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僕とお狐様  作者: 話太郎
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1-19

 前回の続き。

 タマちゃんたちはまだ大人の姿だ。

「いいの?」

「たまには構わんじゃろう」

 大人の女性の体に正装の着物、稲荷神として顕現しているタマちゃんはすごく綺麗だった。大人っぽくて少しドキドキしてしまう。タマちゃん、というには少し恐れ多い。

 タマモ様、っていう感じだ。

挿絵(By みてみん)

 更に僕に言う。

「健太、こっちに来るのじゃ」

 タマモ様はポンポン、と自分の膝を叩く。

 なにかな?

「撫で座頭の時に言ったのじゃ。今度は儂が健太を撫でてやると」

 撫で座頭…僕がタマちゃんをナデナデした時だ。

「いいのかな?」

「近こう寄るのじゃ」

 それじゃ、と座るとタマモ様は言う。

「違う。儂の時と同じように、儂が健太を抱っこするのじゃ。後ろを向くのじゃ」

「そこまで?」

「当然じゃ」

 ちょっと気恥ずかしいけど言うとおりにする。

 後ろを向いて座ると抱きつかれた。

 そのまま座椅子にもたれ掛かる。

 それで撫でられる。

 よしよし。

 そう言いながら撫でられる。

「健太はえらいのじゃ」

「そうかな?」

「みんなの面倒を見て、神社の再興も手伝ってくれてるのじゃ」

「僕にできる事なら」

「謙虚で頑張り屋さんなのじゃ。加護を与えるのじゃ」

 よしよしされながら、その手が怪しく光る。

 でもなんだか暖かい。

 気持ちよくて眠ってしまいそうだ。

「稲荷神の加護じゃ。健太を災いから守るのじゃ」

「ありがとう。なんだか気持ちいいよ」

 僕は抱きかかえられながら穏やかな気持ちになった。


 でもジュン子に見つかってしまう。


「あー! 大人タマちゃんがお兄ちゃんを独占してる!」

「こ、これは日頃の礼なのじゃ!」

「駄目だよタマちゃん! ナデナデは撫でる方も撫でられる方も一日10分までだよ!」

 そんなルールあったかな?

「うぬぅ~まだ足りないのじゃ!」

「じゃあ私も一緒にお兄ちゃんを撫でる!」

 なんか変な方向になってきた。

 大人タマちゃんに抱きかかえられながらジュン子によしよしされた。

 恥ずかしさが増した。

「なにやっとるけえ!」

 うわ来た。

 ケイコも大きい姿だ。上品な和服にトレードマークのドテラを羽織ってる。

 でもタマモ様に羽交い絞めにされて動けない。

「ウチが撫でる部分は!?」

 ジュン子が言う。

「お腹! お腹があいてるよ!」

「じゃあお腹でいいけえ!」

 ナデナデ。くすぐったい。

「あははははは」

 笑いを堪えきれず身をよじるも、タマモ様は離してくれない。

「あはは、駄目だって! あはは」

 三人から思う存分撫でられてしまった。

 結局当番制にさせられそうになったので逃げた。


 夜。

 タマモ様が来た。

「明日からまたしばらく小さい姿になるのじゃ。それまで可愛がってやるのじゃ」

「もう充分可愛がってもらったよ」

「まだじゃ! 最後に耳かきしてやるのじゃ」

 撫でられるより恥ずかしいかも。

 でも強引に膝枕される。

 そして耳かきされた。

 カリカリ。

 心地いい。

「どうじゃ?」

「うん、気持ちいい」

 あまりの心地よさに眠気が来た。

 タマモ様は耳かきをしまい、頭を撫でてくれた。

 膝枕されてる恥ずかしさは消えていた。

 足を通じて伝わる体温が優しい。

「今日はこのまま眠るのじゃ」

「うん…」

「健太、お前は儂が守…やる…じゃ」

 タマモ様の優しい声はまどろみに消されて聞き取れなかった。

 でも加護と慈愛溢れる神様の温もりが体を包んだ感触は、僕の心に確かに残ったのだった。

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