第94話 エゴ
ちょっと後半暗いですね。前ほど重くは無いですけど。それでは楽しんで来てください!
「……それで?何か理由があるのかな?わざわざオールしなければいけない理由が?」
うわ、完全にキレてるな……普段通り笑ってるけど圧があるしまず正座させられてるし。怖いという言葉しか出ない。この状態でなんて言い訳するのが正解だ……?
「……いや、その気がついたら朝になってたみたいな感じだから俺悪くないと思うぞ?」
「でもご両親に止められたんだろう???そもそも理由は?返答になっていないよ?フフフ、今すぐ寝てもらってもいいんだよ?」
永眠って意味の方の寝るじゃないよな……?というか風呂入ってないから今寝かされるのはごめんだ。
「いやでも怜斗が何回かこっち来たけど何も言われなかったし……な?それにあまり大声出すと下に聞こえるぞ?」
「フフ、大丈夫だよ。声が部屋の外に漏れないよう術をかけてあるからね。安心して説教されておくれ?それで昨日は何をしていたんだい?怜斗君が文句を言ってこないということはそれ相応の理由があるんだろう?」
「いや……でもこれはその少し言いにくいというか……ユウ関連でもあるというか……な?」
「へぇ〜……それは興味深いねぇ?是非とも教えてもらいたいところだ。ほら、言ってごらん?」
「はぁ〜……仕方ないな。その腕元に戻す方法がないか調べてたんだ。それで気づいたら朝になってた。朝食を摂らなかったのは……その、呪い関連のこと調べてたら一緒にすごいグロい画像がヒットしたりして食欲無くなったんだ。」
「……ちょっと待って。つまり涼君は僕のせいでオールしたのかい?」
えっ……あ〜……どう答えるべきだ?肯定しても否定しても悪い方向に行く気がするし。
「何も言わないってことはやっぱり僕のせい……」
「あ〜違う違う!やめろ暗い顔になるなお願いだから。俺の悪い癖なんだ。1回気になると限界まで調べるっていう……だからユウが悪いわけじゃない。」
「……いっそこの腕を切り落とせば解決なんじゃないかい?」
「やめろ、馬鹿な事言うな。俺がしたくてやっただけだ。ユウは悪くないだろ。」
そこまで言ってもユウはまだ暗い顔をしている。
「でも……」
「はああああぁぁぁ…………やった本人がユウは悪くないって言ってるんだから悪くないんだ。」
「違うんだ……本当は僕やろうと思えば呪いを解くことも出来るんだ。やってないだけでね。涼君が心配させた時点で僕にも非がある。」
ん?あ〜その事か。
「大丈夫だ。だいたい予想はしてた。ユウの能力の中にそれ系ありそうだしな。それを分かった上でした。」
ユウは驚いた顔をして
「……知ってたんだね。ならどうしてわざわざそこまで僕に、いやすず君もか。僕達に尽くそうとするんだい?」
と聞いてくる。
何を今更……そう言う代わりに俺はユウの目を見てはっきりとこう言う。
「そんなの簡単だろ。俺は1度地獄のような体験をしたがその地獄を救ってくれたのは紛うことなきユウ達だ。だから俺はすずやユウの事を救う。もちろん翔斗や由衣もな。まぁシンプルに言うとただの俺のエゴ、だな。」
「でも……予想していたのならどうして僕に腕の呪いを解かないのか聞いてこなかったんだい?普通なら怒ったり呆れたりするものところだろう?」
「どうせ聞いてもはぐらかすだろ。それに怒ることで無理に聞き出すのはユウの性格的に段々怒られるという恐怖から自分のことを話すことになっていくだろ。それだと救うじゃなくて新しい呪いをかけるようなものだ。」
「……おかしいなぁ。山に1人でいた頃に唯一効いたこの呪いだけは解かずに残しておいてなんとか死んでやろうと思っていたのに。涼君のせいで解こうか悩み始めてしまったよ。」
ユウは右腕に左手で少し触れながらそう呟く。
「その腕、時々力入りにくいんだろ。時々妙に左しか使わない時があったからな。その時右腕はだらんとしていて力が入ってない状態みたいだったし。」
「観察力が鋭いんだねぇ……全て読まれている気がするよ。」
「さすがにそこまでじゃない。でもこの観察力の鋭さは母さんの遺伝かもな。母さんエスパー並に当ててくるし。」
「フフっそうだね。姉さんの話をしている時の君のお母さんの予想の的中率は凄かったからね。」
「そうだな。俺ちょっとひいたからな。当てられすぎて……それで腕、どうするんだ?呪い解くのか?」
「どちらにせよ時間がかかるのに変わりは無いから、気が向いたら明日の朝までに解いておくよ。」
「そうか。解いてることを願っとく。よく考えたらユウって最終的にどうなるんだろうな?」
「どうなるってどういうことだい?」
「いや、俺としては生きた人間に出来たら嬉しいんだが中々出来ないだろうし。ユウは実体もあるし死ぬ時っていつになってどういうふうに死ぬのかなって思ってな。もしかすると俺やすず達が死んでからかもしれないってことだろ。そう思うと心配だな。」
「まぁ……それは仕方ないさ。あ、でももしかするとティール君なら何か知っているかもしれないね。後で聞いてみようか。」
「そうだな……はい、ユウ。」
俺は手を広げて抱きつかれる準備をする。
「……え?どういう意味だい?」
「見たまんまだろ。今のユウの顔誰かに泣きつきたいって顔してるし。だから、はい。」
「せっかく堪えてたのに、涼君のせいだよ……ッ!」
そう言い俺に抱きつき泣き始める。
相変わらず甘えるのが下手だな……多分、生前も誰にも甘えられなかったんだろうな。その分余計に泣くという行為に抵抗があるんだろ。全く……世話の焼ける奴だ。子供を相手してる感覚に近いぞ。
「グスッ……僕、も始めはっグスッ……いっぱい頑張って生きよ、うとしたんだ。でも……っグスッ次第に苦しくなってきてっ……」
「あぁ、そうだな。今日までよく頑張ったな。偉い偉い。」
ユウは泣きながらそう言ってくる。それに対して俺は頭を撫でながら自分なりに出来るだけ優しい声で慰める。
「姉さ、んは僕のこと恨んでるかな……グスッ」
「そんな訳ないだろう。お前のお姉さんのおかげでユウは俺やすずに会えたんだ。恨んでたらそんな事しない。」
「……う、ん。」
そんな感じで暫くユウを慰めていると扉がノックされる。
「……涼、お風呂上がったよ。次入ってきてどっちか……あれ?泣き声?入るね。」
すずならいいかと思い俺はすずをとめない。ユウも同じなのかそのまま泣いている。
「……ユウが泣いてる?何かあったの?」
「……今まで苦しかった分が一気に爆発したみたいだな。前にも1回あったが今回は今まで1人で怖かった事とか苦しかった事が溢れてきたんだと思う。」
「……そうなんだ。懐かしいな。私もそんな感じでよくお姉ちゃんに慰めてもらってた。」
「実際はユウの方が年上だけどな……どうするユウ?風呂先入るか?」
「……一緒がいい。」
あ〜……まぁ俺と一緒にいとけば下行って母さんと父さんに見られた時も変に追求されることは無いか。
「……分かった。今日だけだぞ。」
「ん……ありがと……」
ホントに幼い子供みたいだな。泣いてるユウには悪いがちょっと弟みたいな感じで可愛い。
「……なんだかユウ、いつもは大人のお兄さんって感じだけど今泣いてる小さい子供みたいだね。」
「…………ん。」
小さい子供と言われたのが気に食わなかったのか俺に強く抱きついて顔がすずに見えないようにする。
「……とりあえずもう少し落ち着いたら風呂入るから一旦すずは部屋出てくれ。着替えの用意もあるし。」
「分かった……ユウのことお願いね。」
そう言いすずは部屋を出ていった。
はぁ……またすずが出ていってユウ泣き始めたし暫く風呂入るの後になりそうだな。そう思いながら俺はユウの頭を撫で続けるのだった。
最近すごい涼が主人公してますけどあくまで主人公はすずですからね?忘れないであげてくださいね?ユウはユウで大変そうですし……明日の私、今日の内容の事思い出したて恥ずかしさのあまり死にたくなってそうですね。それではまた次回にお会いしましょう!




