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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第三章:ヘタレのジル、竜の里へ。
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ド直球お嬢さま

いつものように、ミラとリザが空を飛び、三匹の族長たちとエリシアがミラの上に乗り、リザの上にシルヴィと僕とレオが乗っていた時、やっとの事で人間達の住む大陸が見えてきた。


「あそこは…リージェン大陸ね…」


そんな風に、シルヴィが呟く。


『とりあえず、あそこに着陸しよう』


そんなリザの声に、ミラも小さく頷いた。

ミラとリザが着陸するはずの大陸の海沿いに、誰か見覚えのある紺色の髪を持つ人物が寝転がっているのが見えた。


「ん…? あれって…」


エリシアはそうミラの背中から身を乗り出してじっと寝転がっている人を見る。


「エリシアちゃんの知り合いかい?」

「…うん、やっぱりそうだ!」


ランディットさんの問いかけにエリシアはそう答えると、ぴょーんっと何のためらいもなくミラの背中から飛び降りた。


『ちょっ…エリシアお嬢さま!? まだ全然高度を落としてないですよ…!!』


驚いたように声を上げたミラに、エリシアは落ちていきながらも


「だーいじょーぶー!!」


と答えた。

エリシアは地面につく前にドラゴンの姿になって一つ羽ばたき、速度を落とした上で人間の姿になり、寝転がっている人物の上に着地した。

腕をピンっと上に伸ばした綺麗な着地だ。

そんなエリシアの下敷きになった人物は、ぐえっと情けない声を上げた。


「なんなんだ…お…! エリシア帰ってきたのか!」

「そーだよ、ただいま、ゼアスおじさん!」

「おじさんじゃねぇ」


そんなやり取りをしている二人の横に、ミラとリザは着陸した。


「ゼアスさん、ただいま」


そんな風に言ってリザから飛び降りたシルヴィのことを見て、ゼアスさんは少し嬉しそうに笑った。

…思っていたより、ゼアスさんは僕達の帰りを待ち望んでくれていたみたいだ。


一方で僕はといえば、人間の姿の時の身体能力は皆無と等しいため、シルヴィやエリシアのようにドラゴンの背中の上から飛び降りることも出来ずにリザの体につかまりながらずるずると無様な格好で降りた。

そしてもう少しで地面、という所で足を滑らせ、その場にべしゃっと転んだ。


「い…てて…」

『大丈夫か?』


リザが驚いたように体を起こし、こちらに視線を向ける。

本当に僕は何をしても冴えない。

全く嫌になってくる。


「だ…大丈夫」


そう言いながら起き上がろうとすると、目の前に手が差し出された。


「あ…ありがとう」


リザが人化をして手を差し伸べてくれたのかと思い、僕はその手を取って顔を上げる。

だがそこにあったのは赤髪の青年の顔ではなく、水色の髪の少女の姿だった。


「もう、気をつけてジル。擦りむいたりしてない?」

「しっ…シルヴィ…!! だ…だだ大丈夫!!」


僕は驚いてばっと立ち上がり、裏返った声でそんな風に言う。

あのランディットさんとの一件があってから、僕はシルヴィの前では何となく挙動不審気味だ。


…今まで、どうやって話していたのか…。

よくわからなくなってしまった…。

ランディットさんが変な事言うから…。


「ジルも相変わらずで何よりだ」


そんな風に、ゼアスさんが両手を腰に当てて笑う。


「…ゼアスさん…」


若干馬鹿にされている気もするが、本当に僕はドジで冴えないクズなんだし仕方ない。


「そういえば、ゼアスおじさんどうしてこんな所でお昼寝してたの?」


そんなエリシアの声に、ゼアスさんはうっと言葉に詰まった。

…まさか…。


「またおサボり?」


エリシアがド直球の言葉でゼアスさんを攻める…!


「…おめぇらが居ねぇ間色々大変だったんだよ。ちょっとぐらい昼寝してたっていいだろうが!」

「わー、ゼアスおじさんいけないんだ!」

「うるせぇ、おじさんじゃねぇ!」


…開き直って逆ギレとは、ゼアスさんもなかなかだ。


「んで、そちらさん方がエリシアが連れてきたドラゴンか。こりゃあまた、美形ばっかりだな」


ゼアスさんは綺麗に話を逸らし、僕達と一緒に来たドラゴンたちに視線を向けた。


「そうですわ。わたくしはレゾッタ=マクベリン。水竜一族の族長です」

「俺はランディット=エデヌ。氷竜の族長でエリシアちゃんをお嫁に貰うことが目標だよ」


…聞いてもいない目標を宣言したランディットさんを見て、ゼアスさんは口をあんぐりと開けた。


「そ…そうなのか…あんたいくつだ…?」

「俺かい? 俺はついこの間450歳になったよ」

「…エリシアは?」

「82歳!」

「…基準がわからねぇけど…ダメだろそれ」

「恋に年など関係ないのさ!」

「…」


ゼアスさんでさえ突っ込みが上手く出てこないようだ…。

そんなランディットさんを、横にいるレゾッタさんは呆れたように見つめた。


「エリシアはランディットに興味無いよ」


そろそろ暴走を始めそうなランディットさんを一刀両断したのは、エリシア自身だった。

それにしても随分とばっさりだ…。

多分ランディットさんじゃなかったら立ち直れないだろう。


「そんな君を振り向かせてみせるよ」

「…それでこっちが、光竜の族長のソフィア=フラナーさん!」


エリシアはぷいっとランディットさんから顔を背け、光竜の族長である、綺麗な金髪を持つ美しい女性の姿に人化したソフィアさんに駆け寄った。

ソフィアさんは、何も言わず、にこりともせず、小さくゼアスさんに向かってお辞儀をした。

ゼアスさんもそんなソフィアさんに小さくお辞儀を返すが、その間もゼアスさんは、


「無視されればされるほど燃えてくるよ」


などと言っているランディットさんに呆れたように視線を向けていた。


「後こっちがね、レオ…レオ、何だっけ?」


その後エリシアは黒髪の少年に駆け寄って紹介をしようとしてから、首をかしげた。


「俺はただのレオでいーんだよ。闇竜一族の牢屋番だ」

「…族長の代理かなにかか?」

「まぁ、そんな感じだ。族長は結構な年寄りだからな。族長にジルに手を貸すように命令された」

「…エリシアに手を貸すんじゃなくてか?」

「あぁ、ジルに、手を貸せと。族長はそう言った。って言っても、こいつ結構強いし、俺がなにかする必要もあんまないんだけどな」


そう言いながら、レオは僕の肩に腕を回す。


「ま、魔物の討伐とか面倒なのは嫌だけど、案外お前の一緒に戦うのは楽しいと思うぜ」

「そ…そうなの?」


ここまで来る道中で魔物の討伐は何度か一緒にやったけど、楽しそうだった試しがない気がするんだけど…。


「それから…ゼアスおじさん、ミラとリザのことは知ってるんだっけ?」

「おじさんじゃねぇ。シルヴィが牢屋から逃がした奴らだろ? 知ってるぞ」


ゼアスさんの姿を見て、ミラとリザは人化をして丁寧に頭を下げた。


「あの時はどうもありがとう。おかげでエリシアお嬢さまに会うことが出来ました」

「お前らは連れ帰るのがお役目じゃなかったのか?」

「…そうだったのだが…俺達は族長の命令よりエリシアお嬢さまの命令で動くことにしたのでな」

「…へー…お前らも色々大変なんだな? ま、とりあえず客人たちはマスターのところへ案内するぜ。着いてきてくれ」


そんなゼアスさんの言葉に、全員が動き出した。

こうして一番後ろから見ていると、一瞬で随分と多くのドラゴンが集まったものだと思ってしまう。

それだけ、竜王の後継者であるエリシアの力は強いということだろう。

エリシアの周りには、今沢山の身分の高いドラゴンがいる。

出会った時とは別人のようだ。


「ジル? どうかした?」


そんな声がすぐ側から聞こえて、僕は驚いて横を向く。

するとそこには、シルヴィが小さく首をかしげながらこちらを見ていた。


「あ…いや、えっと…」


シルヴィの顔を見ただけで、顔に熱がのぼる。

僕はシルヴィから顔を背けてから、言葉を続けた。


「エリシアが、なんだか遠くなっちゃったような気がして…」

「…確かに、エリシアが竜王の後継者って聞いた時はビックリしたけど…でも、身分が高くても、エリシアは差別とかしないじゃない。今まで通りに接すれば大丈夫よ」


シルヴィはそんな風に言いながら、僕の手を引いた。


「えっ…!?」

「ほらほら、そんな事言ってる暇があったら、エリシアのところに行きましょ!」

「ちょ…ちょっとシルヴィ…!!」


シルヴィは僕の手を引いたまま、ドラゴンたちの元へと駆けていった。

最後まで読んでくださってありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します。

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