第二十章 未来予知
「未来を知ると言うことは、“プラネットが示す運命を受け入れる”と言うことなの」
「プラネットが示す運命を受け入れる……?」
「プラネットと人生は密接にシンクロしているの。だからプラネットが示す運命から逃れる事は出来ないのよ。例えば、あなたが映画スターになりたいと思っていてもプラネットがそれを示さない場合、どんなに努力しても映画スターになれないわ。そして、なれないと分かっていても、あなたは映画スターになる為の努力をしなければいけないの。それがあなたの人生だから……」
リズは裕二にそう答えると、プリンターからA四サイズの用紙を取り出して、用紙の四隅を綺麗に整えた。
「リズ、結果が分かっているのに、なぜ、努力しなければいけないんだい?」
「その努力は別の分野で開花する可能性があるからよ」
「別の分野?」
「例えば……映画監督や映画評論家とか」
「なるほど、それなら俳優経験を活かせるわけだ」
「ただし、人生にはタイミングがあって、時期を考えて行動しないとダメなんだけどね。それから、未来を知ってしまうと、やる気を失ってしまう事もあるの。だから未来を知るには覚悟が必要よ。人生の結末が悲惨な場合だってあるし、その時は、生きる希望すら失ってしまうことになるわ。それでも自分の人生に責任を持って生きなければいけないのよ。あなたはそれでも未来のことが知りたいかしら?」
「ああ、知りたいね」
「分かったわ、覚悟は出来ている様ね。それじゃあ、あなたの未来予知を始めましょうか。奉生君、ネイタルチャートを進行させて頂だい」
「Yes,ma’am」
奉生がリズに敬礼をして、キーボードの改行キーを叩く。
リズはノートPCの画面に表示されたホロスコープのアスペクトラインを見つめた。
「XXXX年XX月XX日……XXXX年XX月XX日……XXXX年XX月XX日……」
リズが年月日を呟くと、奉生はその日付をノートに書き留めた。
「Oh?」
リズが右の眉をピクリと動かして目を細める。
「What? 」
※何?
「Big Wave?」
※巨大地震?
「War?」
※戦争?
「Dangerous!」
※危険!
「Oh my God!」
※神様!
「New Energy?」
※新エネルギー?
「Sado island?」
※佐渡島?
「Psychic?」
※サイキック(超能力)?
「Six Children?」
※六人の子供?
「Japan as No1 again?」
※日本は再びナンバーワン?
突然、リズが意味不明な言葉を吐く。
――しばらくの間、沈黙が続いて、リズはノートPCの画面を見つめたまま、固まって動かなくなった。
彼女はトランス状態に入った様だ。
――約五分後、左回りにゆっくりと回転していたプラネットの記号がピタリと止まった。
リズは、まだ固まっている。
「リズ先生、大丈夫?」
奉生がリズの顔を心配そうに下から覗き込むと、リズはふっと小さく息を吐いて両手の掌で顔を覆った。
「大丈夫よ、奉生君」
リズが指の間から奉生の顔を見てニコッと笑う。
「Mr,YUJI」
「Yes」
「あなたの未来は分かったわ。でも……」
「でも?」
「もっと凄い事が分かってしまったの」
「凄いことって?」
「あなたの未来を見ていたら、日本の未来が見えたのよ」
「日本の未来が見えた?」
「そう、今ね、ブラフマーが来たの。そして、私に日本の未来を見せてくれたのよ」
「えっ、ブラフマーが来たって? なぜ?」
「さぁ、それは私にも分からないわ」
リズは裕二にそう答えると、肩を少しすぼめて両手を小さく広げた。
「で、日本はどうなんだい?」
「XXXX年に発生する巨大地震で太平洋側の大都市は壊滅的な打撃を受けるわ」
「何だって? それじゃあ、日本の未来はどうなるんだ」
「アジアナンバーワンの経済大国として帰り咲く」
「はぁ? リズ、話しが支離滅裂じゃないか、意味が全然分からないよ」
裕二はリズの言葉に困惑して顔をしかめた。




