あともうちょっとで死にかけたというのもあるし、この圧倒的な力量の差を見せつけられては、誰だってこうなるだろう。
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「なんじゃお願いとは?申してみよ」
随分偉そうね。
子供なのになんでこんなに偉そうなんだろう?
どういう育ち方をすればこんな喋り方になるんだ?
まあいいや。
今はとりあえず滞在許可をもらうことが重要だ。
「神楽坂うかと言うわ。この楽園にはあんたたち救世軍OLIVの幹部に無理やり連れてこられたの。それでここにいると天志から絡まれてしょうがないんだけど、あんたが滞在許可を出してくれればみんな絡まなくなると思うの。だから滞在許可をもらえないかしら?」
一瞬間が空いた。
よく考えているようだった。
これはリーダーとしてふさわしい態度のように思えた。
そうするとおもむろに口を開いて「皆のものはどう思うのじゃ?」と空中に飛んでいる天志達に語りかけたのだった。
「ヴィクトル様。ピースウォーカーが楽園にいて、同じ空気を吸い、視線を合わせながら生きていくことなんてできません。即刻退場させるか抹殺するべきです」
「そうです!このピースウォーカーは生かしちゃおけません。そしてこのピースウォーカーに加担する幼精にも責任を追及するべきです」
「ちょっと僕ちゃんは関係ないじゃないのよ!!巻き込まないでよ!!」
しかし天志はそれを無視して、ヴィクトル様の判断を仰いだのだった。
「うむ。皆のものの気持ちはよくわかった。そういうことだ、ピースウォーカー。滞在許可を出すことはできない」
「何よ、あんた救世軍OLIVのリーダーなんでしょ?だったら自分で決めなさいよ!なんで幹部とか部下の話なんて聞く必要があるのよ」
「ヴィクトル様、ピースウォーカーの話になど耳を傾けないでください。お耳が汚れます」
「何が耳が汚れるのよ。このくらいの年頃の男の子なんてみんな汚い言葉大好きなんだから、別に汚れるとかそんなこと気にしないでしょ。それにうかの声と言葉は汚くないし、失礼なこと言わないでよ!自分で決められないなんてやっぱり子供ね。救世軍OLIVのリーダーと言われているけれど、ただのごっこ遊びだったわけだ」
この挑発的な物言いに対して、ヴィクトル様は何も言わなかったけれど、周りの天志は黙っていなかった。
「ヴィクトル様にそんな無礼な言い方をするのはやめろ、ピースウォーカー!自分が何をやっているのか分かっているのか?」
避難轟々で、猛烈な悪意の嵐が巻き起こった。
そうすると天志のうちの一人が叫んだ。
「全員ピアスピアをピースウォーカーに向けろ!!一斉攻撃するぞ!!」
「わかりました!!」
「はい!!」
「了解だ!!」
そして各々が持っているピアスピアをうかに向けて、威光を込め始めた。
まずいことになった。
「僕ちゃん!!」
「うん、かわした方がいいぜ、うーかー」
相変わらず楽観的でイライラしたけれど、その発言自体は間違いなかった。
このままだとまず間違いなく攻撃が当たるし、攻撃が当たるだけだったらまだしも、八つ裂きにされる。
そして消し炭になって、あの子供の歌声のように純粋なせせらぎに灰を投げ込まれるかもしれない。
いくらキラキラしているからと言って川に投げ込まれるのはごめんだ。
「やれ!あのピースウォーカーを吹き飛ばしてやれ!!」
「まずい、僕ちゃん行くよ!!」
そう言って壁際に沿って上昇していった。
そして、壁の上からうかのことを見下していたヴィクトル様のところに向かって行ったのだった。
「どうよ!!これであんたたちは攻撃できないでしょ!!あんたたちが一斉に攻撃してくるって言うんだったらこっちにだって考えがあるんだからね!!」
「この卑怯者、まさかヴィクトル様を人質に取るとは!!」
「やってることが終焉の惡魔そんなんら変わらないじゃないか!!」
「終焉の惡魔もウォーカーも、下賤という点では何も変わるところがないということだ」
「なんてことを言うのよ!!あんな奴らとうかを一緒にしないでよ!!が
それからもしばらく天志達とあーだこうだと口喧嘩をしていたら、途中でヴィクトル様が口を挟んできた。
「もうよい」
そして次に衝撃的なことを言ってきた。
「どうじゃ、ピースウォーカー。余の羽根になるというのだったら、滞在許可の事を考えてやってもよい」
「何よ羽根になるって?まさかあんたのタクシーになるって言うの?何でうかがタクシーにならないといけないのよ!」
そりゃ子供は好きだけど、さすがにこんな年下の子のために骨を折ってあちこち移動しなきゃならないなんてことにはなりたくない。
一体何だってそんなことをしなければいけないのだろう?
「ちょっと救世軍OLIVのリーダーか何だか知らないけれど、調子に乗るんじゃないわよ!!うかは年上よ?分かってるの!?どういう教育をしたらそういう発想になるのかしら?」
そう言った瞬間、うかは真っ逆さまに落ちていった。
ひゅうううううううう............
「どういうこと!?僕ちゃん、どうしたの!?」
パッと背中を見てみたら、そこに羽根はなかった。
「えっ!?」
「ピースウォーカー!!」
そうするとそばにヴィクトル様がいることに気づいて、うかの背中に生えていた羽根を持っている事に気づいた。
まさかこんな短時間で羽根を奪い取ったっていうの!?
「キャーーーーーッッッッ!!!」
羽根をなくしてコントロールが効かなくなったので、くるくると回りながら地面に吸い込まれるように落ちていく。
しかし間一髪のところで助かった。
バサッッッ!!!!!!
「ギリギリセーフか?」
「僕ちゃん!!」
なんとヴィクトル様は地面に激突する寸前で、奪い取った羽根をうかの背中につけるという離れわざを見せたのだった。
助かった...。
助かったけど、冷や汗が止まらなかった。
あともうちょっとで死にかけたというのもあるし、この圧倒的な力量の差を見せつけられては、誰だってこうなるだろう。
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