半分人間の天志はそれ以上もうやるなと言ったようなジェスチャーをしてきた。
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想をお願いします。
作者のモチベーションになります!
「何それ本当の話?」
「ここで嘘をついてもしょうがないよ」
どうやら本当の話のようだった。
そうだとしたらなんだか気の毒に思えてきた。
天志というのがどれだけ差別的な存在なのかよくわかっているつもりだったからだ。
その天志の気持ちとか、現在の立場とか、これからの未来というものを考えた時に、胸がチクっとして、いてもらってもいられなくなった。
「その天志というのは一体どこにいるのよ?とりあえず実際にこの目で確かめてみたいから、案内してちょうだい」
「分かった。ただしくれぐれも内緒にするんだぞ!」
「分かってるわよ。何度も言わなくても平気だから、さっさと案内してちょうだい」
そう言って十字架の牧場からこの村の住人に案内してもらったのは、村の外れにあるボロ小屋だった。
「こんなところにいるの?こんな劣悪な環境、楽園に来てから見たことない」
「半分ウォーカーが混ざっているのだからこれだけ劣悪な環境で暮らすのも当然ってものだろう」
相変わらず人間に対する差別がひどいけれど、いちいち反応していたら進まないので、一旦スルーしておいた。
本当は訂正するべきなんだろうけれど。
ギギギ.........
ボロ小屋の扉を開いたら、大黒柱に首輪で繋がれながら大の字になってポロポロと涙を流している天志がそこにいた。
「こいつだ」
その半分人間の天志というのは見るからに心も体も傷ついていて、なんだか気の毒になってくる。
「哀れね」
「おいルーシー。ピースウォーカーが来たぞ」
そう言うと、そのルーシーと呼ばれた半分人間の天志は反応しなかったけれど、そばにいた高圧的な天志がさらに強い声で怒鳴りつけると、ようやく顔をこちらに向けた。
しかし体はピクリとも動かなかった。
完全に何かを諦めているようだ。
汚らしい床に寝転がっていたので、とりあえずどこら辺が半分人間の天志なのかを確認するために、ひっくり返ってもらった。
「ここ見るんだピースウォーカー」
高圧的な天志に言われるままにそこを見てみたら、指差した先は肩甲骨だった。
しかし本来だったら羽根が生えている場所に、彼はちょっとしか羽根が生えていない。
「なるほど、そういうことね。そりゃ差別されるでしょうね。あんたたち天志は羽根に相当なプライドを持っているものね」
そのことについてミサのママに侮辱されたことを思い出して腹が立った。
しかし、一旦それは頭の片隅に置いといて、この瞬間に集中しよう。
「だけど見た目的にはほとんど天志と変わらないじゃない。何がダメなのよ?」
「何がダメだと?天志にとって羽根こそが天志の証明なんだ。その大事な羽根がなくなったら、ほとんどウォーカーと変わらないじゃないか!」
地面にうつ伏せになりながらボロボロな姿で聞いている天志も、小さく「その通り」とつぶやいた。
そう言われた瞬間に一気にこの天志のことを助けようという精神が消えてしまったのだけど、すぐさまその考えを改めて助けてあげなければいけないと思い直した。
それにしても、この天志たちの人間に対する間違った考え方を直させる方法はないだろうか?
何かうってつけの方法があるんだったら誰でもいいから教えて欲しい。
「なぁ、頼みがある、ピースウォーカー。殺してくれないか?村人に殺されるのは嫌なんだ」
「殺してくれないかですって?ピースウォーカーに殺されてもいいの?格下から殺されるのはあなた達のプライドからすれば、耐えられないんじゃない?」
「同じ村人から殺されるよりはマシだろう。もちろん、本当は嫌だけどな」
「そうなの。でも断るわ。そういう言い方をしてくる天志の言うことを聞く義理はないから」
「どうすれば殺してくれる?何でもやるよ」
その発言を聞いてなんだか悲しかった。
ここまで追い詰められているなんて。
そして天志からすれば人間になるということがそんなに嫌なのか。
全く持って気持ちが分からない。
「殺す殺さないとかじゃなくてさ。うん、あなた、もうちょっと待ってなさい。うかが何とかしてあげるから。直してあげる、あんたのこと。心配しないでいいわよ」
うかがそう言うと、そのボロボロだった半分人間の天志は「無理だ、直せるわけがない」と断言した。
「どうしてそんなことが言えるのよ?」
「無理だからだ。どれだけ試したと思っている?村人たちにもどれだけ相談したと思っている?無理なものは無理なんだ。昨日、今日来たばかりのピースウォーカーに一体何が分かるって言うんだ?」
そんな言い方をされてムッときたけれど、追い詰められているだけだと思って我慢してあげた。
「本当かしら?ちょっと!」
そう言って、そばにいた高圧的な天志にジェスチャーであれ貸してと頼んだ。
そうだ。
ミッションのことを襲った十字架型の銃弾だ。
これを使えばなんとかなるんじゃない?
「行くわよ?いい?」
「やってみろ。無駄だから」
「それじゃ遠慮なく」
バンバンッッ!!!!
「どう、効いた?」
ピカァァァァァァァァ!!!!!
「ガハッ!!はぁはぁはぁ......」
半分人間の天志はそれ以上もうやるなと言ったようなジェスチャーをしてきた。
「そんなものを撃っても体の中でウォーカーものと混ざり合った俺の威光を吸い取っちまう。だからそんなことをしてもしょうがないんだよ」
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想をお願いします。
作者のモチベーションになります!




