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僕とお狐様  作者: 話太郎
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1-6

 僕の見ていない場所での話。

 タマちゃん、ケイコ、ジュン子。

 三人が集まっている。

 どうやら会議のようだ。


 タマちゃんは言う。

「儂らには足りないものがある」

 ジュン子は聞いてみる。

「どうしたのタマちゃん?」

「信仰を集めるにしろ、健太を落とすにしろ、魅力が足りん」

「そうなの?」

「魅力があれば、儂らにも多くの信頼が寄せられ、信仰に繋がる。徳も溜まるし健太もメロメロじゃ」

 ケイコも「なるほどの」と。

 ジュン子も褒める。

「さすがタマちゃん!」

「そうじゃろそうじゃろ」

「でもどうやったら魅力が出るの?」

「そうじゃな…」

 みんなで考える。

 そしてタマちゃんは言う。

「みんなで宣伝して回るのはどうじゃ?」

 ジュン子は要領を得ない。

「宣伝?」

「儂らの魅力を発信するのじゃ」

「なるほど! 時代は情報化だよね!」

「うむ! 口コミは最大の宣伝じゃ! そもそも儂ら神や怪異も昔の口コミじゃ!」

「現代まで伝わる口コミ!」

「なんたら伝説だの各地の妖怪も口コミじゃ! 口コミは時を超えて伝わるのじゃ!」

 ジュン子は手放しで褒める。

「口コミ万歳!」

 だがケイコは違うようだ。

「果たしてそうかの」

「なんじゃタヌキ異論あるか」

「口コミ、その宣伝能力は認めるわい。だがウチは違うと思う」

 ケイコは自説を説いてみる。

「中国のことわざじゃ。愚者は語り、賢者は黙す」

 ジュン子は言う。

「ええと、賢い者ほど口数が少ない、みたいな諺だよね」

「左様。そして賢い者ほど魅力がある」

「でも喋らないで魅力はあるかな?」

 タマちゃんは気づいた。

「喋らない魅力…そうじゃ! ハードボイルドじゃ!」

「ハードボイルド!?」

「ハードボイルドこそかっこよさの象徴! 賢者! つまりハードボイルドになれば信仰も健太も思いのままじゃ!」

 さっそく変身。

 ボウン!

「儂は探偵!」

 タマちゃんは帽子に長いコート。

「私は助手!」

 ジュン子の真新しいサングラス。

「ウチはガンマンじゃ」

 ケイコはテンガロンハットみたいなのに西部劇みたいな服装。

「さっそく町で活動じゃ!」

 三人がそれぞれバラバラになり、各々が活躍する。


 町で悪党が暴れていた。

 男性が絡まれてる。

「兄ちゃん金出せや!」

 ハードボイルドは語らない。

 ただ戦うのみ。

 ケイコは発砲した。

 バキュンバキュン!

「うわなんだコイツ! いきなり撃つな!」

 ケイコは言う。

「ハードボイルドは語らぬ。警告もしない。なぜならハードボイルドじゃけえ」

「逃げろ!」

 男性はお礼を言う。

「ありがとう!」

「ハードボイルドは語らない」

 ケイコは何も言わず静かに立ち去った。

 男性は言う。

「なんてカッコいいんだ…」


 探偵の助手、ジュン子は浮気調査。

 紙を女性に渡す。

 そこには「貴方の旦那浮気してます!」と書かれてる。

「なんて事!」

 奥さんは問い詰めに帰った。

 ジュン子は言う。

「ハードボイルドは人知れず人助けをするの。なぜならハードボイルドだから」


 タマちゃんは健太を尾行した。

「儂がお前の助けになってやる。そして儂にメロメロじゃ」

「抜け駆けはダメだよタマちゃん!」

「抜け駆けはいかんぞ狐め!」

 二人に見つかったので三人で尾行。


 だけどのんびりした健太は何も起きない。

 友達と喋ったり、野良猫を触ったり。

「うぐぐ…何も起きん…」

「それはそれで良いことだけど」

「まだじゃ…まだ尾行を…」

 だけどタマちゃんは倒れた。

「タマちゃん!」

「暑い…」

 ケイコは言う。

「この炎天下で帽子にコートじゃの…茹でギツネじゃ」

 ジュン子は泣きながら言う。

「ハードにボイルドされちゃった!」


 帰ってきたタマちゃん。僕は事情を聞き看病した。

「そうなんだ」

「すまぬの」

「でもありがと。信仰と僕のためだったんでしょ?」

「うう…」

「いい子いい子」

 撫でられたタマちゃんは嬉しそうだった。


「お兄ちゃん大変!」

「どうしたの?」

「信仰も徳も溜まってない!」

 タマちゃんは驚愕する。

「な、なぜじゃ…あんなにハードボイルドしたのに…」

 僕は聞く。

「ちゃんと名乗った? 名乗らないと口コミにならないよ?」

 あ…

 ジュン子は言う。

「ハードボイルドは語らないから名乗ってない!」

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