だから孤立するというのがどういう気分になれるのかがよく分かる。
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想をお願いします。
作者のモチベーションになります!
「なるほど、そうなのね。それだったらやめておくわ」
「そうだ、やめてほしい。このまま吸い取られたらどうなるかわからないからな」
ということで十字架型の銃弾で人間の威光だけを吸い取るというやり方は断念したのだけど、他に何かいい方法が思いつかなかったのでルルに相談したいと思った。
そして高圧的な天志がそこで口を挟んだ。
「いいか、このままではこの半分人間の天志は村八分にされるかもしれない。ウォーカーの性質が混ざることによって仲間外れにされることだろう。だから時間がないんだよ。分かるかい、ウォーカー?」
「それくらいの道理は分かるわよ」
そうすると、弱っている半分人間の天志が口を開く。
「そういうことなんだ。だから殺して欲しいんだよ。このまま生きていても地獄が待っているだけだろう?だからせめて殺してくれれば、そういった地獄から逃れることができるかもしれない。だからやって欲しいんだ。誰でもいい。別にピースウォーカーじゃなくてもいいんだぜ。本当に誰でもいいんだ。自分でやる勇気はないからせめて誰かにやってほしい」
うかは何も言えなかった。
確かにそうかもしれない。
このままずっと生き延びることができたとしても、迫害されるのは間違いないだろう。
差別される気持ちはよくわかる。
ピースウォーカーとしてこの楽園をさまよっているだけで、どれだけ見下されてきたことか!
うかは人間だからまだいいけれど、天志が人間になって、仲間たちから差別や迫害を受ければその時のショックたるや想像もつかない。
もしかして、うかの考え方が間違っているのだろうか?
ここで命を奪うことが正しさなんじゃないだろうか?
そんな葛藤が心の中で渦巻いていたのだけど、そういった思い切った行動はもうちょっと後にした方がいいかもしれないと思い始めていた。
そうだ、思い切った行動をするんだったら、なるべく慎重になった方がいいだろう。
だから一旦この考え方は保留にして、他にもっといい方法がないか探してみよう。
そこで思いついたのがこういった方法だった。
「ちょっと提案なんだけどさ」
「何だ?まさか天志に戻す方法を思いついたとでも言うのではないだろうな?そんな方法はないぞ。色々試したんだから、昨日今日来たばかりのピースウォーカーにそう言った方法が思いつくとは思わない。だからバカなことは言わないで、さっさと命を奪ってくれればいいんだよ」
そばで聞いていた高圧的な天志はもはや何も言わなかった。
おそらく内心ではその高圧的な天志も同じように思っているのだろう。
なんて残酷な出来事なんだろうか?
仲間外れにされるというのはだいたい察しがつく。
何を隠そう、うか自身もたまに孤立をすることがあるからだ。
自己中心的な部分は直した方がいいと思うのだけど、生まれつきの性分なのでなかなか直すのが難しい。
だから孤立するというのがどういう気分になれるのかがよく分かる。
「それで提案というのは何だ?」
高圧的な天志が気になったのか、うかに尋ねた。
「提案と言ってもそんな大げさなことじゃないんだけどね。どう?うかはピースウォーカーをやっているんだけど、よかったらピースウォーカーの仕事を手伝ってみない?」
「もちろんずっとって言うわけではなくて、何かいい方法が見つかるまで、だけど」
これはただの思いつきだった。
だから相手が本気で受け取るとは思わなかった。
何かいい考えが思いつくまでの繋ぎと言ったところだろうか?
でも思った反応とは違う反応が来たのだった。
「ピースウォーカーの仕事の手伝いか。その仕事をすれば完全に天志戻るヒントを得られる可能性があるな。悪くないかもしれない。ピースウォーカーと一緒にいてウォーカーごときを身を持って助けるというのにはちょっとだけ抵抗があるかもしれないけれど、この際文句は言えないかもしれないな」
「何よその言い方!でもピースウォーカーを手伝うっていう提案はそこまで悪い話じゃないと思うんだよね」
「確かにそうだ」
寝転んで話を聞いていたその天志は、上半身だけ立ち上がってようやくこっちに対してまっすぐ目を向けてくれたのだった。
かなりげっそりしていて疲れ果てているのがその表情から分かった。
顔がこけているし、涙の跡みたいなものも目の下にくっきりと浮かんでいる。
このボロ小屋で一人シクシクと泣いていたんだろう。
そこまで追い詰められているのだから、ちょっとでも希望があればすがりたくなるのも分かる気がする。
「どう?やるのやらないの?」
「わかった。やってやろうじゃないか!」
この上から目線の発言に対してはちょっとイラッときたけれどらでもこの半分人間の天志が希望を持つことができたようで良かった。
「それじゃあ、今日からよろしくね。あなたの名前は何て言うの?」
「ウィングと言う」
我ながらなんてお人よしなんだろうと思う。
自分のことを差別してくる相手を助けようだなんて。
頼みを聞いてやろうとするだなんて、どれだけうかはお人好しなんだ。
しかしことはそのまますんなり行かなかった。
「おいウイング!!お前ピースウォーカーなんかの味方になろうって言うのか!?ふざけるな!!今まで命だけは助けてやっていたのに、まさかピースウォーカーに寝返るだなんて!!終焉の惡魔にも勝るとも劣らない下等生物と手を組むなんて!!この村の恥だ!!死ねウイング!!」
バンバンバンッッッ!!!!!
そう言ってこの小屋の隙間から話を盗み聞きしていた村人が、十字架型の銃弾を使ってウイングを撃ち抜き、一気に威光を吸い取った。
「ぐわあああああああああ!!!!!」
その村人はウイングを殺したのだった。
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想をお願いします。
作者のモチベーションになります!




