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アイ コンタクト  作者: チャウチャウ坂
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第四十六話

斧たちは定食屋のイスに玖波氏と玖波jrをロープで拘束していた。


「斧!これからだな。」


「いいタイミングだぁ。こいつらにカツ丼を食わせろ。」


「後ろの奴らは誰だよぉ!」

ミニ四駆男がキャプテンと楢紅に凄んだ。


「今は作戦が大事だ。そいつらを見張っておけよ。」


「ハア。2人とも、俺と一緒に車に来い。」

定食屋のガレージの中に止められた車に3人が乗り込んだ。


「よし2人が食べたぞ。」


「照珊を呼んで来よう。」

斧が2階に上がる。


「………唯一、死ぬんだね。」


斧が聞いたのは照珊のその声だった。


斧が照珊の部屋のドアを開ける。

そこで見たのは鈿音と美琴がぷるウォを触れ合わせる瞬間だった。


「何をしてるんですか!」

      るんだ。」


斧と美琴の声がこだました。


「あなたが死ぬなら、ここで私をこの銃で撃って脱出しなさい。」

鈿音は、鞠雄から奪った銃の銃口を自分に向けて、美琴がすぐ取れるように持っていた。


「ちょっと待ってください。私は、戻りたく……」


「照珊。準備が出来た。作戦通りに。」


「いいわ。下に行きましょう。」

照珊は部屋を出ようとオッチョチョを押しのけた。


「鈿音さんは戦いの途中じゃなかったですっけ?」

美琴の疑問に鈿音は答えられなかった。


「今、この戦いで2人が死亡して戦線離脱の状態。つまりこの戦いは2対1になっていました。

そこに、美琴さんが入ると2対2。同数同士になりますので、チーム戦が成立しますよ。」


「あら。ご親切にどうも。」


「いえいえ。さ、お迎えに上がりました。」


照珊の部屋に立っていたのはキツネだった。

大画面で見せた紳士服と同じものを纏っている。


「………」

オッチョチョは静止した。


「誰かの能力ですか?」

美琴は厳しい口調でキツネに向かって問いかける。


「いいえ。私になる能力と瞬間移動の能力で2つですから、特殊な場合を除いて2つ能力を持つことはあなた達にはありません。」


そう言いながら、キツネは鈿音にウインクした。


「おいおい。勘弁してくれ。今の俺たちを巻き込むなよ!」

斧と照珊は階段を駆け降りた。


「オッチョチョさん。私の未来。知っていますね。解説を。」


「ぅぅぅ。私、さっきキツネさんにぷるウォのSNSで通報しちゃってたんですぅ。」

オッチョチョは誰の顔も見ないように畳を舐め回せるほどに下方に視線を固定した。


キツネはニコニコしながら様子を眺める。


「この世界はね、どんどん広がっていってるの。」

「あなたは、次のステージに必要なの。そこだけしか見れてないけど、キツネに連れ去られてたのよ。その後に次のステージが始まるの。」


美琴と鈿音が身構える。


「そうなんですけどね……予定外にあなたは今戦っているんです。困ったなぁ。連れて行けないなぁ。」


「この子を殺すつもりなんでしょ!」

鈿音はキツネに向かって銃を向けた。


「そんなことはぜーーーーーったああああいにありません。何ですか?私のことを野生の狐と勘違いしてるんですか?」

「私は、美琴さんが現実に帰りたくない人ナンバーワンヌ!ということを知っているんです。その感情を尊重したまでですよ。」


キツネはヒゲを上下にピコピコ動かした。

「美琴さんの付き添い人も1人。役に立つ人をね。美琴さんに選んでもらいたくてね。」


「あの!まず説明を。連れ去るつもりってどこに?次のステージって?」


「そうなんです。引き継ぎが雑になっちゃうんですよ。私がここで介入してもね…せっかくならシナリオを自然にしないと。」


「答えになってません!」

美琴はキツネを思い切り睨んでいた。低性能補助機を無視するほどの苛立ちだ。


「そうだ!鈿音さん。いいアイデアないですか?本当に頼りにしてますよ。」


「無理よ。とりあえず、鞠雄とキノ婆……鞠雄が私を傷つけられないような場所よ。あんたが見つけなさい!」


「無理です。私は戦いには干渉しませんよ。」


「ここはどこだ!空港か!おーい助けてくれ!」

下の階から気絶から目を覚ました玖波氏の叫びが聞こえてきた。

叫び声は悲痛だった。玖波氏はげっそりとして、今や骨身のようになっていた。


「…….。」

定食屋に鞠雄がカートごと突っ込んできた。

キノ婆がカートの後ろに掴まっている。


「もう終わりか、風が気持ちよくてなぁ。」


「……助けに来たぞ。」

鞠雄は"助けて"という言葉に反応していた。


「残念じゃが、桃姫は別の場所じゃぁの。」

キノ婆が鞠雄の耳元で言葉をかける。鞠雄の顔に酒臭い息がかかった。


鞠雄は反応して、耳元に拳を振り上げた。しかし、キノ婆はカートの後ろから降りて楽に拳をかわした。


慌てて、車に乗っていた3人が定食屋に駆け込んできた。


「俺はこの2人はきちんと見張ってたからな!」


カツ丼男は服についた埃を払って、カツ丼に入った埃も払った。


「現実に帰ったら、まじで俺に関わってくんなよ。」

カツ丼男は不貞腐れた表情でミニ四駆男を睨んだ。


「ねぇ。可哀想ね。」

鈿音が無感情で言った。


「下の彼、どうしたんですか?」


「空港に取り引き相手が待ってるのよ。」


「おーい鈿音ぇ。鞠雄がきたぞい。」


「鈿音が!ここにいるのか!」


「ああ。ここなら、戦いをしようという輩が寄り付かん。鈿音はわしらの能力や目的を鈿音は把握しておる。ここに来そうではないか。」

「それに、鞠雄を連れてくれば、嫌でも出てくるじゃろう。」


「鈿音さんに話しを……、おばあさんを信じてよかった。」


「な?わしの"やれたらやる"は、十中八九"やる"なのじゃ。」

キノ婆はキャプテンと楢紅に笑いかけた。


鞠雄がキノ婆に向けて定食屋の包丁を投げつけた。

楢紅の樽に刃物が吸い込まれていった。


下の階からの声を鈿音は聞き逃さない。

「うん?鞠雄まずいは。私もどこかに逃げたいわよ。国外逃亡とか。そうよ。空港よ。空港だわ!」


「空港?……空港ね。私は使ったことないので全然思いつかなかったぁ!ふふ。空港まで飛びますよ!」

キツネは大スクリーンの威厳を捨ててまではしゃいでいた。

そして、キツネが手をパンと叩くと、キツネの手に黒色の楕円型の歪みが出現した。

定食屋一帯を飲み込もうとしている。


鈿音の視界が黒く染まった。


鈿音の視界が戻ると、羽田空港の外国線ターミナルにいた。


鈿音は嫌なものを見た。定食屋の中にいた人が全員、バラバラに散らばっているが、目に入る場所にいた。

もちろんその中には鞠雄の姿も。


気づくと、鈿音が腰掛けていた空港のベンチの隣に、定食屋のオカミが寝ていた。


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