↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最恐教師の最高傑作 ~「ゴミ」と罵倒してくる鬼教師、脳内AIによれば【期待値MAXの英才教育】が本音らしい。スパルタ課題を淡々とこなし学園無双~   作者: 凪白 黎
第1章:才能ゼロの烙印と、一歩も動かない初ざまぁ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/33

第3話:名門貴族の公開決闘と、絶対安全な立ち位置

「ふざけるな! なぜ魔力値2のゴミが、ヴァルター教官に贔屓されているんだ!」


(……贔屓……なのか?)


教室の静寂を切り裂くように、鼓膜を劈く怒声が響き渡った。

粉々になった机の残骸を踏み越え、セドリックが血走った目で俺を睨みつけている。

教官の関心を俺に独占されたという事実が、名門貴族の彼にはよほど許せなかったらしい。


「平民の分際で教官の目を欺いた罪、この俺が万倍の苦痛で贖わせてやる!」


ギリッと奥歯を鳴らしたセドリックの全身から、暴力的なまでの魔力が膨れ上がった。

彼の両手の間で、炎の球体が巨大化していく。

圧倒的な熱量が教室の空気を歪め、窓ガラスがガタガタと震え始めた。


巻き込まれることを恐れた周囲の生徒たちが、悲鳴を上げて壁際へと逃げ出していく。


間違いなく、学年トップクラスの魔力量だ。

だが俺は、前髪を焦がすほどの熱波を正面から浴びながら、ひどく冷めた頭で全く別のことを考えていた。


(……遅くないか?)


あまりにも遅すぎる。

先ほどまでヴァルターが展開していた即死トラップは、瞬き一つ分の猶予すら与えられない極限の速度と精度だった。

あの不可視の刃の嵐をくぐり抜けた直後の俺の目には、セドリックの魔法構築はまるで泥水の中で足掻いているように鈍重に見えたのだ。


無駄な魔力が周囲にダダ漏れで、術式の結節点は隙だらけでスカスカだった。


『あらあら。名門貴族様の可愛いやきもちですね』

『男の子同士の熱いぶつかり合い、まさに青春! 学生の醍醐味です!』


緊迫感の欠片もないマリアの能天気な声が、脳内に響き渡る。

その声は、やけに弾んでいるように聞こえた。


(明確な殺意を向けられているのに、青春とは……)

俺は心の中で激しく突っ込みながら、助けを求めるように教卓の奥へと視線を向けた。


生徒同士の命に関わる私闘だ。

(当然、実戦教官であるヴァルターが止めるはず……)


だが死神教授の方を見ると、制止するどころかスッと一歩下がって腕を組み、特等席を陣取っていた。

表情筋は完全に死滅しているが、その頭上では血のように赤い文字列が相変わらず激しく点滅している。


【歓喜指数:限界突破】


「ッ!?」


止める気ゼロだ。

むしろ、俺がどう対応するのかを瞬き一つせずに観察しようと目を光らせている。

教室の隅には、ノートを握りしめ食い入るようにこちらを見つめる銀髪の少女の姿もあった。


狂った教師と銀髪の少女の熱を帯びた視線と、脳内で嬉々として実況を続ける過保護なAI。

そして目の前で1人だけ勝手に怒り狂い、大味な炎を練り上げている勘違い貴族。

完全に常軌を逸した空間に取り残され、俺は深いため息を吐き出すしかなかった。


「消し飛べ、底辺のゴミが!」


セドリックが両腕を振り下ろし、ついに極大の炎が俺に向かって放たれた。

教室の床を焦がしながら、圧倒的な質量の熱波が一直線に迫ってくる。

周囲の生徒たちが目を覆い、俺が恐怖で身動き一つとれないのだと錯覚して息を呑むのが分かった。


視界を完全に埋め尽くすほどの業火が、鼓膜を破るような轟音と共に迫り来る。

圧倒的な熱量だ。

しかし、死神教授の即死空間をくぐり抜けた直後の俺の目には、その炎の軌道はやはり泥水の中を這うように遅く見えた。


『坊っちゃん、ちょこっとだけ下がってくださいね』


炎の先端が鼻先を焼く直前、脳内でマリアのふんわりとした声が響く。

こんな状況で、ずいぶんと優しい声だ。

俺は言われるがまま、肩の力を抜いて半歩だけスッと後ろへ体重を逃した。


ただそれだけの、あまりにも小さな動きだった。


轟ッ!


空気を揺らす凄まじい爆発音が、すぐ目の前で弾ける。

俺の頬を焼くはずだった熱波が一瞬で背後へ抜け、頑丈な壁に激突して虚しく散っていった。


俺の身体には、かすり傷一つついていない。

どれだけ巨大な炎でも、俺の身体には触れもしなかった。


「な……当たれよ!」


自分の魔法が直撃したと確信していたのだろう。

セドリックの喉から、裏返った悲鳴のような声が漏れた。


驚く暇もなく、後ろへ引いた俺の右足が床の一点に静かに沈み込む。


パリンッ。


俺の靴底から、微かな破砕音が鳴った。


『あ、そこは次弾の術式の要ですね。ナイスステップ! ラッキーですね♪』

(……次弾?)


どうやらセドリックは、大味な炎で俺の視界と動きを封じた後、即座に足元から第2撃を放つという連続魔法を構築していたらしい。

だが俺の靴底は、床に薄っすらと浮かび上がっていた魔法陣のど真ん中――魔力の供給源となる結節点を正確に踏み抜いていた。


音を立てて術式が崩壊し、セドリックの手元で構築中だった2発目の魔法陣が光の粒子となって霧散していく。


「あれ……? 魔法陣が……え……?」


魔力値2の落ちこぼれを相手に、渾身の炎は半歩の動きであっさりと躱され、あろうことか次弾は発動すらさせてもらえない。

完全に思考が停止したらしいセドリックは、何が起きたのか理解できずに間の抜けた声を漏らす。

そして無駄に膨大な魔力を消費したせいで、肩で荒い息をしながら呆然と立ち尽くしていた。


「今の……躱しただけ、じゃないよな」

「次の魔法を、発動する前に潰したぞ……」


壁際へ逃げていた生徒たちの間から、戸惑いと戦慄のざわめきが波のように広がっていく。

教室の隅では、あの銀髪の少女がまた震える手で食い入るようにノートにペンを走らせていた。


『坊っちゃんは何もしていないのに、勝手に自滅なさるとは。困った貴族様ですね』

『熱い青春を期待していたのですが……』


(迷惑な期待だ)


俺自身、自分が何をやったのか正確には分かっていない。

ただマリアに言われて、半歩下がった先にたまたま術式があっただけだ。


漂う静けさの中、セドリックだけが信じられないという顔で自分の震える両手を見つめ続けていた。


「どうして、俺の魔法が……」


絞り出すような声が、静まり返った教室に落ちた。

肩を大きく上下させ、大量の汗を流して息を切らしているセドリック。

対する俺は額に汗一つかいておらず、息も全く乱れていない。


「……もう、やめないか?」


あの死神教授の理不尽な即死トラップを抜けた直後だ。

セドリックの大味な炎など、俺にとってはただのそよ風にしか感じられなかった。


『あらあら。あの貴族のおぼっちゃま、魔力の制御が乱れていらっしゃいますね』


脳内でマリアが、イヤイヤ期の幼児を見守る母親のような、ふんわりとした優しい声を上げる。


『彼の右足の前に、不安定な魔力の塊ができています。あの場所を起点にして魔法を撃てば……』

『大暴発で大火傷ですね♪』


(……ん? 豹変した?)


いくら私闘とはいえ、クラスメイトが大怪我をするのは後味が悪い。

俺はマリアの辛辣な分析を聞き、ひどく冷めた頭のまま口を開いた。


「おい、セドリック」


呼びかけられ、プライドをへし折られた名門貴族が血走った目で俺を睨みつける。

俺は相手の怒りなど気にも留めず、淡々と事実だけを告げた。


「右足の前に打ち込むのは危ないよ。魔力が溜まっていて……大爆発が起こる」


俺としては、純粋な親切心からの忠告だった。

だが、その言葉が教室に及ぼした影響は凄まじかった。


「あいつ、相手の術式の欠陥まで完全に見抜いてるのか……」

「魔力値2の落ちこぼれが、名門貴族を手玉に取ってる……」


壁際へ逃げていた生徒たちが、俺を底知れぬ化け物でも見るような目で凝視している。


「術式の位置が、最初から分かっているみたい……」


教室の隅で、銀髪の少女がブツブツ呟きながら、何かに取り憑かれたようにノートへペンを走らせていた。


息も乱さず、汗一つかかずに相手の致命的な欠陥を指摘する俺の姿。

それは周囲の目に、圧倒的な実力差を誇示する残酷な勝者に映ったらしい。


教卓の奥では、ヴァルターが腕を組んだまま微動だにしていなかった。

だが、その頭上の赤い文字列は、さっきよりも激しい勢いで明滅を繰り返している。


【歓喜指数:限界突破】


(また出たな……限界突破)


狂った教師の歓喜と、周囲の戦慄。

その異様な空気を感じ取ったセドリックの顔が、屈辱で真っ赤に染まっていった。

俺としては、ただの親切のつもりだったのだが。


「平民のゴミが……この俺を、愚弄する気かぁっ!」


屈辱と怒りで顔を歪ませ、セドリックが獣のような咆哮を上げた。

どうやら親切な忠告は完全に逆効果だったらしい。

セドリックの全身から、先ほどとは比べ物にならないほど凶悪な熱と魔力が噴き上がる。


「舐めるな……跡形もなく燃え尽きろ!」


俺の言葉を完全に無視し、セドリックは最も危険だと言われた「右足の前」を起点にして、さらなる極大魔法の構築を始めてしまった。


『あらあら。あのおぼっちゃま、せっかくの坊っちゃんの助言を無視してますね』

『おいたが過ぎる子には、おしりペンペンしちゃいますよ♪』


(……ん? おしりペンペンで済む状況だっけ?)


怒りに身を任せたその手元で、教室全体を焼き尽くすほどの凄まじい炎が渦を巻き始める。

さっきまでの余裕は、俺の中からもすっかり消え失せていた。


完全に、後先を考えていない目だった。

★★★ 全知の聖母あとがきシステム ★★★

読んでいただき、ありがとうございます♪

先生も楽しんでらっしゃいますね。せっかくの青春の1ページに刻むメモリアルですものね♪


「坊っちゃんは跡形なく消えるのか否か!?」……気になる方は、坊っちゃんと作者の【やる気:限界突破】になるよう、


ページ下部の【ブックマークに追加】と、

その下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】になるようポチッとしていただけると、私もルンルン気分になれます♪


次回は【明日20:20】に更新です♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。