あれは事故だったと分かっているけれど、それでもビーカの味方をしてあげたかった。
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「リスクを追ってまでやることか?理解できないな」
それそうだろう。
ルルというのは合理性の塊みたいな人で、ビーカはゴスペルの部下なのだから細かいことなんて考えない。
気が合わないのだろう。
見ていてそう思った。
「ルル様、どうしても仲間たちにゴスペル様の事とピースウォーカーの事が誤解だったということを伝えたいのです。ピースウォーカーはゴスペル様のことを助けてくれようとしました。だからその為にも、仲間たちに事実をありのままに伝えてやりたいんです。いけませんかね?」
「絶対にやらなければいけないのか?絶対にやる必要はないだろう。だからそんなことをやる必要はないんだ」
「でもどうしてもやりたいんですよ。必要かどうかって問題じゃなくて、感情の問題なんで」
「ちょっと2人とも言い争わないの!ただでさえ敵が多くて大変なのに、なんでここで喧嘩しちゃってるのよ!」
ルルは合理的でビーカは感情的なので、話が合うはずがない。
だからここはうかが仲介してやらないとダメだろう。
そうじゃなければ本格的に喧嘩になる可能性がある。
ビーカというのはゴスペルの部下でゴスペルから強く影響を受けているので、このタイミングで一騎打ちでもされたらたまらない。
まあ、本気ではやらないだろうけれど。
ルルは救世軍OLIVEの幹部だし、ビーカの階級は低いのだから。
「ビーカ、君は自分の立場が分かっているのか?僕よりも下の階級だよね?口答えしていいと思っているのか?」
「直属の部下じゃねえんだ。だから口答えするくらいの権利はあるだろう」
「ちょっと2人ともやめなよ!」
「ピースウォーカー、こんなやつのことを庇うのか?」
「庇うとかじゃなくて、落ち着いてってば!!」
「ゼロジック!!」
「ちょっと、ピアスピアまで使う必要ないじゃない!!」
「君のこと黙らせないといけないようだ」
「ダメ!!落ち着いて!!」
それでもルルは強行手段に出た。
聞く耳を持ってくれなかった。
バキッ!!
ガシャッ!!
ズバッ!!
「ちょっと、そこまでやる必要ないじゃない!!敵じゃないのよ?」
「大丈夫だよ、ピースウォーカー。なんてことねえよ」
ゴスペルの部下として鍛えられたからか、ビーカはなかなかタフだった。
そこから自分の意見に賛同するまで、ルルは攻撃を続けたのだけど、ビーカはそれでも「はい」とは言わなかった。
「ハァハァ...」
「終わりですか、ルル様?」
「そんな挑発的な言い方はしないの」
「...分かった」
ルルの方でも能力を使えば多分ビーカを倒すことは可能だっただろう。
能力を使わないだけマシだった。
一応、理性はあったという事だ。
「もういいじゃん。やらせてあげればいいじゃん、ルル!」
こうやって言うと返事がなかった。
葛藤しているのだろうか?
「ピースウォーカー、自分が何を言っているのか分かっているのか?父上の命がかかっているんだ。ちょっとでもリスクのあるようなことを許せるわけがないじゃないか。そんなことはやっぱりさせられない」
そりゃそうだ。
普通に考えればそう思うのは当然だ。
だからここはルルの言っていることの方が正しいのだけど、うかはルルではなくてビーカの味方をすることにした。
仲間のことを大事に思うビーカの気持ちは無視できない。
別にビーカの意見を採用したってルルの父上が助からなくなるという訳じゃないんだから、いいじゃない。
ビーカの味方をすることにしたのは、ゴスペルに対して引け目があったからだ。
ゴスペルの部下の味方をすれば、少しは救われるような気がしたからだ。
あれは事故だったと分かっているけれど、それでもビーカの味方をしてあげたかった。
「ハァ...」
大きなため息をついたのはルルだった。
その目は完全に呆れている目だ。
「全く、ビーカといいピースウォーカーといい、何なんだ。全くもって非合理的だ。理解できない。分かったよ、そこまで言うんだったら、行けばいいだろう。ハイパーマンの元に行かせてやる」
ルルは根負けしたように腰に手を当てながら天を仰いでいた。
バカたちを相手にするのは疲れると全身で表現しているようだ。
「ありがとう、ルル」
「ただし僕は行かないぞ」
「行かない?なんでよ!みんなで行った方がいいでしょう!」
「何を言ってるんだ。万が一攻撃をされて全滅をしたら一体誰が僕の父上を助けるって言うんだ?普通に考えればそういう風に思うのは当然だろう!」
「いやいやでも1人にしておくのは心配だよ!一人の状態の時に万が一ハイパーマンの部下と出くわして、裏切り者だと言われて攻撃されたらどうするのよ?心配だから一緒に行くわよ!」
「ありえないだろう!全滅するリスクを避けるべきだ!一緒に行くだと?断る!さすがにそこまでわがままは聞けないぞ!一度君たちのわがままを僕は飲み込んでやったのだから、今度は君たちが僕の意見を飲み込む番だ!」
「いやそりゃそうかもしれないけれどさ。でも一緒にいた方がいいでしょ!みんなで戦えるんだから!そんな意地張ってないで、みんなで行動するわよ!」
「そうじゃない。合理的な観点から考えてバラバラに行動した方がいいと言っているんだ。ちょっとは考えろ、ピースウォーカー!」
「何よ、そんな言い方する必要ないでしょ?こっちはあんたのこと心配しているだけなんだから!そっちこそ合理的に考えるだけじゃなくて、もうちょっと人の気持ちとか考えたらどうなの?ビーカもそう思うよね?」
そうやってビーカに水を向けたら、いつの間にか消えていたのだった。
「あれ、まさか...勝手に行っちゃった?」
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