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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第三章:ヘタレのジル、竜の里へ。
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ヘタレドラゴン、絡まる

僕は気がついたら、また真っ白い空間に突っ立っていた。

…何だか久しぶりな感じがする…。

ここ4、5日ぐらいは夢を見なかったからな…。

それにしても、ここは本当に何なんだろう。

もはや、ただの夢で済ませられるものでは無いとは思うのだけど…。


そう考えている僕の目の前に、大きな光の塊が現れる。

そして、それが弾けると中から前にも見たことのある、長いウェーブのかかった茶髪をもつ美しい女性が現れた。


「…あなたは誰なの…? あなたは僕が何者か、知ってるの…?」


僕がおずおずとそう声を掛ければ、その女の人は口を開いた。

その口からは、いつかの夢の中で聞いた、可愛らしい声が紡がれた。

…あの声は、この人のものだったのか…。


「あぁ、知っている。あなたが何者なのか」

「…じゃあ、教えてもらえませんか…。今の僕は、ドラゴンでも、人間でもないと言われて…。僕は…」

「あなたは、ジル=オルドランド」

「え…っと…それは、僕の前世の名前で…僕が知りたいのは、現世の僕のこと…なんですけど…」

「私は人間やドラゴンのように、嘘をつかない。あなたは、ジル=オルドランドだ」


…どういうこと…?

僕が人間だって言うのか…?

そんなのおかしい。

だって僕は…ジル=オルドランドは死んだんだ、ゴミ箱に頭をぶつけて。

それは紛れもない事実で、どう考えても僕がジル=オルドランドなはずはない。

…はずはない…のに、人化の姿は間違えなく前世の僕だ…そして、この記憶も、ジル=オルドランドのもの…。


「ジル=オルドランドは…死にましたよね…?」

「そうだな」


そうだなって…。

じゃあやっぱり僕はジル=オルドランドじゃないじゃないか…。

いや、記憶がそのままあるってことは、魂…みたいなのはジル=オルドランドのものっていうことなのか…?

そういうことを言っているんなら、僕が知りたいのはのはそれじゃなくて、今の僕の生い立ちみたいなのを知りたいんだけど…。


「私はあなたの事を、ジル=オルドランドのことをよく知っている。何故なら、あなたを転生させたのは私自身だからだ。まぁ…転生というのも少し語弊があるが…」

「え…!? そ…それはどういう…」


突然そんなことを言われ、僕は驚いてその女性に問いかけようとする。

けれどその瞬間、僕の体がグラグラと揺れる感覚に襲われる。


「なっ…なに…!?」

「ドラゴンが、あなたを起こそうとしているようだ」

「え…」


あぁ、そういえば…僕はあの黒いドラゴンに気絶させられたんだっけ。

……僕、どうなるんだろう。

いや、そんなことよりも僕はこの女の人に…!


「真実は、あなたの手で見つけ出せ。今の私があなたに伝えられることはそれだけだ」


女の人はそう言い残すと、姿を消してしまった。


「あ…」


よくわからない…気になる言葉を残して、居なくなってしまった。

あの人は一体なんなんだ…。

次に会えるのはいつになるんだろう…。

そう思いながら、僕の意識は闇の中に落ちていった。


そして次の瞬間、僕が目を開けるとそこは暗い牢獄のような場所だった。

牢屋の中も結構広く、僕がドラゴンの姿になって体を伸ばしてもまだスペースが余るぐらいだ。

そして鉄格子の向こう側には、さらに広いスペースがあり、その先に硬そうな金属でできた扉があった。


そんな場所で、僕は人間の姿で両手で両足を鎖に繋がれて寝転がっていた。

何故か僕は、ドラゴンの姿を想像してもドラゴンになれなくなっていた。

もしかして…この黒く怪しげに光ってる鎖のせい…?

それとも、ドス黒い色をした鉄格子…?


僕の体を、僕より少し大きいぐらいの黒いドラゴンが尻尾でつついて揺すっていたようで、僕が目を覚ましたのを確認すると、呆れたような瞳で僕を見てから口を開いた。


『随分とぐっすり寝てたじゃねぇか。もうすぐ族長がお見えになるんだから、ちゃんと起きててくれよな』

「え…っと…あの、ここはどこ…?」

『ここは闇竜一族の研究所の地下だ』

「研究所…? なんで僕がそんな所に…」

『お前が他の奴と違うからじゃねぇのか?』

「…確かに…僕は違うかもしれない…」

『そういう奴らを調べるのが闇竜の一つの仕事だからな』

「…調べる……?」


その研究所とか調べるとかって聞いた僕の頭の中に浮かんだ単語は…解剖…?

……絶対に痛そうだし嫌だ。


「あ…あの、僕はどうなるの…かな…」

『さぁ、でも族長自ら牢屋まで来るのなんて珍しいから、余っ程貴重な研究材料なんだな、お前』


研究材料なんて言われて、僕はさーっと青ざめる。

材料ってことは…使い捨て、みたいな事だろうか。


なんで僕は竜の里まで来て研究材料になっているのか…。

…とにかく、此処でずっと捕まっているわけにはいかない。

早くシルヴィとエリシアたちの元に帰らなきゃ…。


そう思った僕は、鎖から手足を引き抜こうと試みる。

幸い、鎖は僕の腕よりも大き目で、腕は簡単に引き抜くことが出来た。


『おいおい、やめとけよ。その鎖を取っても、お前は竜の姿に戻れねぇぞ』

「…え?」

『お前を人間の姿に留めてるのはこの鉄格子だからな。あと、逃げ出されたら俺が怒られるんだから、大人しくしといてくれ』

「そ…うだよね、ごめん…」


って違う!

今のは僕が謝るところじゃないよね…?

僕だって逃げなきゃ殺されるなら逃げるよ…!


とにかく、足を鎖から外そうと試行錯誤してみるが、なかなか取れない。

足の鎖には鍵穴があり、鍵がないと開かないみたいだけど…これもまた、少し大きめだから、体をひねったりすれば抜けるかも…!


そう思った数分後、闇竜の族長が牢獄の扉を開け入ってきた時には、僕は見事に全ての鎖に絡まって身動きが取れなくなっていた。

入ってきた闇竜の族長は、今まで見たどのドラゴンよりも大きかった。

そしてその大きな体は、頑丈そうな黒い鱗で覆われている。


『…お前…なんで最初より絡まってんだよ…』

「ぼ…僕が聞きたいです…」

『…レオ』


ゆっくりとこちらへ一歩一歩近づいてきながら、闇竜の族長は門番をしていた黒いドラゴンに声をかけた。


『はい』

『こやつはなるだけ丁寧に扱えと言っておいたはずだが…?』

『すいません。でもこいつ、自分で勝手に絡まったんですよ?』

『なに? そんなに能無しなのか』


…返す言葉もない。


『ならば、わしがこれから話そうと思っていたお前の体のことについても理解出来んか』

「え…それって、僕のドラゴンの姿の事ですか?」

『あぁ、そうだ』

「僕のこの体のこと、知ってるんですか…?」

『知っているとも、わしが知らぬことなどこの世に殆ど無いのだから』

「…ってことは、解剖は無しか…よかったぁ…」

『何か言うたか?』

「い…いえ、何も…」


闇竜の族長は、ゆっくりと僕の牢屋のすぐ側まで来ると、そこに座った。

座っていても、立っている時の僕よりも頭が高い位置にある。

人間の姿の僕からしたら、見上げなければ顔は見えない。

そして、見ようと体を動かすと、絡まっている鎖がさらに体にくい込んで痛い。


…自分で招いた事態だとはいえ、この状態で話を聞くのは結構嫌だな…。


そう思っていても、やっぱりレオと呼ばれた門番も、そして闇竜の族長も、僕の鎖を解いてはくれなかった。


そうして、闇竜の族長は僕の体について話し始めた。


『お主のその二色の鱗を併せ持ったドラゴンの体は、女神が創り出したものなのだ』

「…」


…このお爺さんドラゴンは何を言ってるんだろう。

ドラゴンも歳を取ればボケるんだろうか…。

もしかして、これこそが夢?

監禁されてお爺さんドラゴンの変な話を聞くっていう夢なのかもしれない。


僕はとりあえず夢なのかどうか確かめようと、頭を地面にぶつけてみた。


「…痛い…」

『…何やってんだお前、頭大丈夫か? …いろんな意味で…』


牢屋の番をしていたレオというドラゴンが驚いたように声をかけてくる。


『…お主、わしらが危害を加えないようにしてやってると言うのに自分で自分に危害を加えてどうする…』

「いやあの…あんまり突拍子もないことを言うので…夢かなぁって思いまして…」

『これから話すことは、夢でも幻でもない。そして事実。心して聞くことだな』


そう闇竜の族長は言いながら赤色の瞳を僕に向けた。

どうやら僕は本当に、異質な存在になってしまっていたみたいだ。

最後まで読んでくださってありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します。

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