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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第四章:ヘタレのジル、教会に殴り込む。
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作戦開始

次の日の夕方、僕はギルド本部の二階の部屋に通されていた。

S級の冒険者でもない僕がこんなところに居るのは、特例中の特例だ。

しかも、今この部屋の中に居るのはS級の冒険者ではないものも多い。


エリシア=ストレイン

シルヴィ=ケルディア

水竜族長のレゾッタ

光竜族長のソフィア

マアヤ


それから、S級の冒険者である、


ゼアス=ジェリア

エリン=レンディ

レニア=マグナ

レイン=ジェリア


が、マスターによってこの部屋に集められていた。

そして、マスターによって指示が出される。


「ゼアス。お主は、皆を各地の白の教会まで連れて行け」

「あぁ…」

「その後は、竜の里から攻めてきているドラゴンのけん制を頼む。エリシア=ストレイン。お主もだ」

「わかったよ!」


エリシアがそう元気よく返事をする一方で、ゼアスさんは、白の教会のことを聞いたのか、嫌悪感が表情からにじみ出ている。

ゼアスさんはテキトーなところも多いけど、でも真直ぐな人だ。

そんな人だから、死体を操り人形にしている神のことが許せないんだろう。


「シルヴィ=ケルディア。お主は、エリシア=ストレインの援助を」

「…はい」


シルヴィはマスターの言葉に、一瞬目を見開いた後、素直にうなずいた。

…僕としては、シルヴィが教会の襲撃組に入っていなくてよかった…と思った。

あの白い外套のバケモノがうじゃうじゃ居るような場所だ。

少しでも気を抜いたら、もし恐怖に負けてしまったら。

それで訪れるのはきっと死だ。

そんな危険な目には合わせたくない。

まぁ最も…シルヴィも弱いわけではないのだけれど。


「ソフィア殿は、先ほどお渡しした地図の、アストラス大陸に示されている白の教会を潰してください」


マスターのその言葉に、金髪の綺麗な女の人の姿をした光竜の族長は静かにうなずいた。


「レゾッタ殿はリージェン大陸の白の教会を」

「えぇ、わかりましたわ。破壊するだけでよいのならお手の物ですので」

「出てきた白い外套を着こんだ人間はも潰していただきたい」

「あら、わかっていますよ。でもそんなもろい人形、意図して潰そうとしなくとも勝手につぶれてくださるわ」


水竜のその言葉に、マスターは頷きながら、


「頼もしい限りです」


とつぶやいた。


「レイン、マアヤ。お主らは、レゾリア大陸に行き、残りの教会を潰せ」

「はい、父上」

「かしこまりました」


今まで、ずっと部屋の隅の方で立っていたレインさんが、小さく返事をしたのに続いて、マアヤさんも静かな声で返事をした。


「エリン=レンディ、レニア=マグナ。お主らはジル=オルドランドと共に、フォーティ二大陸のレデルソンにある教会を襲撃しろ」

「御意」

「はっ…はいです!!」


レニアとエリンさんと一緒か…。

二人ともすごく強いみたいだし、心強い。


「最後に忠告だが、白の教会にいる白い外套を纏った操り人形に噛まれてついた傷は普通の治癒魔法では治すことができないようだ。銃や剣でも傷は治るようだから、そちらにはそこまで気を付けなくてもいいが…噛みつかれることだけはないように」


マスターのその言葉を聞いて、皆の表情が引き締まる。

ある者は武器を握り、ある者は拳を握りしめる。


「では、行け!」


マスターのその言葉に、一斉に全員が動き出した。

その一体感に、僕は驚いた。

ドラゴンたちはわからないが、ここに居る全員の人間はマスターのことを信頼し、命令を遂行しようとしている。

それは、ひとえにマスターの人格のおかげなんだろうと思う。


…僕も…頑張らなくちゃ…。


そう思いながら、エリンさんに続いて部屋を出ようとしたとき、後ろからマスターの静かな声で僕の名前を呼んだ。


「ジル=オルドランド」

「…はい…?」

「お主に、言っておきたいことがある」


そう切り出したマスターの表情は、とても真剣だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


僕がマスターの部屋を出て、ギルド本部の建物の外まで出ると、そこにはレニアとエリンさん。

それに、ゼアスさんとエリシアとシルヴィが立っていた。


「…遅い」


レニアはそう言いながら大きな目を細めて睨んでくる。

子供っぽくない睨み方に、少し僕は怯んだ。


「ご…ごめん…」

「ま…まぁまぁ…今回は一緒に行動するし…仲良くですよ…!」


しどろもどろになる僕を見て、エリンさんが止めに入ってくる。

…いや、その前髪の長さだと僕とレニアのことが見えているのか定かではないが。


そんなエリンさんの言葉を聞くと、レニアはふんっと僕から顔を背けた。


全く…どんなふうに環境で育ったらこんなに可愛げのない子に育つんだか…。


「ゼアス。メンバーは揃った。フォーティニ大陸まで連れていけ」

「ったく、おめぇも人使いが荒いな」

「それが今回マスターから与えられた命令だろう」

「本当に可愛げがねぇやつだ」

「可愛げなんてものが任務に必要だとは思わんな」

「わーったよ。送っていってやらぁ」


ゼアスさんはそう面倒そうに頭を掻きながら言う。


「ったく、転送装置使いながら転移魔法使うのは結構疲れんだぞ。それを何度も何度も…」

「無駄口を叩くな」

「へーへー」


2人はそんなやり取りをしながらギルド本部の中にある転送装置がある部屋へと歩いていく。

それに、エリンさんは慌ててついて行った。

僕もそれについて行こうとすると、エリシアとシルヴィに呼び止められた。

振り返ると、エリシアがガバッと抱きついてくる。


「えっ…エリシア…!?」

「ジル! 頑張ってね! エリシア応援してるから!」


そう言いながら、エリシアは僕に顔を近づけてくる。

そして、僕の頬に柔らかく暖かいものが触れたかと思うと、ちゅっという音を立てた。


「……!?!?!?!?」


僕は驚いてエリシアから離れ、ギルド本部の壁が背中にぶつかるまですごい勢いで下がった。


「なっ…ななななな何…!?!?」

「エリシアなりの激励!」


……激励でどっと疲れるんだけど…。

顔には熱が集中するし、背中を壁に強打したせいで痛いし…。


そんな風に思っている僕に、今度はシルヴィが近づいてきた。


「ジル…」


シルヴィは、僕の両手をぎゅっと握った。

ま…さか……シルヴィも…。


「どうか…無事に帰ってきてね」


いや…うん、流石に無いよね。

いや、残念だとかは思ってないけど…。


あのシルヴィが、あまりにも心配そうな表情をするので、僕は驚いた。


「大丈夫…絶対無事で帰ってくるから」


僕がそう言うと、シルヴィはうん、と僕にニッコリと笑いかけた。

それは初めて会ったときと同じ、花が咲くような笑顔だった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します。

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