1-5
タマちゃんが言う。
「健太、何かしてほしい事はないか?」
「僕? 別に今はないよ?」
「ジュン子はどうじゃ?」
「私も大丈夫」
「遠慮するでないぞ。ご飯作ってやろう」
ジュワー!
ハンバーグを作ってもらった。
美味しい。
「添い寝もしてやろう」
スヤスヤ。
気持ちいい。
タマちゃんは言う。
「もっと頼っていいのじゃぞ」
「ありがとう。でも今は本当に大丈夫だよ?」
「そ、そうか」
なんだろう?
ずいぶん甲斐甲斐しい。
なにかあったのかな?
するとジュン子が言う。
「この前お世話を焼きあったから」
なるほど。
「お世話様って言ってもみんな助け合いだから気にしないでいいのにね」
「お互い様、って訳だね」
ジュン子が笑顔でそう言った。
でもケイコが言う。
「心配じゃ」
何が?
「狐やけえね。こだわるから悪い方にでないといいんじゃが」
なんだろう? よくない予感でもあるのかな。
少し疑問に思った。
翌日。
学校帰り。
クラスメートの女の子に見送られた。
「じゃあね、健太君」
「じゃあね」
何気ないやりとり。
でも道の陰でタマちゃんが指を噛んでいた。
「なんじゃあの女…」
家で問い詰められる。
「あの女子はなんじゃ!?」
「えっと、クラスメートだけど…」
「なにをしておった!?」
「先生が僕にプリントを渡し忘れたから届けてくれて、途中まで一緒に帰ってきただけだよ」
「うう、なんというソツのない女子…」
普通の子だと思うけど。
「健太の世話は儂が焼くんじゃ! そんで健太は儂のもんじゃ!」
ジュン子は言う。
「世話を焼きたすぎてヤキモチを焼いちゃった!」
それを見てケイコが言う。
「やはりこうなったか」
タマちゃんは駄々をこねた。
「健太は渡さーん!」
「狐は執念深いけえね。こうなってしまう」
そんな。
別に僕はどこにもいかないのに。
「どうすれば?」
ジュン子は言う。
「そうだ! 逆にお兄ちゃんにもヤキモチを焼いてもらえばいいんだよ!」
「名案じゃ!」
さっそく実行。
タマちゃんは印を切り、呪文を唱える。
はんにゃらほんにゃら~
「いでよ! スセリビメ!」
バシュー!
「どうも」
ジュン子は聞く。
「この人は?」
「私はスセリビメ。嫉妬に関係する女神です」
ケイコが説明する。
「たしかスサノオの娘さんとか…良縁と共に激しい恋慕に身を焦がす女神じゃけえな。オオクニヌシ、別名オオアナムヂの伴侶だったか」
「左様です」
肯定する彼女にタマちゃんは言う。
「健太にヤキモチを焼いてほしいのじゃ!」
「任せてください。嫉妬ビーム!」
ビー!
物陰からビームを撃った。
僕はなにかビームを撃たれた。
なんだかタマちゃんと見知らぬ女神が騒いでる。
「さあ、今です!」
「よし、健太よ! 見るがいい!」
タマちゃんは近所の犬と仲良くした。
「どうじゃ!? モヤモヤするかの!?」
「色んな子と仲良くするのは良い事だね」
「うぬー! そんじゃこれはどうじゃ!?」
男性アイドル番組を見た。
「カッコイイのう!」
「色んな番組を見て現代知識を深めてね」
「まだ駄目か!?」
タマちゃんは憤慨する。
「かくなる上は!」
タマちゃんはスセリビメと仲良くした。
「儂は神じゃから色んな女神と仲がいいのじゃ!」
僕はそれを見て思う。
「うう、なんだかうらやましくなってきた…」
「効果が出てきたか!?」
いいな…
憧れちゃう…
そして言う。
「ああなりたい…広い交友関係。僕ももっと努力しなくちゃ」
タマちゃんは叫んだ。
「ぎゃー!」
目がー! そう叫んで顔を覆うタマちゃん。
「健太が欲が無さ過ぎて眩しいのじゃ!」
ケイコは言う。
「羨ましい気持ちは原動力じゃけえね」
タマちゃんはゴロゴロ転がりながら言う。
「儂は恥ずかしい! あと健太がもっと欲しくなったのじゃ!」
ジュン子は言う。
「タマちゃんの脳みその方が焼かれちゃった!」




