第二十一章 日本の未来
「事の発端は東北地方太平洋沖の巨大地震なの、その地震は二〇一一年三月に発生するわ」
「東北? その巨大地震は一九九五年一月に発生した阪神大震災より大きいのかい?」
「大きいわ、地震の規模はマグニチュード七を超えるわよ」
「はっ? マグニチュード七以上? それは超巨大地震じゃないか!」
「そうね、想像を絶する超巨大地震よ、地震で発生した大津波で太平洋沿岸の町は壊滅するの」
「壊滅って……」
裕二が口をポカンと開けて唖然とする。
「そして、更に最悪な事態が発生するの、それは原子力発電所の事故よ。原子力発電所は冷却水のトラブルで炉心融解を起こして爆発するの」
「まさか、そんな事故が起こったら、日本は放射能で汚染されるじゃないか!」
「その通り、東日本太平洋側の市町村は原子力発電所の放射能で汚染されるのよ」
「なんてこった……」
裕二が天井を見上げて頭を抱える。
「Mr,YUJI」
「Yes」
「驚くのはまだ早いわ、この後がもっと凄いことになるのよ、この地震の後、日本政府は原子力発電所を全て停止するの」
「えっ、原子力発電所を停止したら、日本中が電力不足になるんじゃないのかい?」
「そう、日本中が電力不足になるわ。でもね、日本国民は徹底的な節電対策を実施してこの危機を乗り越えるの。そして日本の省エネルギー技術はめざましい発展をとげるのよ」
「そうなのか……それは不幸中の幸いだな」
「その一方で、震災後の日本は株価の暴落と円高で経済的に破綻するわ。でも、この混乱は一時的なものだから、三年後には政府の経済政策も手伝って日本経済は回復に向かうのよ」
「へぇー、そりゃ凄い、日本政府も結構頑張るんだな」
裕二が腕を組んでリズの瞳を見つめる。
「ところが!!」
リズの声が突然大きくなる。
「おっ!」
裕二はリズの声に驚いて体を後ろに反らした。
「XXXX年にもっと大きな超巨大地震が発生するのよ」
「何だって! また来るのかい?」
「次の超巨大地震はフィリピン海プレート側からやって来るわ、震源地は南海トラフ全域で同時発生するの。関東、関西、四国、九州、沖縄、この地震で日本の太平洋沿岸部は壊滅的な大被害を受けるのよ」
「うわっ、それじゃあ、日本は再び大ピンチじゃないか! 特に、東京、大阪が同時に壊滅的な大被害を受けたら、首都としての機能が停止して日本は大混乱に陥るんじゃないのかい?」
「ところが!!」
リズの声がまた突然大きくなる。
「おっ!」
裕二はリズの声に驚いてまた体を後ろに反らせた。
「日本政府は先の東北地方太平洋沖地震で学んだのよ」
「学んだ? 何を学んだの?」
「“首都を東京に置いておくのは危険だ”と言う事を学んだのよ」
「それじゃあ、日本の未来の首都は東京じゃないのかい?」
「XXXX年まで、日本の首都は依然として東京よ、そして、副首都は大阪なの」
「大阪は太平洋側じゃないか」
「そうね、大阪も危険よね」
「…………?」
「表向きの副首都は大阪だけれど、日本政府は第三首都の裏構想を持っているのよ」
「第三首都?」
「東京と大阪が同時に壊滅した場合のバックアップ都市の事よ」
「その都市は何処なんだい?」
「新潟よ」
「えっ、新潟?」
「XXXX年に発生する南海トラフ大地震以降、日本の首都は新潟になるわ」
「それは驚きだな、まさか、新潟が日本の首都になるなんて……」
「それでね、そこからがまたまた凄い事になるのよ」
リズは左手の人差し指を左右に小さく振って裕二に話し掛けた。




