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僕は少し夜に買い物をしていた。
帰り道、なんだか騒がしい。
付近の男性に事情を聞く。
「どうしたんですか?」
「ああ、なんだか公園で音がする、とかなんとか」
その言葉を聞き、公園を確認する。
でも何事もない。
一応周囲を確認するけど、気になるものは何もなかった。
帰宅するとタマちゃんが出迎えた。
「お帰りなのじゃ。どこへ行っておった」
僕は少し買い物をしていた事、それから公園の事を話した。
するとタマちゃんは言う。
「ふむ。異常はなさそうじゃが、一応見ておいた方がいいかもしれんのじゃ」
そう言うので荷物を置いて再び現場へ赴く事にする。
家を出ようとするとジュン子に見つかる。
ジュン子にも説明すると声を上げる。
「私も行く!」
公園でさっそく見回りをする。
「何もないよ、お兄ちゃん」
みんなで探すけど何もない。
帰宅しようか、そう悩んだ時、茂みが揺れた。
ガサガサ。
タマちゃんは叫ぶ。
「何奴!?」
すると、妙齢の女性が出てきた。
でも耳と尻尾がある。
タマちゃんは更に声を荒げる。
「貴様はケイコ!」
「ケイコ?」
言われた女性は「ふふふ」と笑う。
そして僕に言う。
「おやおやまあまあ。可愛い男の子じゃけえ」
僕は女性に尋ねる。
「君は?」
「ウチはケイコ」
タマちゃんが警戒して言う。
「気をつけよ! こいつは妖怪じゃ!」
「妖怪!?」
ケイコは気にせず僕に言う。
「なんぞ力の波動を感じるのう。ウチのモノにならんか?」
「最近勧誘が多いですね」
タマちゃんが僕の前に出て言う。
「下がれこのタヌキめが」
タヌキ? そう呟くとタマちゃんは言うのだ。
「そう、こやつはタヌキ。刑部狸の刑子じゃ」
ケイコは口元に手を当て笑いながら言う。
「ほほほ、なんじゃちんちくりんになったキツネではないか」
なんだかタマちゃんの事を知っていそうだ。なので聞いてみる。
「知ってるんですか?」
「旧知の仲、いや、ライバルというべきかの。狐の長のタマモ、そしてウチらタヌキの一族。長年競い合った種族じゃけえ」
ジュン子は言う。
「その親玉が刑部狸なんだね」
「そういう事じゃけえ。ほら、アメちゃんをやろう」
うわ~い。
僕とジュン子はアメを貰う。ジュン子は言う。
「この人いい人かも!」
「騙されるでない!」
タマちゃんは僕らをそう叱責し、ケイコに向き直り言う。
「大体お前なんじゃ一人だけ大きくなった姿で! 儂との争いで妖力も使った筈じゃろ!」
「むう、見破られては仕方ないけえ」
ボウン!
ケイコは変化した。
等身が下がってタマちゃんに合わせた。
でもなんだか年配の雰囲気がする。タマちゃんはケイコと対峙する。
「ふん、やはりお前もちんちくりんなのじゃ」
「体は小さくなってもキツネより物知りじゃけえ」
タマちゃんは「何を!」と怒ってるが僕が後ろから羽交い絞めにして押さえる。
タマちゃんはジタバタしてるけど僕はケイコとやりとりする。
「博識なんですか」
「まあのう」
でもタマちゃんは言う。
「ふん! こんな奴ヤフ●知恵袋みたいなもんなのじゃ」
「そんな事ないよ。落ち着いた雰囲気に見えるよ」
ケイコは「そうじゃろうそうじゃろう」と。
僕は続ける。
「ヤフーと言うよりおばあちゃんの知恵袋─」
すごい顔を近づけてケイコが言う。
「お姉さんと言わんと駄目じゃけえ」
「お、お姉さん」
「離れるのじゃ! 健太は儂のモノじゃ!」
君のモノでもないよね。
ジュン子も参戦する。
「そうだよ! なんか袋自慢になってるけど最近は袋は自粛傾向なんだよ!」
僕も「レジ袋とかの事かな」と。
タマちゃんは追い打ちをかける。
「タヌキの自慢なんて玉袋ぐらいなのじゃ。ケイコは女だからそれもないのじゃ」
わっはっは
笑うタマちゃんにケイコは怒る。
「ウチの堪忍袋も切れるけえの」
なんだか妖力を高めてるけど僕は諭す。
「そういえば、堪忍袋と言えばそれも自粛傾向にあるよね」
ケイコは「そうなのか?」と聞いてくる。
「アンガーマネジメントとか流行ってるからね。堪忍袋も抑える時代だよ」
タマちゃんは「どうじゃグウの根も出んじゃろ」と胸を張る。
なぜか自慢げだ。
「うぬぬ…ウチとした事が坊に言いくるめられるとは…これはますますそこのキツネに渡すわけにはいかんけえ。しかしここは多勢に無勢、一旦引くとしよう」
こうしてケイコは去っていった。
翌日。
ケイコが来ていた。
「という訳でお世話になるけえの」
タマちゃんは言う。
「儂の家じゃぞ!」
違うよね。
ジュン子も言う。
「居候が増えちゃった!」
こうして我が家の同居人が増えてしまった。




