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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第四章:ヘタレのジル、教会に殴り込む。
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死者の森

背筋がゾッと寒くなる。

木の影にいる人物は、瞬きもせずにじっと僕達を見ている。

その視線に、もうシルヴィは震え上がっている。

シルヴィはぎゅっと僕の手を握り、数歩後ろに下がった。


僕達を瞬きもせずにじっと見ていた人物は、本当に微動だにしない。

呼吸すらしているのか心配になるほどだ。

その時、その人物はゆっくりと口を開いた。


「ココカラ…サレ」


…ここから、去れ…?


「ココは死者ノモリ…」


なんだかあの人…話し方がおかしい。

抑揚が無くて、ずっと同じような声で話している。

…人間じゃないようにすら思えてしまう。

顔も、殆どフードで見えないし…。

だけど…あのフード…昔一度見たことがあるような…。

よく思い出せない…。


「…シルヴィ、とりあえず一度戻ろう」


僕はそう言いながらシルヴィの方を見る。

そして、気づいた。


…シルヴィの震えが止まってる…?

恐怖で見開かれていたシルヴィの目は鋭く細められ、じっと木の影にいる人物を見つめている。


「シルヴィ…?」


僕が小さくそう声をかけると、シルヴィはそれには答えず、僕の手を離して前に飛び出した。


「え…!?」


シルヴィは素早く走っていくと、がっとその人物を蹴り倒した。


「え…えぇ!? ちょっとシルヴィ…!?」


いくら怪しいからって、初対面の人を蹴り倒すなんて…!!

僕は慌ててシルヴィの方へと駆け出した。


「あなたどういうつもり? 銃口をずっとこっちに向けていたわね」


そんなシルヴィの言葉に、その人物を見ると、右手にぎゅっと銃を握っており、その銃口をシルヴィが踏みつけて撃てないようにしていた。


「よく見えたね…」

「目はいいほうなのよ」

「っていうか…もう怖くなくなったの…?」

「言葉を話す何かなら、私は怖くないわ。奇声をあげながら追いかけてくるとかが嫌なのよ…!」

「は…はぁ…」


シルヴィの怖いの基準はよくわからないけど、さっきまで震えながら僕にしがみついていた女の子が、恐怖の対象となった怪しい人物を踏みつけているという図は何とも可笑しい。

その時、シルヴィに手を踏みつけられた人物の目が、一瞬赤く光った。


「…え…?」

「今…」


シルヴィと僕は、驚いてその人物を見る。

すると、その人物はおかしな方向に腕を曲げて、シルヴィの足の下から銃を引き抜いた。


「え…!?」

「シルヴィ!!」


その人物が銃口をシルヴィに向けたのが見えた瞬間、僕は飛び出してシルヴィを抱きしめ、守るように地面に転がった。

銃声が聞こえ、僕の左腕に鋭い痛みが走る。


…掠ったかな…。

でもこれぐらいなら、全然問題ない。

左腕からはどくどくと赤い液体が流れ出していたが、僕は特にそれに構いはしなかった。


「っ…!!」


シルヴィは僕の腕の傷を見ると、素早く立ち上がり、怪しい人物の鳩尾に蹴りを食らわせた。


「ジルに何するのよっ!!」


という言葉とともに、その人物は吹き飛んだ。

…あれじゃあ、数時間は動けないだろうし…何よりもう、意識が飛んじゃってるんじゃ…。

僕がそう思った瞬間、地面に倒れたその人物は、地面に全く手をつかず、ありえない方向に腕や足を曲げながら立ち上がった。


「なっ…!?」

「シルヴィ! あいつ何かおかしい!! とにかく今は逃げよう!!」


僕は一歩を踏み出し、シルヴィの腕を掴んで走り出した。

その時、僕達の背後から、


「う''あ''あぁぁぁぁぁ!!!!」


というおぞましい叫び声があがった。

驚いて後ろを振り返った僕達の目が捉えたのは、白いフードの取れた怪しげな人物の姿。

否。

既に人間の姿はほとんど保っていない、つぎはぎの死体のように血色の悪い、人間の形をした何かの姿だった。


「ひっ…な…なに、あれ…」

「わからない! でも今は走って!! シルヴィの蹴りを鳩尾に食らって倒れないなんて、人間じゃない!」

「ちょっと、それどういう意味? また怪力とか思ってるんでしょ!」

「今そこに反応する!?」

「だって…あっ…危ない!!」


シルヴィはそう言いながら僕の腕を強く引っ張った。

すると、僕の頬をかすめるようにして、銃弾が通り過ぎた。


「あ…ありがとう!」

「確かに今、そんなこと気にしてる暇はなさそうね」

「あ''ぁぁぁぁ!!!」

「いやぁぁ! どうして急に奇声あげながら追いかけてくるタイプになるのよ!?」

「どんなタイプ…? それ…」


僕達は走って最早バケモノと化した人物から逃げ回った。


一瞬振り返って後ろを確認した僕の目に、ぎらぎらと黄色い目を光らせながら追ってきているバケモノの姿が見えた。


「あ…あれ?」

「どうしたの、ジル!」


僕のすぐ後ろを走るシルヴィが、僕の顔を見て不思議そうに首をかしげた。

さっき…あのバケモノの目は赤く光ったのに…今は黄色い…?


「じ…ジル! 前!!」


そんなシルヴィの声に、驚いて僕は前を向く。

すると僕達の進む先には、白い外套を身にまとい、フードを深くかぶった、僕達を追いかけてきているバケモノと全く同じ格好をした者が、ざっと見て10人ほど立っていた。


「ま…まさか、こいつら全員!?」


だけど、足を止めたら後ろから追ってきてるバケモノに追いつかれる…!

どうする…!?

そう考えている時、僕は凄まじい寒気を感じて上を向いた。

すると僕の眼前には、黄色い目をしたつぎはぎのバケモノの顔が迫っていた。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します。

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