うかは何度も何度も頭を下げた。
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「何よ、あんた関係ないんだから口を挟まないでよ!ヴィクトル様が首を縦に振ったんだから、その意向に従いなさいよ!あんた一体何様のつもりよ?」
一生懸命その天志に向かって反論した。
ここで邪魔をされるのだけは困る。
この前もそうだった。
ヴィクトル様に滞在許可をもらおうとしたところで、他の天志に邪魔されて話がなくなったことがあった。
そのことを思い出していた。
とにかく邪魔だけはされたくない。
なんでここまで来たのにあまり関係がない存在に邪魔をされなければいけないというのか?
「勘違いされてますけど、解放は無理な話です。なぜならルル様のお父上、ルラ様はもうすでに処刑されているからです」
「何ですって!?そんなことありえないわ!そんなはずはない!」
「ありえないも何も、本当の話です。ゴスペル様殺しの天志、及びピースウォーカーをかくまった罪で、即刻処刑しました。なので解放することは不可能です」
「何を適当なことを言ってるの!口に気をつけなさいよ!」
それでもその天志は一向に動じる様子を見せず「本当のことです」と言うだけだった。
「そうなのか。それだったらルラの遺体をここに持ってくればいいじゃないか?簡単な話だ」
「分かりました。今すぐにここにルラの遺体を持って来させます」
「何を嘘ついてるの!そんなことしなくていいよ、どうせ嘘なんだから!」
天志はうかの言葉を無視して、そこから離れていった。
そして時計塔を降りて行って、どこかに行ってしまった。
そこから沈黙とともに5分ほど待っていると、その天志が戻ってきた。
そしてうかの目の前に遺体袋のようなものを持ってきた。
持ってきただけで何も言わなかった。
ただその天志はふてぶてしい態度をとっていて「ほら見たことか」と言ったような様子をしていた。
しかし実際に見るまでは信じない。
まさかあのルラさんが死んだ?
処刑された?
うか達のせいで?
そんなことありえない!
「こんなものさっさと片付けてよ。気味が悪いから!」
しかし天志はうかの言葉を無視して、遺体袋から中に誰が入っているのか見せてきた。
それは紛れもなくルラさんだった。
その瞬間、ずっと心の奥底でせき止めていた感情がぶわっと溢れてきて、罪悪感やら悲壮感やら恐怖心やらがない混ぜになって、どんどん溢れてきた。
止められない。
だんだん息が荒くなってきた。
「ハァハァハァハァ...」
ダメだ、なんだか苦しくなってきた。
視界もボーッとする。
膝に手をついて、グルグルと渦巻く意識をなんとか正常に戻そうとしたのだけど、なかなかできなくて、ただこの不快感がなくなってくれるのを待っていることしかできなかった。
どうしても現実が信じられない。
急に色をなくして世界全体がうかのことを押しつぶしてくるかのような錯覚に見舞われた。
「ダメダメダメダメダメダメ!!」
なんでうかのことを助けてくれた人がこんな目に遭うの?
ありえないでしょ!
うかがこうなるならまだしも、善意で助けてくれた存在がこんな風になるなんてそんな悲しいことあるかな?
「うーかー、落ち着け!そんな荒ぶっててもしょうがねえだろ?」
その時、僕ちゃんの声が聞こえてきた。
そしてようやく少しだけ平静を取り戻すことができた。
けれどそれでもまだ呼吸がまだ上手くできなくて、まともになることもできなかった。
「まあ大丈夫だろ」
「大丈夫なわけないでしょ!適当なこと言わないでよ!空気を読んで。このタイミングでいつもみたいに変なことを言わないで!」
僕ちゃんに当たってもしょうがないと思っていたけれど、今の発言はいただけない。
「そうじゃねーよ。うーかー、その遺体をよく見てみろ。まだ死んでねえんじゃねえか?」
「どういうこと?だって処刑をされたんでしょう?何で死んでないって分かるのよ?」
僕ちゃんのこの発言によって、正直言って希望を持った。
死んでないなんてことがあり得るのだろうか?
でも考えられるとしたら、天志が処刑に失敗して命を奪うことができず、気絶をして、ただ横になっているだけかもしれないということだった。
ごくわずかしかない可能性だけれど、考えられるとしたらそれくらいのものだろう。
もし希望があるんだったらその希望にすがりたい。
誰も死んで欲しくない。
すぐさま遺体袋に駆け寄り、ルラさんの元に近づいた。
ただ目を瞑っているだけだから、生きているのか死んでいるのかよく分からない。
「本当にまだ死んでないのかな?」
「とりあえず胸に耳を当ててみろ。そうすりゃ分かるだろ」
僕ちゃんの言う通り胸に耳を当ててみた。
そうすると、確かに鼓動を感じる。
「まさか本当に生きてたの!?」
こんな嬉しいことはなかった。
この上なく嬉しくて、 その場で小躍りしそうになったけれど、目の前に天志がいることを思い出して、すぐにやめた。
しかし態度でうかが何を考えているのか分かったようで、すぐさまそばにいた天志が近づいてきた。
「まさか!?まだ生きています!!」
「何!?生きているのか?」
そう言ってそこにいた天志も、うかと同じような行動をとった。
「本当だ」
「あなた医療に詳しいの?お願いします、ルラさんのことを助けてあげてください!今ここで助けてあげれば、もしかしたら目を覚ましてくれるかもしれません!!助けてあげてください!!ヴィクトル様、あなたの方からも言ってあげてください!!もう処刑は済んだんでしょ?だったらいいじゃないですか!これ以上苦しめる必要なんてもうないでしょう?ルラさんはただ匿ってくれただけなんです。それ以上何もやってないんですよ。だから助けてあげてください、お願いします!!」
うかは何度も何度も頭を下げた。
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