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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第四章:ヘタレのジル、教会に殴り込む。
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ヴィンの宝物

ヴィッタさんと別れて、僕はヴィンを抱え村に戻った。

ヴィンは僕の腕の中で気絶しているかのように眠っていて腹が微かに上下していること以外は何処も動いていなくて死んでしまっているかのようだ。


どこも怪我が無いみたいでよかった…。

あの時バケモノについて行っていたのは神に操られていたからなのかな…。

もしかしたら、神は僕の持っていた資料を取り返そうと、ヴィンを囮に使ったのかもしれない。


ヴィッタさんは確か、神が操れるのは意識がないものと、知能が高くないもの、って言ってた。

意識がないっていうのは、あのバケモノたちみたいな死体や、もしかしたら気絶してる人間も含まれるのかもしれない。

そして、知能が高くないものは、犬のヴィンも含まれるのだとしたら、人間以外の動物ほとんど全部…ということになるんじゃないだろうか…。

ドラゴンや人間は知能が高いから大丈夫なんだろうけど…。


神の魔法…パペット…恐ろしい魔法だな…。


僕は村の中をうろうろと歩き回るが、シェリーちゃんの家が何処にあるのかわからない。


「うーん…」


もう辺りは真っ暗で、村の中も誰も出歩いては居ない。

誰にもシェリーちゃんの家がどこにあるのかなんか聞けないし…第一、こんな夜更けに腕から血をながした男が犬を抱えて少女の家を探してるなんて…どういう状況なんだと突っ込みたくなる。


村の真ん中で困り果て、僕はその場で立ち止まった。

血が腕から流れ過ぎたせいか、頭がくらくらする。


早くこの子をシェリーちゃんの家に送り届けて、宿屋に戻らないと…。


僕がそう思いながらよろよろと再び歩き始めたとき、腕の中で眠っていたはずのヴィンが目を覚ました。

もぞもぞと僕の腕の中で体の向きを変えたかと思うと、僕の顔を見上げて、


「わんっ」


と、一声鳴いた。


「あ…起きたんだね…君のお家は何処にあるの?」


僕はそうヴィンに向かって問いかけるが、ヴィンはもぞもぞと僕の腕の中で動き続け、僕の腕の傷を見つけると、悲しそうにくぅんと鳴いて傷をなめてくれた。


「…心配してくれるの…? ありがとう、大丈夫だよ」


…まぁ…君自身に噛まれてこうなってるんだけどね…。


操られてる間の記憶はなくなっているのだろうか…。

そんな疑問が浮かんでも、犬に聞くわけにはいかない。


ヴィンは僕の言葉を聞いて、理解したかしていないかはさておき、ぴょんっと僕の腕から飛び降りた。

そしてそのまま頭から着地する。


「え…えぇ…!? 今、頭うたなかった…? 大丈夫…?」


ビックリするぐらいに運動神経の悪い犬だな…。

僕は驚いて屈みこみ、ヴィンを見るが、ヴィンはすぐに立ち上がったかと思うと、尻尾を勢いよく左右に振って


「わんっ!」


と一声鳴くと、僕に背を向けてとことこ歩き出した。


「え…そっちにお家があるの…?」


ヴィンは少し歩くと立ち止まり、僕の方を振り返る。

ついて来いって言ってる…?


僕には犬の言葉はわからないけど…何となくそんな風に言っているように見える。

僕はグラグラ揺れる視界を我慢して、ヴィンを追って歩き出した。


しばらくヴィンについていくと、ヴィンは一軒の家の前で立ち止まった。

その家のすぐ横には、木で作られた小さな小屋がある。

その小屋の中に、ヴィンは嬉しそうに走り込んでいった。


…ここが…シェリーちゃんの家…なのかな。

もう家の中も明かりはついていない。

今は夜も更けてしまっているから、当たり前のことだけど…。

とりあえず、この子が家に帰れたのならよかった。

あの森が根こそぎなくなった今、僕がこの場所を去れば神もヴィンを操るようなことはもうしないだろう。


「じゃあ…ばいばい、ヴィン。元気でね…」


僕は小さくその場で呟いて、踵を返す。

すると、そんな僕を引き留めるかのようにタイミングよく後ろから


「わんっ!」


という声が聞こえた。


「え…?」


声の主であるヴィンは、僕の目の前にまで周り込んでくると、激しく尻尾を振りながら後ろ足で立ち上がり、僕の腰のあたりに前足をつくと、口にくわえた何かを押し付けてきた。


「…ほ…ほね…?」


ヴィンが遊ぶ時に使っていたのだろうか、噛み跡やひっかいた跡がいくつもある骨を、ヴィンは嬉しそうに僕に押し付ける。


「…もしかして…くれるの…?」


僕が右手でそれを受け取ると、ヴィンは僕についていた前足を降ろして、地面にきちっとしたお座りをする。

そしてもう一度、


「わんっ」


と一声鳴くと、いそいそと自分の小屋へと帰っていった。


…えっと…これを僕にどうしろと…?

骨なんか咥えて村の中を歩いていたら、あのバケモノたちよりもよっぽど異常な奴になってしまう…。

…一応…持っておこうか…?

まさか骨なんて貰えるとは思ってなかった。


僕は、仕方なくヴィンがくれた骨を片手に、宿屋までの帰路につく。


やっとのことで宿屋までたどり着き、僕は水浴び場まで行くと、腕についた血を洗い流して、清潔そうな布を巻いた。

そして、グラグラと揺れが収まらない視界の中、僕は他の三人が居るであろう部屋までたどり着く。


そっと部屋の扉を開けると、一つのベッドにはどこに隠し持っていたのか、綺麗な寝巻に着替えたシルヴィとエリシアがぐっすりと一緒に眠っていた。

そしてもう一方のベッドには、嫌がらせかと思うぐらい中央にどーんと大の字で寝そべったゼアスさんが眠っている。


多分、皆一日中働いていたので疲れたんだろう。


それにしても…僕の寝る場所が…。

まぁ…僕はここでいいか…。

とにかく横になりたい。


ベッドの横の床に、ヴィンから貰った骨を握ったまま寝そべる。

そして、そこで目を瞑った瞬間、一気に睡魔に襲われた。


今日は…疲れたな…。

明日は……明日こそ…シルヴィに謝って…仲直り…したいな…。


そう思った僕の呼吸は、段々とゆっくりになり、やがて眠りへと落ちていった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

よければブックマークなど、よろしくお願い致します!

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