第471話 ヒステリック
今日は……後書きありです……楽しんできてください……
「……琴葉さん、ユウは?」
怜斗と家に戻ってきた俺は帰って早々琴葉さんにユウの場所を聞く。
「ユウならあの子の部屋のベッドで寝かせたわ。クミさんも急いできてくれるみたいだし暫くは安静ね。あの子ったら本当にもう……」
琴葉さんは怒るような素振りを見せつつも内心は心配と不安でいっぱいなようでチラチラとユウの部屋を見ながら明らかアワアワする桜を宥めている。
……このタイミング的に……やっぱおかしいよな。
「……なぁ怜斗、これ何が原因だと思う?」
「ん〜……俺の親!って言いたいところだけどぉ……残念ながら呪いの気配はしないんだよねぇ〜?なんでだろぉ?」
と早速俺の予想をへし折ってくる。
……ん?ちげーの?まじ?じゃあなんで……
「……で、も……ユウは風邪とかないはずじゃ……」
「まーないだろーね!……それこそ対価じゃなぁい?五感が冴えてる時はとんでもないみたいだしぃ……呪いじゃないならその対価でしょお!いつ交換したのかはわかんないし、もしかすると無意識でしてたのかもだけどさ!」
怜斗はケラケラ笑いつつもやっぱり目は不安げでソワソワとしている。
……もし、もしあいつが無意識で勝手に自分を追い詰めてるのが原因……とかだったらマジで説教で半日終わらすからな……いや、とりあえずユウの様子見に行こ。
「……まぁ、ありがと怜斗。慌ててきてくれて。」
「いいよぉ!じゃ、俺お邪魔になるのも悪いし帰るねぇ!」
明るくそう言った怜斗はチラリとユウがいる部屋を見てから玄関の方から帰っていく。
……念の為温存してんのかな?
そんなことを思いながら俺はユウの様子を見に行ってみる。
「……ユウ?ちょっとはマシなった?」
「……っいたいよぉ……ッ!そうたぁぁぁ……!」
ユウは今まで何とかこらえていたようで俺が隣に座った途端ボロボロと大きな声で泣き出す。
……うん、これマジ重症。え、なに?これでこいつ死者が行くとこ行かないとなの?……絶っっっっ対ダメだけど???
「……ん。しんどかったな……どこ痛い?」
「ぜんぶぅぅぅ…………」
相当苦しいようでユウは自分の足をつねりながらそう答える。
「……つねっちゃダメ。隣で寝てやるからつねりたいなら俺にして。なぁユウ。心当たりある?」
「ない……」
俺が隣に寝転んだ瞬間ユウは俺のことを強く抱き締め心做しか先程よりも少し落ち着きのある声でそんな返事をする。
……まぁ、あったら自分でなんとかするよな。今までがそうだったっぽいし。
「……そっか。一緒にねる?」
「……いっしょじゃないとねないからね……」
目にうっすらと涙を浮かべてそう言うユウは俺が離れると思ったのか息を荒らげてゲホゲホと咳をしている。
「……一緒に決まってんじゃん。ほんっとばか……お前……あ。」
……でも、よく考えたら昼飯作んないとだよな。ユウは食べれるかわかんないけどうどん作っときたいし……この時間ならクミさんも何も食べてないかもだし……
「……なぁユウ、やっぱりお昼ご飯作ってきても……」
俺が断ろうとするとユウはギリギリと俺の体を掴んで
「……切っちゃうよ?いいの?お腹も足も首も顔も全部切るよ?いいって言ったのにどこかに行くの?せめて僕が寝るまでは一緒にいてよ!!!」
と大きな声で迫ってくる。
……とんでもなく情緒不安定じゃん。あーでもこういうユウも悪くないかも?抑えられるよりは言ってくれた方が楽な気がする。
「……俺のこと大好きじゃん。はいはい、寝るまでは一緒にいますよ……」
俺がユウを抱きしめるような体勢に変えるとユウはパッと顔を明るくして俺にスリスリしてくる。
「……♪」
相当嬉しかったのかユウは俺の口元をむにむにしてきて何となく気恥しさが出てくる。
……恥ず。でもこれで拒否したら今のユウだとヒスになるんだろうなぁ……しゃーなしか。我慢しよ。
「……いいこ。涼やすずが見たら怒りそー……」
今の惨状を見た瞬間の病み組を想像した俺は乾いた笑い声を出す。するとユウは不思議そうな顔をして
「……なんで?僕とすず君達は他人だよ?」
と言ってくる。
……こいつ……
「友達だからだろ。」
端的に俺が答えるとユウはぽかんとした顔のまま考えるのをやめたのか目を瞑って眠り始める。
……こいつ、友達って単語聞いても響かないってことは心の奥底では信頼どころか友達とすら考えてなかったのかよ……
「……ユウ?寝た?」
俺が声をかけてみてもユウは完全に眠ってしまったのか返事が返ってこない。
……昼飯の準備しよ。こいつにとっての俺ってなんなんだろうなぁ……そもそも涼達はなんなんだろ。友達で響かなかったのは……さきさんの時みたいに居なくなるのが怖いから無意識でしてんのかな。
「……桜ー飯食べた?」
ユウのことを考えながら桜のことを呼ぶと桜は待ってましたと言わんばかりに首をブンブン横に振る。
……癒し。
「……ま、外食は無理だろうしなんか作るかぁ。何がいい?」
「お肉……琴葉は?」
「そうねぇ……体に良さそうなものがいいわ。颯太君の事だからクミさんように少し多めに作るんでしょう?」
おぉう図星……どーしよ。体に良さそうとはいえせっかく外食気分だった2人が可愛そうだしなぁ……肉系……ユウが食べられるようにアレンジするかすぐに作れるか保存できるもの……
「うん。じゃあ肉をメインに……あ。せっかくだし大量に貰った肉使うか……じゃあ、焼肉?元々外食だったし豪華な方がいいよな。野菜も食べられるし最悪スープでバランス取ればいいだろ。ユウも食べたくなったら俺が焼いてやればいいし。」
いい案を思いつけた俺は早速冷蔵庫の中身を確認していると桜はユウが倒れた後なだけあり怪しんだようで
「……誰に貰ったの?」
と探るような目で俺を見てきながら聞いてくる。
「あーなんかたまたま行った場所が色んなキャンペーンやってる日でアホほど当たり出したり漫画でしか見ないような今日のご来店何人目〜とかのやつで貰った。絶対余るから今度すず達にも渡しに行くわ。」
「……豪運。でもお肉嬉しい早く。」
怪しむ要素がないと判断した桜は一気に目を輝かせて俺に準備を急かし始める。
……都合のいいヤツめ。
「はいはい……その代わり手伝えよ?確か今日はこのカバンに繋げてたはず……」
早速俺はユウのカバンを漁って今日持って帰ってきたものを取りだし先に収納し始めるのだった。
「……雪、説明してくれ。」
嫌だ!!!ネタバレはしない!!!そんな理由で無理やり来んな!!!
「……流石にダメか。なら、すずにバトンタッチだな。」
……ん???なんですず……
「……2日連続で朝ごはん抜いたみたいだね。涼には説教の権限ないから私が怒ってあげるね。」
ひぇっ……!演技モードの笑み浮かべないで!怖い!
「雪は私と話すから涼、締めておいて。」
「……あぁ。あれは2時間コースだな……ご愁傷さま。それじゃまた次回に。」




