1-8
学校で友達から言われる。
「健太、聞いたか?」
「何かな?」
「お化けが出るらしいぞ」
お化け?
まあうちには神様が居るからね。お化けも居るかもしれない。
友達は言うのだ。
「夜になると川の近くで人魂が出るらしい」
人魂?
「そう。ユ~ラユラ、って光が揺れるらしい」
「本当なの?」
「目撃談が出てる」
う~ん…
友達は少し嫌な顔をして言う。
「川遊びとか釣りするのに困るよな」
「ただ漂ってるだけなの?」
「近寄ろうとすると消えちゃうらしいぜ」
そんなやりとりをした。
帰って話すとジュン子が言う。
「それ私も聞いた!」
タマちゃんも「なんじゃ噂になっとるのか」と。
ジュン子曰く、夜になると浮かび上がる人魂、だそうだ。
僕は言う。
夜だけなら近づく人も居ないから平気じゃないかな?
そう告げるもタマちゃんは言う。
「いや、無害か分からんのじゃ」
ケイコも賛成のようだ。
「一応確認は必要かもしれんけえ」
こうして僕らは人魂確認作業に向かうことになった。
夜の川沿い。
虫たちも寝静まりそうな川辺を歩く。
僕は念のためタマちゃんに聞く。
「川とかで狐火を出してないよね?」
「健太のうちに来てからあまり夜は出歩かんのじゃ」
やっぱりタマちゃんの狐火ではないらしい。
そんな確認をしながら歩く事しばらく。
「ねえお兄ちゃん!」
ジュン子の指差す方。
暗闇でよく見えず、懐中電灯も届かない川のほとり。
土手の上から眺めるその先に揺らめく光。
ユラユラと。
人魂があった。
「人魂だよお兄ちゃん!」
「気を付けて。そーっと近づいてみよう」
みんな腰を低くし、足音を立てずに近づく。
人魂は相変わらずそこにある。
もう少しで懐中電灯の明かりが届くだろうか?
そんな時。
コツン。
足元の小石を蹴った。
小石は転がり、川に落ちる。
ポチャン。
小さな音を立てた。
すると人魂はたちまち消えた。
サ サ…
何かが聞こえた気がしたけど、よく分からなかった。
翌朝。
「もう一度確認するのじゃ」
川に出向くと、なんてことはない景色が広がっている。
青い空。水色の水面。
サラサラと流れる川は涼しさを感じさせる。
人魂の怪異が出るなどまるで感じられないのどかな風景が広がっていた。
異常は見つけられそうにない。
だけど川には一匹の鳥。
それを見ながらタマちゃんは言うのだ。
「うむ、分かったぞ」
え?
ジュン子も驚き、声を上げる。
「本当なのタマちゃん?」
「昨日の人魂、あれは青鷺火じゃ」
ケイコも「なるほど、鷺がいるけえの」と納得する。
鳥は鷺だと言うのだ。
昨日、人魂が消えた時のササ、という音、あれは鷺が羽ばたいたバササという音だったのだ。
ケイコは解説する。
「アオサギは発光すると言われておっての。それが人魂と言われるようになったけえ」
え? サギって光るの…?
「まあ、眉唾じゃ。羽に貯まった静電気が光ったのを、昔の人が人魂という怪異として噂したのじゃろうよ」
そうなんだ。
僕は「それならもう安心だね」と言う。
でもジュン子がそれを否定した。
「まだだよ! まだ検証が済んでないよ!」
検証?
「そう説明しても、みんな納得してくれるか分からないよ。それに本当に静電気かどうか分からないし!」
タマちゃんは言う。
「じゃあ実証開始なのじゃ!」
サギを捕まえる。
「ギョエー!」
当然暴れて抗議される。
「電気を流すのじゃ!」
ジュン子は聞く。
「でもどうやって!?」
「電気を起こすのじゃ!」
「電気!? どうするの!?」
ケイコも「なんかこう発電する方法ないかの!?」と叫ぶ。
タマちゃんは「自転車とか漕げばいいのじゃ!」と言うけど僕は否定する。
「ここに自転車は無いし電力としては少し弱いね」
次はジュン子が言う。
「じゃあ私知ってる! 麻雀とかすると電気走るんでしょ!?」
それは天才中学生と代打ちが居ないと駄目だね。
帰って検討。
サギは拉致。
タマちゃんは叫ぶ。
「静電気発生器ー!」
テッテレー!
「どこから!?」
「今はなんでも通販の時代なのじゃ!」
さっそく起動。電気をモリモリ作る。
そしてサギに感電させる。
ビリビリッー!
「ギョエー!」
「光ったのじゃ!」
こうして人魂は青鷺火と証明された。
後日。
東●電力から電話が。
「電気代です」
すごい額だ。
「これは詐欺じゃ! 鷺だけに!」
静電気発生器のせいでお金が掛かった。




