そんなことを考えていたら、大勢の天志に囲まれながらドクターエンジェルと対峙していた。
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なんて冷たい存在なんだろう。
どれだけ頭を下げても拒否するか、無視するかのどっちかで、こっちの話を聞こうとはしなかった。
「無理なものは無理です」
「じゃあ、あなた助けてください!ルラさんのことを助けてあげてくださいよ!」
「できない」
「まさかうかがピースウォーカーだからできないって言っているんですか?そんなことどうでもいいじゃないですか!天志と人間に差なんてないですよ」
それでも首を縦に振るようなことはなかった。
それでもここで諦める訳にはいかない。
ルラさんが生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ。
だからこんなところで遠慮なんてしていたら、ルラさんが死んでしまう。
一生懸命頼み込んだ。
自分のことを差別してくる相手に頭を下げるのは屈辱的かな?と思ったけれど、ルラさんの命がかかっていると思えば、もはやそんなことはどうでも良かった。
そんなことを相手の顔色を無視して何度も何度も続けていたら、とうとうの天志の方が怒ったのだった。
あまりにもしつこかったからだ。
「無理なものは無理です。さっき言いましたよね?」
「ピースウォーカー、それよりもなんでこんなところにいるんだ?出て行け!本拠地から出て行くんだ。ここはピースウォーカーのような存在がいられる場所ではない!ましてやヴィクトル様の目の前でそのような無礼な態度を取るのはありえない!自分が何をやっているのか分かっているのか?誰かここに来てくれ!このピースウォーカーをここから追い出すんだ!」
そんなことを言われたものだから、こっちとしてもカッとなった。
「ちょっと待ちなさいよ!それとも何?あんた達うかのことが怖いの?」
「怖い?そういう問題じゃない。いいから出て行くんだ」
「ちょっと待って、話を聞いてよ!素直に出て行ってあげてもいいわよ。ただし一騎打ちをしなさい!」
「一騎打ちだと?」
「そうよ。一騎打ち!もしうかが負ければここから素直に出て行ってあげる。ただし勝てばうかの言うことを聞いてもらう!あんた達が持っているその医療の力を使って、ルラさんのことを助けてあげてほしい!いいでしょ?」
「なんでそんなことを我々がしなければいけないんだ?何もそんな一騎打ちをしなくても、我々天志が力ずくでピースウォーカーのことをここから追い出せばいいだけのことだ。そしてこの建物から出た瞬間に、ピースウォーカーはゴスペル様殺しの罪によって処刑されるだろう」
「待つのだ。面白いじゃないか。ピースウォーカーの提案に乗るのだ」
「お待ちください、ヴィクトル様。ピースウォーカーの言うことを聞けばピースウォーカーの思うツボです。そのようなことがあってはいけません!」
そうするとヴィクトル様がそばにいた天志に何やら耳打ちをして、その天志がドーム型の本拠地の中にいる全ての天志に告げた。
「今からヴィクトル様お抱えの天志、ドクターエンジェル様と先ほど本拠地に侵入してきたピースウォーカーによる一騎打ちを始めます!皆様、格闘広場の方にお集まりください!」
ということでこのドクターエンジェルとか言う天志と一騎打ちをすることになったのだけど、本当に大丈夫だろうか?
勢いで言ってみたはいいものの、正直言って後悔していた。
かなり怖い。
だって天志の本拠地で一人きりで戦うんだよ?
まず間違いなく相手のペースになるだろうし、周りからもヤジなどを飛ばされて嫌な気持ちになるだろう。
これから大変な戦いをすることになるけれど、僕ちゃん以外頼れる存在がいない。
こんなに心細くて不安な気持ちになったのは初めてかもしれない。
そうだ、ここにはなぎさもいなければ、今までずっと一緒に行動をしてきたルルもいないんだ。
正真正銘一人で戦っていかなければいけない。
これから先どうなるのか分からなくて目の前が真っ暗になった。
頭の中は真っ白になって、カタカタとピアスピアを握る手が震えていた。
「大丈夫か、うーかー?」
「大丈夫じゃないけど、どうせあんたを助けてくれないでしょ?」
「どうしようもねえんだよ、悪いな」
「まあいいんだけどさ」
「頑張れよとしか言えねえわ。ファイトだぜ、うーかー!」
「ピースウォーカー、出て行け!」
「ゴスペル様殺し許してないぞ!」
「なかなか可愛いじゃんか!生まれ変わったらウォーカーじゃなくって天志に生まれるんだな!」
「そんなもの無理に決まってるだろ!」
「はははは!」
などと、かなりカオス状態に陥っていた。
これだけの天志が集まっているのだから、こうなるのも無理はない。
今、思ったことが一つあるのだけど、天志という存在は純粋なのかもしれない。
ただし純粋すぎる。
子供がその好奇心から虫の手足をもぐように、自分の興味や好奇心の為だったら悪事を働いたり迷惑をかけるということに対してまるで頓着しない。
楽園に来てからいろんな天志に出会ってきたけれども、なんとなくそういう風に感じる。
子供みたいなものなんだだから、そういう風に考えればこの意地の悪いヤジも少しだけ許せるような気がした。
元々子供が好きだから、そういう風に考えればもしかして天志のことも好きになれるだろうか?
でも卑怯なところだったり、残酷なところはちょっと受け入れられないかもしれない。
でも子供だってよく観察すれば普通に愛想笑いをするし、先生に怒られた時など平気で事実を改ざんして言い逃れをするようなこともあるんだ。
子供のように扱えばもっとうまく接することができるのだろうか?
そんなことを考えていたら、大勢の天志に囲まれながらドクターエンジェルと対峙していた。
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