↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第四章:ヘタレのジル、教会に殴り込む。
76/122

二丁拳銃使いと双剣使い

僕とレニア、そしてエリンさんは、白の教会内の長い廊下を慎重に進んでいた。


「…静かすぎやしないか?」


レニアが、小さな声でそうつぶやく。

確かに、ここに入って来てからずっと耳を澄ませては居るが、足音すら一つも聞こえない。

バケモノたちは確かにここに居るはずなのに…。

話し声が聞こえないのは、まぁ納得できる。

あのバケモノたちが自分の意思で会話ができるとは思えない。

けれど、足音まで聞こえないとなると…。


バケモノたちは此処には居ない…もしくは、全く活動していない可能性もあるのかもしれない…。


しばらく進んでいった先、僕たちは一つの大きな扉を見つけた。

白と、赤と、黒の三色の装飾が施されたその大きな扉は、どことなく不気味な雰囲気を放っていて、そして…何故だか見覚えがあるような、そんな気がしてならなかった。


「ここ…突破してみますですか?」


そうエリンさんは言うが、僕は短剣を握るエリンさんの腕を掴んだ。


「…ここは、最後にしませんか…。なんだか、嫌な予感がするんです」


そういう僕に、レニアが視線を向ける。

臆病者とでも言われるだろうか…。


そう思ったが、レニアは僕に向かって頷いた。


「あぁ、僕もその方がいいと思う。他の場所を探して、地下への通路が無かったら、また此処へ来るぞ」


そういうと、レニアは大きな扉を無視して静かに歩き出した。


「…扉の奥からは、何の音もしなかったですね」

「…そうだな、しかしそれだけじゃ敵が居るか居ないかはわからない。もしかしたら、あの扉が防音の加工をされているのかもしれない」

「…確かに…ですね」


レニアの言葉に、エリンさんも頷いて歩を進める。

その後から、僕はついて行っていた。


なんでだろう…今のところ、一体の敵とも遭遇していないのに…。

こんなに胸がざわついているなんて…。

不安、恐怖、そんなものが、心の中で浮かんでは消える。


「にしてもこの建物、殆ど扉がないな」


そう、前を行くレニアが呟いた。

言われてみれば、潜入した通気口からまっすぐに廊下を歩いてきているが、今までに見た扉は、あの大きな扉ぐらいだ。

後は、長い廊下が続いているだけ。


壁にも一応気を配っているが、どこも地下につながっているような気配はない。


それからまたしばらく進んでいくと、一つの先程よりは小さめな白い扉があり、そのすぐ先で、廊下は壁に突き当たっていた。


「…廊下がこんなところで途切れてる…」

「だが、あの通気口の出口から反対の方向に進んだら、あるのは外につながる扉だけのはずだ」

「…うん」


レニアの言うとおり、ヴィッタさんが渡してくれたこの建物の大まかな地図には、通気口から出た後は右に進むしか、教会の内部に進んでいくことはできないと記されていた。


「…とにかく、廊下に居ても埒があかんな。まずは、この扉の先を調べるか」


そんなレニアの言葉に、僕とエリンさんは頷いた。


慎重に白い扉を押し開けると、そこは資料室のようになっていた。

沢山の紙が束ねられ、本棚に並べられている。

そして、その部屋にも、バケモノは居ないようだった。


「…マアヤと共に資料を盗み出したとき、丁度こんな部屋に入った。大体どの教会も、基本的なつくりは同じなのかもしれないな」

「……」


僕は黙って辺りを見回す。

あの死者の森で、僕は初めてバケモノに遭遇した。

それも、資料を持ったままで。

けれど、そのおかげで、バケモノたちはいきなり僕を殺そうとはせずに、連行しようとした。

そのおかげで、命拾いしたというところもあると思う。


…だけど…連行してまで着実に取り返そうとしていた資料を、こうも潜入が容易い場所に置いておくのか…?

それに、この部屋の空気の流れは正常…正真正銘の行き止まりだ。

もしも隠し通路を作っているなら、何処かに空気の抜け道があるはずなのに、この部屋にはそれが感じられない。


「ここなら、力の封印場所が載っている資料があるかもしれないですね」


エリンさんがそう言って一歩を踏み出そうとする。


そんなエリンさんを見ながら、僕は漠然と何かがおかしいと、そう思っていた。

そして、なんとなく少し上に視線をあげると、そこには天井に張り付くようにして、白い外套を羽織ったバケモノが黄色い目でこちらを見ていた。


「エリンさん!」


エリンさんが一歩を踏み出した瞬間、バケモノの目が赤く変わる。


「う``あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


耳をつんざくような奇声が上がったと思うと、そのバケモノは天井のくぼみに引っ掛けていた足を外して、エリンさんの目の前に降り立った。

そしてそのバケモノは、文字通りエリンさんに牙をむいた。

僕はエリンさんを突き飛ばし、ドラゴンの姿になろうとする。

けれど、僕の体は全く光りださない。


…!


「ここも、あの森と同じ…!?」


目の前に迫ったバケモノの牙をなんとか防ごうと腕を前に突き出した瞬間、パンッという銃声が何発か響いた。

いつの間にか、僕の横に居たレニアは拳銃を両手に構え、僕の目の前に倒れ伏したバケモノを冷たい瞳で見下ろしていた。


「地下への通路は、ここではない。と、なると、さっき見た大きな扉だろう」

「うん、それに、あのバケモノの奇声…」

「…他のバケモノたちにも、気づかれた…ですね」


エリンさんは立ち上がり、腰に下げていた短剣を二本、抜き放った。


「ジル君、ありがとうございましたです。次は…あたいがジル君を守るですよ!」


そういうエリンさんの眼光が、鋭さを増した。


「よし…突っ切るぞ。あの扉の奥に入る!」

「…うん!」

「はいです!」


レニアとエリンさんは部屋から出ると、廊下を素早く駆け出した。

例によって、僕はやっぱりぴったりとついていくことはできないが、それでも必死で走って二人を追いかけた。


走っている最中、前方から、銃声やバケモノの奇声が上がる。

僕が前に視線を向けたときは、前方から押し寄せてきていた30体ほどのバケモノたち全員が、すでに倒れ伏したところだった。

そのバケモノたちの間を縫うようにして、エリンさんとレニアは駆け抜けていく。

二人共、一瞬で大量のバケモノたちを倒した上に、息一つ乱していない。


S級の冒険者という肩書きは、やっぱり伊達ではないようだ。


僕は倒れているバケモノたちを避けて走りやっとの事で、大きな扉の手前で二人に追いついた。


レニアとエリンさんは真剣な面持ちでじっと大きな扉を見つめる。

そして、一瞬の目配せの後、大きな扉を二人同時に蹴り飛ばした。


…流石…息ぴったりだ…。


そう思いながら、視線をエリンさんとレニアの先に向けた僕の目に飛び込んできたのは、信じられないほど大量の赤い目を持つバケモノたちの姿だった。

ざっとみてその数は100をゆうに超えていて、全員が赤い瞳をこちらに向けていた。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

よければブックマーク、感想など、よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。