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穴掘りの加護『スコップ』は、思ったよりも無双です?  作者: 満原こもじ


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第9話:<見破り>と<ストレージ>

 ルルイフ様はよく知っていらっしゃるなあ。

 それに親身になってくださるのでとても助かるよ。

 ザックさんが首をかしげる。


「<ガイド>か。オレにはピンと来ねえスキルだな」

「すでに生き方を確立しているザックに有効なスキルではないかもしれぬ。しかしヒトシ君には有効だ」

「かもなあ」


 うん、<ガイド>の人格アリスは今後も力になってくれると思う。

 ぼくじゃ判断できないことが多過ぎるもの。


「ヒトシは現在、結構魔物を倒してるんだろ?」

「ええと、以前にルルイフ様にアドバイスをいただいて、それからちょこちょこ倒すようにはしています。ただぼくのレベルも加護で穴掘り以外に何ができるかということも、ルルイフ様以外には話していないんですよ。だからあまり派手に魔物退治するというわけにもいかなくて」

「制限が厳しいな。もっともこの辺にゃ大した魔物もいないんだろう? レベル三〇オーバーのヒトシの訓練にはならないんだろうが」


 多分ザックさんの言う通りなんだろう。

 ただぼくは魔物との戦闘経験自体がなかったから、慣れるためにはよかったと思ってる。

 でもこれからはどうすべきなんだろうな?

 密かにアリスに聞く。


(どうすればいいと思う?)

『ヒトシ様はルルイフ様を信用していらっしゃるのでしょう? でしたらなるべく多くの情報を引き出すべきです』

(うん、具体的には?)

『使えるスキルが多いほど、取り得る選択肢が増えるのではないでしょうか? であれば手持ちのスキルストーンの正体を教えてもらうのが良策だと思います』

(了解)


「あの、ルルイフ様」

「何だい?」

「このスキルストーンの中に、ぼくが習得すべきスキルはあるでしょうか?」


 図々しいかな?

 でもせっかく<見破り>持ちのルルイフ様がいるのだから、聞いとかなきゃ損だよね。


「ほお? お前じーさんが<見破り>持ちだって知ってるんだな?」

「はい。以前教えてもらいました」

「気に入られてるじゃねえか。だが他人に自分の手の内を明かすのは得なことじゃねえんだぜ。気をつけろよ」

「あっ、そうですね。注意します」

「ふむ、いいだろう。このスキルを習得したまえ。それで全ては解決する」

「わかりました」

「おい、わかってるか? スキルストーンはぶっ壊さなくても、ぎゅっと握って覚える覚えるって念じるだけでいいんだぜ?」

「はい」

「むしろ誤って破損したケースで習得したというのは聞いたことがないな」

「そうなんですね?」


 やはり意志を持って石を持たなきゃいけない。

 なんちゃって。

 ルルイフ様に言われたスキルストーンを、習得の意思を持って握る。

 あ、このスキルは……。

 <ステータスオープン>で確認する。

 やっぱりそうだ!


「ルルイフ様、ありがとうございます!」

「もう習得したか。レベルが高いと早いものだな」

「なあ、何のスキルだったんだ? 言いたくなきゃ言わなくていいけどよ」

「<見破り>です」


 <見破り>のスキルさえあれば、全部のスキルストーンを判別できるからね。

 習得すべきかそうでないか、アリスと相談しながら少しずつスキルを増やしていけばよさそう。

 ん? ザックさんどうしたんだろ?


「<見破り>かよ! レアスキルじゃねえか! 一億ゴールドまでならオレが買ったのに!」


 い、一億ゴールド?

 超大金!

 <見破り>ってザックさんほど成功している冒険者が欲しがるスキルだったの?


「おい、じーさん! オレが<見破り>欲しがってること知ってたろうが! 何で先に言わねえんだよ!」

「ザックが大金で買うと言いだすことがわかってたからな。よく考えなさい。ヒトシ君が<見破り>を持っているほうが、この先ずっと有効だということを」

「ぐっ……」

「あの、<見破り>ってそんなに貴重なスキルなんですか?」


 ちょっと価値がよくわからないんだけど。


「当たり前じゃねえか! <簡易鑑定>じゃ見えねえことが多過ぎるし、直感系のスキルは確実じゃねえもん!」

「<見破り>を欲しがるのは戦闘職だけではないからな」

「ブツの真贋を見極めたい商人が欲しがるんだよ。だから市場にほとんど出てこなくてよ」

「レアスキルということもあって、その価値は天井知らずだ」

「<見破り>のスキルストーンは偽物も多いんだ。本物だったらオレは一億払ったって構わねえ!」


 ええ?


「ひょっとして【スコップ】の加護で掘り出したスキルストーンって、結構なお金になりますか?」

「当たり前じゃねえか。特にお前は【スコップ】でお宝を掘り出し放題なんだろ? <見破り>まで持ってて正確に価値を把握できるんなら、一生遊んで暮らせるわ!」

「ザックが言うことは真実ではあるが、ヒトシ君自身が子供で信用がない、ということには注意しなければならない。今現在の状況でスキルストーンを売るというのは、あまり現実的ではないな」


 うん、誤魔化されそう。

 出どころを探られても困るしなあ。

 それこそ女神様の心配していたケースに当てはまりそう。

 じゃあぼくはどうするのが正解なんだろう?


「ザックよ。何なら、次ヒトシ君が<見破り>を手に入れたら譲ってもらえばいいではないか」

「レアスキルだぞ? 簡単にホイホイ見つかるわけねえじゃねえか!」

「そうかな? 残りのスキルストーンの中に、もう一つレアスキルがあるのだが」

「えっ?」

「ヒトシ君、そちらのスキルも習得してしまうといい」


 <見破り>で鑑定してみると、<ストレージ>のスキルか。

 どんなスキルだろ?

 スキルストーンを握りながら、アリスに聞いてみる。


(アリス、<ストレージ>ってどういう効果のスキルなの?)

『空間魔法の一種で、ほぼ限度無制限の大きな収納空間を得るというものですよ』

(すごい!)


 これも規格外のスキルだな。


「ありがとうございます。習得できました」

「おい、ヒトシ。今のは何のスキルだったんだ?」

「<ストレージ>です」

「おまっ! マジか? <見破り>と<ストレージ>って言ったら、人気レアスキルでトップツーじゃねえか! どうなってんだよ、お前の【スコップ】は。デタラメじゃねえか!」


 いや、デタラメって言われても。

 狙って掘り出せるわけじゃないんだから、ただの偶然だよ。


「よし、ヒトシ」

「は、はい」

「お前の【スコップ】の加護がとんでもなくすげえことは理解した。オレはしばらくこの村に留まる」

「えっ?」

「ヒトシは今後どうしたいんだ?」


 ルルイフ様が思わせぶりにこっちに視線を寄越してくる。

 どうやらザックさんから色々教われということみたい。

 了解です。


「どうも【スコップ】の加護が引き起こす事態は、今のぼくではなかなか制御できないみたいです。成り行きに流されるのは嫌なんですよ」

「おう、具体的には」

「王都で勉強して知識を得たいと思います」

「ほお? それだけのレベルがあったら、即冒険者を目指してもいいのにな」


 いや、ぼくは戦闘向きのスキルを持ってるわけじゃないし。


「気に入った。オレの知ってることは教えてやる。その代わり次に<見破り>のスキルストーンを手に入れたら、オレに売ってくれ!」


 ルルイフ様が頷いている。

 ザックさんがここまで譲歩することってそんなにないんだろう。

 ならば……。


「じゃあ今度<見破り>のスキルストーンを見つけたら、タダで差し上げますよ」

「タダ? ……生意気に貸しを押しつけてくるじゃねえか。よし、ヒトシが王都に上るまではしょっちゅうこの村に来て、修行に付き合ってやろうじゃねえか」


 えっ? 貸しも何も、まだ<見破り>のスキルストーンを手に入れたわけじゃないんだけど?

 まあいいか。

 ザックさんが納得しているなら。


「よろしくお願いします」

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