それは美と恐怖が渦巻く、神秘的な何かだった。
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「ウイング!!!!」
そうやって叫んだけれど無駄だった。
「なんてことをするのよ!大丈夫!?」
そう言って大黒柱に首輪で繋がれていた半分人間の天志のウイングのところに向かって行ったのだけど、死んでいるのかいないのかよく分からなかった。
最初は十字架型の銃弾がウイングに命中してウイングは殺されたと思ったけれど、今ではよく分からなかった。
もしかしたらうかの死んで欲しくないという希望的観測かもしれないけれど、とにかく生死不明の重体だった。
「死なないでね!!死んじゃダメよ!!」
そうやって一生懸命声をかけながら、どこに十字架型の銃弾が命中したか確認した。
隙間から覗いていたあの村人はどうやら的確に急所に撃ち込んだようで、出血多量で目も当てられない状態だった。
どうにかして威光を使って、この出血を止めることはできないだろうか?
いや、もし威光を流し込もうものなら、完全に命を絶ってしまうことになるかもしれない。
それだけはダメだ。
冷静にならなきゃ、冷静に。
見ると、ごっそりと威光を吸い取られてしまったようで白目を剥きながら口をパカッと開けて、体が硬直しているようだった。
死んでいるかどうか分からないから、確認する為にはやはりあの十字架型の銃弾を奪い返すしかないだろう。
十字架型の銃弾は一度射撃して命中したら、持ち主の手元に戻るような設計になっているのだ。
「待ちなさい!その十字架型の銃弾を返しなさい!そしてウイングに威光を返すのよ!一刻を争うの!」
かなり大声で怒鳴ってやったけれど、当然返してくれると思っていなかった。
だけど大声で怒鳴れば体がすくんで多少足止めになるんじゃないか?と思っての行動だった。
風が吹くたびにきしむ、薄っぺらい出入り口を蹴飛ばして、その隙間のあるところに回り込んで行ったのだけど、もうすでにそこには誰もいなかった。
「全く逃げ足が早いわね。羽根を使って逃げているのかしら?」
そうやって辺りをキョロキョロ見回してみたけれど、誰もいない。
しかし遠くから何か聞こえるような音がしたので耳に威光を集中させると、ザマーミロという風に悪態を吐く声が聞こえたので、そっちに目を向けてみた。
そしてありったけの息を吸い込み威光と共に大声で叫んだ。
「その十字架型の銃弾をどうするつもり!?返さないと承知しないわよ!」
「これで復活させるんだよ!!復活だよ復活!!」
などとよく分からない返事をしてくる。
どういうこと?復活?何を復活させるっていうのよ!
復活させるんだったらウイングが先決でしょう!!
何はともあれ取り返すほかない。
あの逃げていく村人の言い方からすると、何かに悪用しようとしているに違いない。
そんなこと絶対に止めなければ。
阻止するんだ。
その村人は丘を駆け上がっていった。
「ハァハァハァハァ...」
当然うかもついていく。
村人は羽根を使っていなかった。
なぜだろう?
動揺しているのだろうか?
何かに気を取られている。
羽根という天志にとって象徴的なものの存在すら忘れるなんて。
相当何かに夢中に違いない。
そうやってしばらく丘を駆け上がっていると、そのてっぺんには巨大な墓があって、そこに突き当たった。
「やっと観念したわね!」
遠くからそうやって叫んだにも関わらずその村人は無視して、その墓を掘り返す。
ザクザクザク!!!
その美しい羽根をシャベルのように使っていたのは驚きだった。
自分にとって何よりも誇りにしているものを、何であんな風に使えるの?
そんな考えが頭の中を巡っていた。
遠くから村人が墓を掘り返したのを見た。
「ちょっと、何をするつもりなのよ?さっきからあなた、挙動がおかしいわよ」
それでもその村人は無視をしてきた。
そしてなんと、その村人の懐には無数の十字架型の銃弾がしまわれていて、それを鷲掴みにすると、掘り返したばかりの墓の穴にそれを乱雑に放り込んだ。
ザクザクザクザクザクザク!!!!!!!
それらはどうやら、穴の中に埋葬されている誰かの体に容赦なく突き刺さったようだった。
「ちょっとあんた!!」
何が何やらよく分からない。
この村人は何をしたいんだろうか?
その瞬間、目もくらむほどの驚異的な威光が放たれて、2人の視界を奪った。
ピカァァァァァァァァ!!!!
「キャーッッッ!!!!!」
「やったぞ!!ようやく復活するんだ!!復活だ復活だ!!」
十字架型の銃弾を悪用しているこの村人は、正気を失うほど狂喜乱舞していて、ゾッとするほど不気味だった。
「何なのこれ!?何が起こっているのよ!」
そう思うのも当然だ。
だって威光が穴の中から放たれてもうすでに30秒ほど経っているにも関わらず、未だ止まる気配がなくて、目が開けられなかったからだ。
そして次の瞬間、とんでもないことが起こった。
ドカーーーーーンッッッッ!!!!!!!
パラパラパラパラパラパラ.......。
「キャーッッッ!!!!」
「うわーっっっ!!!!」
「ふうふうふうふう.....」
何か熱いものを感じたから、とっさに威光で全身をガードした。
だから助かったものの、まさか墓が立っていた丘、全体を吹き飛ばすほどの威光が放たれるとは思わなかった。
「何なのよこれ!!」
それにしても危なかった。
あの村人はひっくり返ってその場に倒れていた。
それはさらがらウイングが十字架の銃弾を撃ち込まれた時のような格好で、なんだか皮肉だった。
「どこなの!?誰かいるんでしょ?」
そう言って叫ぶと、背後から圧迫感すら覚えるほどの威光を放った誰かがいた。
それは美と恐怖が渦巻く、神秘的な何かだった。
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