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僕とお狐様  作者: 話太郎
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 近くを散歩してたら声がした。

 どうやら子供たちだ。


「どうしたの?」

「なんかねー たぬきが居るの」

「珍しいね」

 確認してみると公園の片隅。


 タヌキたちが居た。

 声を掛けてみる。

「俺は徳利転がしです」

「僕は豆ダヌキです」

 どうやらタヌキの寄合みたいなものらしい。

 うちにはケイコが居るので寄っていくかと尋ねると了承した。


 ケイコは言う。

「すまぬの」

 ううん、別にいいんだけど。

 タマちゃんは「なんじゃなんじゃタヌキがいっぱい」と。

 ジュン子はお茶を出してた。

 ケイコは説明する。

「近くにすむタヌキたちじゃの」

「豆ダヌキとか言ってたよ」

「うむ。豆ダヌキに徳利転がし、タヌキには色々居るけえ」

 ジュン子も「そうなんだ」と言うと更に付け加える。

「首吊りダヌキなんていうのもおるけえ」

 なんか物騒な名前が出てきた。

 彼らは言う。

「僕らは有名になりたくて寄合で相談をしてました」

 有名か…

 何か出来るのかな? そう尋ねてみると彼らは変身できます! と。

 さっそく変化の術を使うのだ。

 ボウン!

 豆ダヌキはお豆腐に化けた。

「じゃあウチも」

 ボウン!

 茶釜に化けた。

 僕は驚き言う。

「これがかの有名なブンぶく茶釜!」

 ジュン子も言う。

「有名な奴だよね!?」

 タマちゃんが解説してくれる。

「お湯が自然に沸いてくる釜じゃ」

 ジュン子は言う。

「じゃあ湯豆腐ができるね!」

 グツグツ。

 豆ダヌキ改め豆腐ダヌキは叫ぶ。

「熱いです!」

 豆腐になってた豆ダヌキは湯豆腐になった。

 ジュン子は言う。

「すごく美味しそう!」

「でも食べちゃ駄目だよ」

「そうだよね…」

 食べれないのではどうしようもない。

 その様子に豆ダヌキは落ち込んでしまう言うのだ。

「うう…僕はやっぱり駄目なんだ…」

「そんな事ないよ」

「慰めなんていりません! もう死ぬしか」

 ジュン子は言う。

「すごい豆腐メンタル!」

 そうだね。

 豆ダヌキは言う。

「首を吊ってお詫びします」

 タマちゃんは言う。

「首吊りダヌキに進化したのじゃ!」

 ケイコは説明する。

「首吊りダヌキは首を吊らせるタヌキで首を吊るタヌキではないんじゃが」

 縄で首を括ろうとする豆タヌキ改め豆腐。

 でも豆腐なので縄からずり落ちてしまう。引っかかる所がない。

「うう…僕は首吊りすらできないんだ…」

 むせび泣く豆腐の姿がそこにあった。


 豆ダヌキさんは言う。

「どうしたらいいんでしょうか?」

 う~ん…

 どうなんだろう。

 この子たち的にはどうなったらいいんだろう。

 それを聞いてみる。

 すると言うのだ。

「やっぱり有名になりたいです」

 名を上げたいのかな?

「ぶんぶく茶釜は誰でも知っています。そういう、名の知れたタヌキになりたいのです」

 むう。

 でもいたずらや変化で人間を驚かしてはいけないよ?

 そう伝える。

「そんな…」

 ジュン子が尋ねる。

「他に変身できる物とかないの?」

「豆ダヌキですので…未熟なのです」

 僕は「豆に関係してたら変身できるかな?」と聞いてみる。

 ジュン子は言う。

「お豆腐以外だと豆って何かあるかな」

 僕は思いついた事を言ってみる。

豆苗とうみょうとか?」

 豆ダヌキは言う。

「なんか、豆腐より地味ですね…」

 ジュン子は叫ぶ。

「そんな事ないよ! 美味しいよ! 収穫してもすぐ生えてくるから家計にも優しいよ!」

 豆苗の炒め物美味しいよね、僕もそう付け加える。

 でもなんだか微妙そうな顔をしてる豆ダヌキ。

 そこでタマちゃんは促す。

「とにかくやってみるのじゃ」

「そうですね」

 ボウン!

 豆ダヌキは豆苗になった。

 僕とジュン子は言う。

「豆苗だね」

「豆苗だよお兄ちゃん…」

 やっぱり微妙だった。

 ケイコは言う。

「本当に豆苗なだけじゃけえ、手足は出せんか?」

「はい、やってみます」

 ボウン!

 なんか豆苗が生えたタヌキになった。

 全身に豆苗を生やした奇妙なタヌキがそこに居た。

 豆ダヌキは言う。

「うう、やっぱり僕は駄目なんだ! やっぱり人間を驚かして名を売るしかないんだ」

 そう言いながら出て行ってしまった。

 タマちゃんは叫ぶ。

「待て! 待つのじゃ!」


 町で追いかけっこをする僕ら。

 タマちゃんは追いかけながら叫ぶ。

「悪さは許さんぞ!」

 怒ってるのと、息が上がって顔が赤くなってきた。

 タマちゃんはゼーゼー言いながら追いかける。

 すると周囲の人がざわつき始めた。

 そしてジュン子は言う。

「こ、これだよお兄ちゃん!」

 なにかな。

「赤いき●ねと緑のた●き!」

 言われてみればそうだ。

 町中を疾走する顔を赤くしたタマちゃんと全身豆苗の緑の豆ダヌキ。

 人々は「赤いき●ねだ…」「緑のた●きも」と口々に言う。

 図らずも、話題になってしまった。

 まあ食品メーカーの人気食品のおかげだけど。

 よしとする事にした。


 後日。

 町では豆苗を毟って人に配る奇特なたぬきが話題になった。

 豆ダヌキの名は願い通り知れ渡ったようだ。

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