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僕の見ていない場所での話。
タマちゃん、ケイコ、ジュン子。
三人が集まっている。
どうやら会議のようだ。
タマちゃんは言う。
「儂らには足りないものがある」
ジュン子は聞いてみる。
「どうしたのタマちゃん?」
「信仰を集めるにしろ、健太を落とすにしろ、魅力が足りん」
「そうなの?」
「魅力があれば、儂らにも多くの信頼が寄せられ、信仰に繋がる。徳も溜まるし健太もメロメロじゃ」
ケイコも「なるほどの」と。
ジュン子も褒める。
「さすがタマちゃん!」
「そうじゃろそうじゃろ」
「でもどうやったら魅力が出るの?」
「そうじゃな…」
みんなで考える。
そしてタマちゃんは言う。
「みんなで宣伝して回るのはどうじゃ?」
ジュン子は要領を得ない。
「宣伝?」
「儂らの魅力を発信するのじゃ」
「なるほど! 時代は情報化だよね!」
「うむ! 口コミは最大の宣伝じゃ! そもそも儂ら神や怪異も昔の口コミじゃ!」
「現代まで伝わる口コミ!」
「なんたら伝説だの各地の妖怪も口コミじゃ! 口コミは時を超えて伝わるのじゃ!」
ジュン子は手放しで褒める。
「口コミ万歳!」
だがケイコは違うようだ。
「果たしてそうかの」
「なんじゃタヌキ異論あるか」
「口コミ、その宣伝能力は認めるわい。だがウチは違うと思う」
ケイコは自説を説いてみる。
「中国の諺じゃ。愚者は語り、賢者は黙す」
ジュン子は言う。
「ええと、賢い者ほど口数が少ない、みたいな諺だよね」
「左様。そして賢い者ほど魅力がある」
「でも喋らないで魅力はあるかな?」
タマちゃんは気づいた。
「喋らない魅力…そうじゃ! ハードボイルドじゃ!」
「ハードボイルド!?」
「ハードボイルドこそかっこよさの象徴! 賢者! つまりハードボイルドになれば信仰も健太も思いのままじゃ!」
さっそく変身。
ボウン!
「儂は探偵!」
タマちゃんは帽子に長いコート。
「私は助手!」
ジュン子の真新しいサングラス。
「ウチはガンマンじゃ」
ケイコはテンガロンハットみたいなのに西部劇みたいな服装。
「さっそく町で活動じゃ!」
三人がそれぞれバラバラになり、各々が活躍する。
町で悪党が暴れていた。
男性が絡まれてる。
「兄ちゃん金出せや!」
ハードボイルドは語らない。
ただ戦うのみ。
ケイコは発砲した。
バキュンバキュン!
「うわなんだコイツ! いきなり撃つな!」
ケイコは言う。
「ハードボイルドは語らぬ。警告もしない。なぜならハードボイルドじゃけえ」
「逃げろ!」
男性はお礼を言う。
「ありがとう!」
「ハードボイルドは語らない」
ケイコは何も言わず静かに立ち去った。
男性は言う。
「なんてカッコいいんだ…」
探偵の助手、ジュン子は浮気調査。
紙を女性に渡す。
そこには「貴方の旦那浮気してます!」と書かれてる。
「なんて事!」
奥さんは問い詰めに帰った。
ジュン子は言う。
「ハードボイルドは人知れず人助けをするの。なぜならハードボイルドだから」
タマちゃんは健太を尾行した。
「儂がお前の助けになってやる。そして儂にメロメロじゃ」
「抜け駆けはダメだよタマちゃん!」
「抜け駆けはいかんぞ狐め!」
二人に見つかったので三人で尾行。
だけどのんびりした健太は何も起きない。
友達と喋ったり、野良猫を触ったり。
「うぐぐ…何も起きん…」
「それはそれで良いことだけど」
「まだじゃ…まだ尾行を…」
だけどタマちゃんは倒れた。
「タマちゃん!」
「暑い…」
ケイコは言う。
「この炎天下で帽子にコートじゃの…茹でギツネじゃ」
ジュン子は泣きながら言う。
「ハードにボイルドされちゃった!」
帰ってきたタマちゃん。僕は事情を聞き看病した。
「そうなんだ」
「すまぬの」
「でもありがと。信仰と僕のためだったんでしょ?」
「うう…」
「いい子いい子」
撫でられたタマちゃんは嬉しそうだった。
「お兄ちゃん大変!」
「どうしたの?」
「信仰も徳も溜まってない!」
タマちゃんは驚愕する。
「な、なぜじゃ…あんなにハードボイルドしたのに…」
僕は聞く。
「ちゃんと名乗った? 名乗らないと口コミにならないよ?」
あ…
ジュン子は言う。
「ハードボイルドは語らないから名乗ってない!」




