだ。


流石に今の連撃で仕留めたかな…。


そう思った瞬間、攻撃をしたはずのレインさんの肩から真っ赤な液体がほとばしった。

煙が晴れると、レインさんの手に握られていたはずの大剣を神が握っていた。

神はもう傷だらけで、普通の人間なら立っていることも出来ないだろうというくらいだ。


けれど、神はまた不敵に笑う。


「さぁ、どうする? ゼアス=ジェリア。お前が唯一助けた最後のパーティメンバーが、死んでしまうよ」


そんな声とともに、神は座り込んだレインさんに大剣を振りかざした。

ゼアスさんの方に視線を向けると、ゼアスさんは何故か目を見開いて固まっていた。

その瞳は、強い恐怖の色を帯びている。


僕はとにかくレインさんの方へ駆け出した。


…間に合わない…!!!


必死に手を伸ばし、僕が氷の壁を生成する前に神は大剣をレインさんの首へ振り下ろした。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。