1-18
「海じゃー!」
ドパーン!
みんなで飛び込んだ。
「お兄ちゃんそれー!」
バシャバシャ。
あはははは
楽しいなあ。
「どうじゃ儂の魅力は!」
「かわいいよ」
「うむー…可愛いか…」
ケイコも「この姿じゃのう」と大きい浮き輪に浮かびながら言う。
タマちゃんは「せっかくの儂の悩殺ポーズが」と漏らす。
それから少し悩んでから言う。
「仕方ない、今日ぐらいは貯めた神力を使うか」
「ウチも」
ボウン!
水着のお姉さん二人になった。
タマちゃんは大胆な水着に腰にパレオを撒いてる。
ケイコは上品な水着に日傘。
ジュン子も「二人ともすごい綺麗!」と褒めた。
タマちゃんは僕を誘った。
すごいお姉さんだからまだ高校生の僕より背が高いし水中でも僕をリードしてくれた。
それから「掴まるのじゃ」と言う。
僕はタマちゃんの背に捕まるとタマちゃんはすごいスピードで泳いだ。
バシャシャシャシャ!
「どうじゃすごいじゃろ!」
水上バイクみたいなスピードで爽快感バツグンだ。
浜辺ではジュン子がケイコに言う。
「オイル塗ってあげる!」
「すまんのう」
ヌリヌリ。
「すごい! お肌ツルツルのスベスベ!」
「終わったら今度はウチがジュン子にも塗ってやるけえね」
浜辺から上がった僕は言う。
「楽しかった!」
「なによりじゃ」
「お兄ちゃんご飯食べよう」
ジュン子とケイコも合流。
「じゃあみんなで海の家に行こう」
やきそばやホットドックなどを買ってきてビーチパラソルの下で食べた。
お腹も一杯になってゆっくりしはじめた時に騒ぎが起きた。
「大変お兄ちゃん!」
「どうしたの?」
人が集まって来ていた。
「歌声がするって」
綺麗な歌声。
「ラララー」
人々がぽやーとしはじめた。
そこで男性の声がする。
「惑わされるな! 気を付けたまえ!」
みんな我に返った。
そこには浜に船で乗りつけた勇敢そうな男性が居た。
「貴方は?」
「私の名はオデッセウス! これはセイレーンの声だ!」
ケイコが説明する。
「そういえばセイレーンの歌声は人を惑わす効果があるけえ」
オデッセウスは耳を塞ぎながら言う。
「うぐぐ…魅力に抗えん! 調査、対策をせねば!」
僕は言う。
「危険ですよ!」
「大丈夫だ秘策がある!」
ケイコは言う。
「たしか伝承、ホメロスの叙事詩で伝わる方法じゃな、自らを柱に縛るんじゃ」
オデッセウスは船の柱に自分を縄で縛った。
「ふははこれで歌を聞いても大丈夫だ!」
「そこまでして!」
出港していった。
でも強風で転覆した。
ジュン子は言う。
「沈んじゃった!」
その後。
船は引き上げられた。
柱に縛られたままぐったりのオデッセウス。
警察と海上保安庁が来て現場検証して言う。
「う~ん…自殺ですね」
ジュン子が声を上げる。
「縄で縛られてるのに!?」
「嵐の上セイレーン居るのに出港したんですよね? 自殺行為ですし」
その通りだった。
でも目覚めたオデッセウスは縛られたまま言う。
「俺は英雄だ!」
ドカッ!
海保がオデッセウスを殴りながら言う。
「ウタってんじゃねー! 迷惑かけやがって!」
うたってる事を怒られたのはオデッセウスの方だった。
そのあとセイレーンも捕まり一緒に怒られてた。
全部終わったあと浜辺で花火した。
二人はまだ大きい姿だ。
僕は甚兵衛を着て、他の三人は浴衣だ。
タマちゃんは言う。
「神力は使ってしまったな」
「うん、でも楽しかったしかっこよかった。あとすごく綺麗だよ」
「な…」
ポーと少し顔を赤くした。
「ケイコもありがとうね」
「お安い御用じゃけえ」
タマちゃんは「こ、このくらいならいつでもしてやるぞ…」と。
タマちゃんは少し照れていた。
「帰ろうか」
少しだけ歩き出したらタマちゃんは言う。
「手…」
「手?」
「手、繋がんか?」
「うん」
タマちゃんの顔がパアっと明るくなった。
僕はタマちゃんと手を繋いだ。
反対側の手はジュン子が握った。
ジュン子の反対側の手はケイコが。
仲良く夜道を歩いた。
夏風が心地よかった。




