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ゴミ箱を投げつけられて死んだ僕がドラゴンに転生しました。  作者: おもち
第六章:ヘタレのジル、神の本拠地へ。
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空の本拠地最深部

隠し通路の穴の中に入った僕達は、すごい勢いで滑り落ちていく。

まさかこのまま外に放り出されるなんてそんなこと無いよね…?

でも、もしそうなった時のために警戒は怠らないようにしておこう。

僕はそう思いながら体に力を込めて、前をじっと見つめた。

それにしてもこの滑り台のような隠し通路は長い。

暗くて周りが見えづらいということもあるのだが、どれだけ滑り落ちたのか分からなくなる。


だが次の瞬間、前方に明かりが見えた。

それが外に繋がっていることを示す光なのか、はたまた内側のどこかに続いているということを示す光なのか、僕はじっと目を凝らして見極めようとした。

すると、僕の目はその光と共に床を捉えた。

どうやら底が無く外に放り出されるという様なことは無いようだ。

僕は後ろをついてきてるはずのシルヴィに振り返らず呼びかける。


「もうすぐ出口だよ!!」


と。

その僕の声に、シルヴィは


「えぇ!」


と反応してくれた。

けど、少し声が遠く聞こえた。

まぁ、あまり近くにいると、ここから広いところに出た時にバランスを取りづらいだろうから丁度いいのかもしれない。


それにしても、思ったよりも僕の滑り落ちる速度は速かったようだ。

そんなことを思案している間に、隠し通路から開けた場所に放り出され、不格好に頭から地面に着地した。


「い…いててて…」


膝の次はおでこを強打か…。

今日は酷い日だ…。


そう思いながら立ち上がろうとした僕の上に、シルヴィが降ってきた。

お互いに目が合ったかと思うと、空中に浮いているシルヴィはもちろんの事、力を取り戻しても反射神経は平々凡々の僕も避けることが出来なかった。

シルヴィは僕の上に正座の状態で着地し、僕は無様に


「ぐえっ」


という声を漏らした。

僕の上で、シルヴィは出てきた穴をじっと不思議そうに見つめてから、ハッとしたように慌てて僕の上から飛び降りた。


「ごめんジル! 大丈夫?」


シルヴィは心配そうな声でそう問いかける。

それに、僕は苦笑混じりで頷いた。


「うん、シルヴィは軽いから大丈夫だよ。ゼアスさんとかだったら危なかったけど…。それに僕が下手くそな着地して、すぐにそこから退けなかったから悪いんだ。シルヴィは悪くないよ」

「大丈夫ならよかった…」


そう言いながらシルヴィは僕の手を引っ張り起こしてくれる。


「あ…ありがとう」

「おでこ、赤くなってるわ。膝も少し擦りむいてるし…治してあげるわね」


シルヴィはそう言うと杖を振りかざす。

すると僕が怪我をしていた部分が淡い緑色の光に包まれる。

そして次の瞬間、僕の怪我からくる痛みは綺麗さっぱりなくなっていた。


「ありがとう…」

「どういたしまして!」


シルヴィはこんなになんでも出来てキラキラしてるのに、僕と来たらなんだ。

力を取り戻したって全然パッとしない。

まぁ、元々の性格とかもあるのかもしれないけど…。

僕も、パーティメンバーの皆と釣り合うくらいにキラキラとしたい。

けど、実際問題僕みたいな陰険根暗野郎には無理なのかもしれない。


「…ジル?」

「う…ううん、なんでもないよ。進もう」


そう取り繕って、僕はあたりを見回す。

するとそこには何もなく、ただ再び通路が続いていた。


「えぇ、みんなもきっと後から追いついてくるはずよ。それまで二人で頑張りましょう!」


シルヴィは両手で拳を作ってにっこりと笑ってみせた。


「…うん。僕も、頑張るよ」


落ち込んでいる状態でも、やる気のシルヴィを見ているとこっちまでやる気が出てくるから不思議だった。


落ちてきた場所から続く通路を進んでいけばすぐに、僕達は大きな水晶のようなものを見つけた。

それは、淡く白色に光を放っている。

そしてそれを取り囲むように、白い外套のバケモノたちが四人も、杖を構え何かを呪文を詠唱しているのが聞こえてくる。


僕とシルヴィは顔を見合わせると、見つからないようにさっさと先に進んでしまうことを選択した。

進む道は一つしかなくて、格子も閉まっていない。


「…行こう…」


僕はシルヴィに小声で言い、体の状態を低くしてバケモノたちのそばを通過した。

あと少しで通路に入れる…!

という所で、一人のバケモノがこちらにちらりと視線を向けた。


「…!!」


バレたか…!

戦わなきゃならないかと、僕達が戦闘態勢になったが、バケモノは僕達を一瞥しただけで襲ってくる気配は微塵も感じられなかった。


「…どういうこと? 襲ってこないなんて…」

「……もしかして、あのバケモノたちは浮遊魔法の使い手たちじゃないかな…?」


その僕の言葉に、シルヴィは納得したように頷いた。


「それでこんな所に隠すようにして配置されてるのね…」

「確信はないけど、その可能性は高そうだよね。多分、あの中央にある光る水晶みたいなのは、浮遊魔法を使う時に力を強化するために必要な…」

「浮遊のコアね。聞いたことしかなかったけど。それに、浮遊のコアは手のひらに乗るくらいの大きさだと聞いていたからわからなかったわ」

「…こんな大きなものを浮かすためなら、あれくらい大きなものがないとダメなんだろうね…」

「何にしても、あのバケモノたちは迂闊に攻撃できないわね。マスターがこれが何処にあるのか今調べてくれてるみたいだから、それがきちんとわかるまでは、手出ししない方が良さそう」

「うん、そうだね。もし人が住んでるところにこんなのが落ちたら…」

「想像するだけでゾッとするわ。」


シルヴィはそう顔をしかめてから、僕の手を引いた。


「とにかく今は、あのバケモノたちは無視して進みましょう。この先に何があるのか確かめなくちゃ」

「…うん」


別に手を引かなくても僕はシルヴィにちゃんと着いていけるんだけど…。

でも何となく離して欲しくはなくて、何も言わないでシルヴィに手を引かれた。


いや、僕が変態なわけじゃない。

と、心の中で否定してみるが、一体誰に向かって言い訳をしているのかも正直わからなかった。


「暗いわね…」

「…うん。松明の明かりだけだからね」


長く暗い廊下を抜けていくと、今までとは確かに違う大きな広間に出た。

そこには一つの豪華な椅子があり、その上に一人の人物が座っている。


白髪の青年の姿。

その人物こそ、この人間の世界を収め続けている神だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

よければブックマークなど、よろしくお願い致します!

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