20.盗賊ポーカー
清隆の背後に、真っ黒な人型の何かが現れた。
「ハメたな?慎太郎君。」
「なんのことだ?清隆君。」
次の瞬間、人型が清隆の腹部を貫いた。
清隆はその場に倒れ、慎太郎の手札が一枚増えた。
それを見ていた葵は、なにが起きているのかわからない様子だった。
「それでは、結果発表をしよう。一位、天空寺 舞。二位、七星 葵。三位、星野 慎太郎以上だ。次は最終ゲームだよ。頑張ってくれたまえ。」
ピットが消えてから、舞の方を見ると、兄を失ったのに澄ました顔をしていた。
そして、その隣にいた、エリナは、最初の威勢はどこへやら、すごく焦った様子だった。葵は、さっき、目の前で起きた状況をいまだに理解できていない様子で、信長はなにかを悟っていた。
次のゲームが始まったようで、プレイヤー全員にカードが配られた。
配られた後、外に出ると、葵が、なぜ清隆がペナルティになったのかを聞いてきたので、慎太郎は答えた。
「自分のカード一枚の絵柄の面に接着剤を塗り、裏面にもう一枚、重ねて持っておく。そして、清隆が伏せたカードの上に、接着剤の面を下にしながら重ねて置く。そして、あたかも下のカードを取ったように思わせるために、さりげなくカード全体を手で覆いながら、上の、何にもくっついていない、自分のカードを手札に戻す。そして、清隆は自分が伏せたカードと、その上からくっつけた僕のカードを同時に手札に取る。それにより、手札が合計六枚になるため、ペナルティとなる。わかったか?」
「…まぁ、わかった。」
「なぁ、小僧、俺とカードを交換してくれないか?」
「あ?…まぁ、いいけど。」
慎太郎と信長は、カードの交換を行った。
信長からもらったカードを見た時、慎太郎は驚いた。
「おっさん。まさか、諦めたのか?」
「五月蝿いぞ、慎太郎。俺はまだ、1ポイントも取れちゃいないんだ。…それに、俺は本来、本能寺本能寺で死んでいた身だ。元の歴史に帰るだけ、何も問題はない。」
慎太郎は、何かを言おうとしたが、やめた。
「勝ってこい。敗北は許さんぞ。慎太郎。」
タイマーが鳴り、最初の部屋に戻ってきた。
「さぁ、カード集めは終わったかな?…これより、最終ゲームの結果発表を行う。」
エリナは、今にも死にそうな顔をしていた。そして、舞は、自信に満ちた表情をしていた。本当に内気なのだろうか?
「最後だからね。三位からの発表を行う。三位、天空寺 舞。二位、七星 葵。一位、星野 慎太郎。よって、合計得点七点で、一位の七星 葵と、六点で、二位の星野 慎太郎のみが、次のゲームへと移る。」
次の瞬間、慎太郎と葵以外のプレイヤーの体が透け始めた。
「信長、」
「五月蝿いな、慎太郎。別れの言葉ならいらないぞ。」
慎太郎は、深々と頭を下げて言った。
「ありがとうございました。」
「五月蝿いなぁ。…敬語、使えるじゃないか。死ぬ前に、お前に会えてよかったよ。楽しかった。」
脱落したプレイヤーが、全員煙のように消えてしまった。




