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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第五章:ヘタレのジル、自分の過去を知る。
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お嬢様のストーカー

疲れ果てて、肩で息をしながら倒れている僕の名前を、誰かが叫びながら近づいてきているのに気がついて、僕は飛び起きた。


シルヴィとゼアスさんのとてつもなく迷惑な暇つぶしが終わってから数分ほど経ったくらいだった。

シルヴィとゼアスさんも、少しは疲れていたのかマスターのお呼びがかかるまでと僕の横に座ってのんびりとした時を過ごしていた。


そんな中で聞こえた叫び声は、とても聞き覚えのある声だった。

ゼアスさんとシルヴィも気づいたのか、叫び声が聞こえてくる方向に視線を向けた。


「…エリシアだわ」


この中でずば抜けて視力がいいであろうシルヴィが、いち早く叫んでいる人物を発見する。

僕もそちらに視線を向けると、確かに、赤い髪の女の子がこちらに向かった走ってきているのが見える。

でも…なんであんなに慌ててるんだ…?


僕がそう思った時、目を凝らしていたシルヴィがはっとしたように口を開いた。


「エリシア…なにかに追われてるわ!」

「え…! 助けなくちゃ…!」


僕が目を凝らしても、エリシアの事を追ってきている何かというのは見えなかった。

とにかくエリシアを助けなきゃと、僕は地面を蹴った。

すぐにドラゴンの姿になると、風のように駆けていく。


僕の後ろの方で、シルヴィが何かを言った気がするが、僕は止まらなかった。

いや、正直に言うと、すごい勢いで走っていたせいでそんなに急には止まれなかった。

シルヴィの言葉を聞きに戻って手遅れになるよりは、エリシアを助け出してからシルヴィの言葉を聞いた方がいいと判断して、僕は走った。


そして、エリシアのすぐ側まで行くと速度を落としてひょいっとエリシアの体を咥えて持ち上げた。

そしてその後の何かを前足で払おうとした瞬間、それが何かわかって僕は慌てて足を止めた。


『ら…ランディットさん…!?』


僕が驚いてそんな声を上げた瞬間、口を開いたせいでエリシアを落としてしまう。

それを見事ゼアスさんが転移魔法で飛んできて抱きとめて、ため息をついた。


「ったく、一回咥えあげてから離すんじゃねぇよ、危ねぇだろうが!」

「だから言ったのに…」


ゼアスさんに追いついてきたシルヴィもそんなふうに声を上げる。

僕が聞き取れなかった言葉は、僕への静止の言葉だったようだ。


ゼアスさんの言葉に、僕は人間の姿になってから、


「ごめん…」


と謝った。

だってエリシアのことを敵が追いかけてきてると思ってたのに、それがランディットさんだったなんて…。

驚きもするし、声もあげるよ…。


僕はそんな風に心の中で言い訳をしながらため息をついた。


「わー…ビックリした…ありがとゼアスおじさん!」

「礼を言う時くらいおじさんって言うなクソガキ」

「とりあえず降ろしてゼアスおじさん!」

「てめぇ…」


ゼアスさんの腕から半ば無理やり飛び降りたエリシアは、僕の背中の後ろに隠れた。


「え…エリシア…? どうしたの?」

「あの変態がすっごい勢いで追いかけてくるの!」


そう言いながらエリシアは僕の肩を掴んで、もう一方の手でランディットさんを指さした。

…仮にも氷竜の族長に向かって変態って…。


「変態か…そうかもしれないな」


本人認めちゃってるし…。

それでいいのかな、族長って…。

まぁ確かに変態っぽいけどね…。


「ただ俺はエリシアちゃんしか見てないだけだ」

「エリシアはジルのことしか見てないもーん」

「は…!?」

「そんな君を振り向かせてみせるさ!」

「わー…単純に迷惑…」

「…とりあえず二人共僕を挟んで話すのやめて…」


おかしな修羅場に巻き込まれるのはごめんなんだけど…。


「俺のお嫁に来てくれエリシアちゃん!」

「嫌」


即答…!!


「そうだ、ジルをあげる!」

「え…は…!?」


エリシアに後ろから突き飛ばされて、ランディットさんが僕の目の前に迫る。

エリシアのさっき僕しか見てないみたいに言ってたのは嘘か…。

いや別に本気にはしてなかったけどさ…なんか捨てられた気分だ。


「…」

「……えっ…と…?」


ランディットさんは無言でじっと僕の顔を見てから、にっこりと笑う。


「悪いけど俺は幼女にしか興味無いんだ」

「…それもどうかと思いますけど……」


限りなく犯罪の匂いのする言葉だ…。


「気色悪いこと言わないでよランディットさん」


エリシアはもうド直球で気色悪いとまで言ってしまっている。


「そういう対応も最高だよエリシアちゃん!」


…あぁ、わかった…。

ただの変態だ…このドラゴン…。

いつも笑顔で元気いっぱいなエリシアですら、なんだか今は押され気味でげっそりしている。

その鋼の心の強さが、少し羨ましいよ…。


ほのぼのとした…いや、ほのぼのとはしていないが、くだらないやり取りをしている僕達のすぐ側で、急に大きな破壊音が上がった。


…今度は誰が何をやらかしたのか…。


そう皆が呆れたように破壊音のした方向に視線を向けた瞬間、僕達の目は見開かれた。

僕達の視線の先には、炎に包まれるギルド本部の姿があった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します!

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