そうするとしばらくルルは考え込んだ素振りをして、1分ほど経ったくらいで腕を組みながら、「いいだろう」とつぶやいたのだった。
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「うーかー、どうした、うーかー、動け!」
そうやって僕ちゃんに急かされていたけれど、強さを見せられてとてもじゃないけれどこんな離れ技をするようなやつに立ち向かえるとは思えなくて、動物的な本能からか動けないでいた。
「何やってるんだ!動かないとまたいつ何をされるか分からないぜ!!」
「そうだけど、動けないんだよ!!しょうがないじゃない!!あんなものを見せられたら、なんか怖くなっちゃったの!!」
「そうなのか。でもそれでいいのかよ?」
そうやって羽根となった僕ちゃんと会話をしていたら、それを見ていた天志が鬼のような顔をしながら、およそ天志とは思えないような表情をして叫び出す。
「ピースウォーカーに味方をするその幼精を捉えろ!!」
「この人達って僕ちゃんと味方じゃないの!?あんたまで目の敵にされているじゃない!!」
「天志にとっては自分たちと自分たち以外って感じなんだ。だから自分たち以外を区別する気なんてさらさらないんだ」
「全く、何なのよ天志っていうのは!!」
「本当だな」
「僕ちゃんは戦う気はないんだ。だから抵抗しないぜ。勘弁してくれ!」
そうやって僕ちゃんが半ば命乞いのようなことをしてみせると、ヴィクトル様が口を開いた。
「皆のもの、勘弁してやるのだ」
そうやってたった一言を呟いただけで天志達が落ち着いたのだった。
子供みたいな見た目をしているけれど、その圧倒的な強さという背景があるので、みんながみんな言うことを聞くのだろう。
ちょっとくらい反論があってもおかしくないだろうに全く反論がなかったのは、日頃からこういった強さを目の当たりにしているので、万が一逆らえば痛い目に遭うとでも思っているのかもしれない。
「あれ、なんか体がふわふわしてきた」
「大丈夫か、うーかー!?」
ブクブクブクブク.....。
「本当に大丈夫か、うーかー!?泡を拭いて倒れたじゃねえか!」
ばたり....。
ピクピク.......。
....どれくらい眠っていただろう?
体が重くて頭もズキズキする。
そんな中でゆっくりと目を開けてみた。
「あれ、うかなんでこんなところにいるの?まさかここは、壁の向こうにあったOLIVの本拠地だったりしないわよね?」
と、その時だった。
視界の中に金髪で白いナポレオンジャケットを着ている10代の男の子が現れた。
見覚えがある。
「やっと起きたか、ピースウォーカー」
「うわ、なんであんたがこんなところにいるのよ!!僕ちゃん!!」
シマエナガの名前を呼んでから、耳たぶにつけているはずのピアスに威光を当てようと思ったのだけど、そこにピアスピアはなかった。
「あれ、何でないのよ!?早くしないとまたこのルルとかいうやつに攻撃されちゃうわよ!!」
「ずいぶん警戒しているね。別に興味ないから安心しなよ。落ち着いて?」
「また一騎打ちをするつもりなんでしょ?で、女の子にするには最低すぎる攻撃をしてきて、うかを痛めつける気なんだ!きっとそうに違いない!!」
「ずいぶんトラウマになってるようだけど、興味ないから落ち着くんだ」
「それなら何でずっとそばにいて、うかの寝顔を眺めていたのよ?何か理由があるんでしょ!?正直に言いなさいよ!!」
「それくらい察しがつくだろう?理由は簡単だ。ヴィクトル様に、『お前はこのピースウォーカーに詳しいようだから世話をするのだ』と命令を受けただけだよ。普通に考えればそれくらいしか理由がないんだから、わかるだろう?」
「何よ、いちいち理屈っぽいわね。それならそうとさっさと言ってくれれば良かったのに」
「いちいち面倒なウォーカーだ」
「それで、滞在許可はどうしてもくれないの?あなたたちに滞在許可をもらえなければ、うか、ずっと嫌がらせをされることになるのだけど?」
「楽園から出て行けばいいじゃないか」
「楽園から出て行っても帰る場所はないのよ。だからここにいることにしたわ。あんたたちがここに連れてきたんだから、最後まで責任取りなさいよね。あんたとゴスペルがここに連れて来なければ、こんなことにはならなかったんだから、最後まで面倒を見る責任ってものがあると思うのだけど?」
そう言うとルルは黙り込んだ。
一応筋が通っているからだろう。
なるほど、この子はこういう喋り方をすれば一応話を聞いてくれるんだな。
1つ勉強になった。
「あんたたち、そんなにうかに楽園から出て行って欲しいの?」
「そりゃそうだよ。ここは僕たちの楽園だからね。部外者が来たら居心地が悪いだろう?」
「まあ気持ちが分からなくもないわ。でも、うかを連れてきたのはあんたたちだからね?でも、そんなに出て行って欲しいって言うんだったら、出て行ってあげてもいいわよ?」
「そうか、それじゃあ出て行ってくれ」
「ただし条件があるわ」
「なんだ、天志を試すような真似をするんじゃない。いくらピースウォーカーだからと言っても、ウォーカーにそういったことをされるとイライラする」
「何よまだ何も言ってないじゃない!」
「それで条件は何だ?」
「うか、親友を終焉の惡魔に奪われたのよ。だから助けに行きたいから、力を貸してほしいの」
「何?」
「サクリファイスっていう親玉がいるでしょ?あいつに親友を奪われたのよ。だから取り返すためには強くならなきゃいけないの。あなた、うかのことをボコボコにしたでしょ?だから鍛錬してくれないかしら?そうしたら、言われなくても帰ってあげるわよ」
そうするとしばらくルルは考え込んだ素振りをして、1分ほど経ったくらいで腕を組みながら、「いいだろう」とつぶやいたのだった。
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