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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第四章:ヘタレのジル、教会に殴り込む。
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イケメン過ぎる美少女

僕がハッとして目を開けると、そこは宿屋のベッドの上だった。


「あ…あれ…?」

「おーやっと起きたか、ジル」


確か…僕は床の上で寝たはずじゃ…。


「おめぇ驚かせるんじゃねぇよ。朝起きたら床に骨を握りしめてぶっ倒れてるなんて、心臓に悪いだろうがよ」


骨…?

あぁ…そういえば、ヴィンに貰ったんだったっけ…。


僕はそう思いながら、手に握りしめたままだった骨を見る。


「ごめん、ちょっと貧血気味で…ゼアスさんをベッドから退かす元気がなかった」

「退かすってお前、俺を落とす気だったのか」

「うん、落とそうかともちょっと思ったかも…嫌がらせのようにベッドの真ん中で大の字に寝てるから…」

「そりゃあ悪かったな。俺は寝相がいい方じゃねぇんだ」

「あれ…」

「あ?」


周りを見回してみても、宿屋のこの狭い一室の中にシルヴィとエリシアの姿はない。


「二人は…どこに行ったの?」

「シルヴィとエリシアなら、村に買い物に行ったぞ。この村は結構辺境にあるってのに、栄えてるからな」

「へぇ…」


買い物…か…。

流石、女の子たちはそういうのが好きだ。


僕はそう思いながら、もう一度起き上がりかけた体をベッドに倒した。


「おいお前、何また寝ようとしてんだ」

「あ…いや、本当に眠ろうとしてるわけじゃないよ。ただ…ちょっと疲れちゃって…」

「なんだ、夢見でも悪かったのか?」

「…ううん…そんなこと…ないよ」


夢見が悪かった…。

いや、別にうなされるような夢を見たわけじゃない。

色んな事を、女神に確認できたし、色んなことを知れた。

…だけど、どうしてこんなに胸の辺りがもやもやしてるんだろう。


僕は使命を終えたら消える。

そう、あの闇竜に言われたときは、なんとも思わなかったのに…。

僕は、ふかふかとしたベッドに寝転がったまま、視線を横に向けた。

すると、一つだけある小さなテーブルの上に、僕が置いて行った資料が。

そしてその上には、シェリーちゃんが描いた綺麗な絵が置かれていた。

絵の中で、四人はとても楽しそうにしている。

いつか…時がきたら、僕だけがそこから居なくなってしまうんだろう。


そう思うと…どうしても、このもやもやは消すことができなかった。


「…」

「……」

「おいジル」


少しの沈黙が続いた後、不意にゼアスさんが口を開いた。


「…なに…?」


僕が寝転がったまま視線をそちらに向けると、ゼアスさんは僕に向かってお金を投げ渡した。


「わっ…!? な…なに…!?」


急に投げられた金貨三枚を、僕は驚いて取り落としてしまう。

それを見たゼアスさんが、呆れたようにため息をついた。


「お前本当に鈍くさいな…」


…ついこの間、レニアにも同じことを言われたばかりだ。


「…鈍くさいってわかってるなら投げて渡さないでよ…」

「これぐらい取れるだろ、普通」


僕はゼアスさんの思う普通の人間以下か…。


「それで…このお金は…?」

「それでお前も買い物でもしてこい」

「え…でも僕、別に欲しいものもないよ…?」

「いいから、若いんだからダラダラ寝転がったままシルヴィたちを待つこともねぇだろ。外行って遊んで来い」


…一人で…?

大体、そういうゼアスさんだって、ベッドに胡坐をかいて座っているだけじゃないか。


「…じゃあ…ゼアスさんも一緒に…」

「俺みたいな年寄りはいんだよ」

「…いつもエリシアにおじさんじゃねぇって反論しまくってるのに?」

「うるせぇ、自分で言う分にはいいが人に言われるのは嫌なんだよ」

「…」

「なんだよ」

「…なんか…めんどくさいお年頃なんだね」

「うるせぇな、とっとと行きやがれ」


ゼアスさんはそういうと、よっこらしょ、というように立ち上がり、僕の方へと歩いてくる。


「…?」


僕がそんなゼアスさんをただ見上げていると、ゼアスさんは未だ寝転がったままの僕をベッドから蹴落とした。

ゴンっという、鈍い音が部屋に響く。


「いっ…た……ゼアスさん、何す…」

「そんなしけた面してるぐらいなら、外行って気分転換でもして来いってんだ。多分、エリシアもシルヴィも、その辺をまだうろうろしてんだろ」


僕は床にぶつけたおでこを押さえながら、ゼアスさんを見上げる。

そんなにあからさまに、僕は憂鬱そうな表情をしていたのかな…。

本当に…乱暴だけど、よく気が回る人だ……。


「…ゼアスさん…」

「なんだよ、いつまでも起きねぇお前がわりぃんだぞ」

「いや、そうじゃなくて…ありがとう」


そう言った僕の顔を、ゼアスさんは一瞥すると、早くいけというように手を軽く振った。

それを見て、僕はゼアスさんからもらったお小遣いと共に、シルヴィとエリシアを探して宿屋を出た。


村の方に出て行ってみれば、市場のようになったそこは昨日のように人で賑わっていた。


こんなに人が居たら…二人を見つけ出すのは難しそうかな…。


僕は、そんな賑やかな市場の中、うろうろとしながらシルヴィたちを探す。

レニアにもゼアスさんにも鈍くさいと言われた僕は、時々前から歩いてくる人にぶつかっては、すみませんと謝っている。

しかも、ぶつかってくる人がどんなガタイでも僕の方が必ずよろけるというひ弱っぷりだ。


なんだか、シルヴィと旅立つ直前に会った、奴隷商人の言葉を思い出してしまう。

ひょろひょろなもやし野郎、って言葉だ。


僕だって…好きでこんなにひょろひょろしてるわけじゃないんだけどな…。

出来れば力が強くなりたいし、カッコよくなりたいし、女の子に好かれるようになりたいし…。

そう思った僕の頭の中に浮かんだ女の子の姿は、水色の髪の可愛らしい少女の笑顔だった。


い…いや、シルヴィとは仲良くしたいけど…でも、そういう感情じゃなくって…!


僕は自分の頭の中の映像を消そうと、頭をぶんぶんと左右に振った。

その時、前から来たガタイのいい男の人の肩に、僕の肩がぶつかって、僕の方が思い切りよろけた。


「す…すみません…」


肩が外れそうなんだけど…普通にぶつかっただけでこんな衝撃が大きいってことある…?

多分、向こうから僕に当たりに来たんだろう。

お金を巻き上げようって感じかな…?


「おいてめぇ! どこ見て歩いてんだ!」

「あ…えっと…すみません…どこも見てませんでした」

「あぁん!?」

「いや…あの…頭の中に浮かんだ妄想を必死に消そうとしてて…」

「何わけわからねぇこと言ってんだ! 棒みたいな体しやがって!」


…もやしの次は、棒…?

それはまた新しい…。


「おいてめぇ聞いてんのか!?」

「え…あ…な……何ですか…?」

「なめてんじゃねぇぞ!」


そんな声と共に、ガタイのいい男の腕が振り上げられる。

…さすがにそれは痛そうだ…。

今日は、ベッドから蹴落とされたり、ぶつかられて肩が外れそうになったり、こんな大きな男の人に殴られたり散々だなぁ…そう思っている僕の頬に、男の拳が直撃する前に、ガッという音とともに男の拳が振り上げた状態で止まった。


その男の太い腕を、細くて白い手が掴んでいる。


「ちょっとあなた、ジルを棒呼ばわりした上に殴ろうとするなんて、どういう了見かしら?」

「………」

「いでででで!!!」


そう言いながら凛々しい表情でガタイのいい男の腕を捻り上げたのは、水色の髪をもつ可憐な少女、シルヴィだった。

そのシルヴィのイケメンさに、村を行き交う人々から、小さな歓声があがった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します。

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